世界中の芸術家を刺激するカーラ・デルヴィーニュが、完璧なミューズである理由【アートを愛するセレブたち Vol. 8】
ディオールやシャネルなど、世界のトップメゾンのコレクションやメディアに引っ張りだこのスーパーモデルであり、女優としても大活躍中のカーラ・デルヴィーニュ。そんな彼女のロサンゼルスの自宅インテリアから垣間見えたのは、常にアーティストたちを刺激してやまないミューズとしての「素顔」だ。

カーラ・デルヴィーニュと言えば、2022年のメットガラでの「トップレス」姿が記憶に新しい。ディオールオートクチュールの赤いジャケットで登場したカーラは、観衆の前でジャケットを脱いだ。その瞬間、裸の上半身にゴールドのボディペイントを施し、ゴールドのチェーンをあしらった姿が露わになったのだ。
アート分野の活動としては、2019年、匿名アーティストのケミカルXとコラボレートし、「女性器について語る」ショートフィルムをNFTアート作品として制作。オークションにかけられたことが大きな注目を集めた。

「遊び心」がパワーの源
カーラは2021年6月、ロサンゼルスの自宅をデジタルメディア「Architechtual Digest」に公開し、次のように語っている。
「私はゲームが大好きで、ポーカーから綱引きまで、とにかく楽しいと感じるものは何でもやります。友人が来ると、家の中は障害物競走場のようになってしまうくらい(笑)。まるで『不思議の国のアリス』に出てくる遊び場のようです。嫌なことがあった時は、ボールピットに飛び込めばすべてを忘れられるほど。仕事柄、さまざまな衣装を身につけることが多いので、自宅のインテリアにも自分が気に入っているさまざまなテーマやムードを反映させています」
そんな彼女の自宅のリノベーションを手がけたのは、建築事務所「ラインアーキテクチャー」のCEO兼建築家のニコロ・ビーニだ。
デルヴィーニュから「自然」という大きなテーマを与えられたビーニが用いたのは、大柄なサギをあしらったグッチの壁紙や、巨大なヘビ柄のカーペット。そこに、メキシコ人アーティストのセルヒオ・ブスタマンテによる鳥の彫刻の群像や、シダやヤシなどの観葉植物をプラスすることで、彼女の世界観を見事に具現化した。
一方で、スケルトンのグランドピアノを置いたお気に入りの部屋の壁には、「プロジェクション・ピース」シリーズなどで世界を魅了するアメリカを代表する現代美術家ジェームズ・タレルのプロジェクション作品を配置する。名門貴族の血筋であり、幼い頃から様々な芸術をライフスタイルに取り入れてきた彼女らしい洗練されたセンスが光る。
アーティストたちをインスパイアするミューズ
また、彼女が一番こだわったというバスルームの壁には、お気に入りのアーティストの一人であるジョナサン・ヨーの絵画を飾る。ヨーといえば、デルヴィーニュを含めデニス・ホッパーやトニー・ブレアなど著名人のポートレートを手がけ、20代前半に現代ポートレート画家として地位を確立した。
そんな彼を世界的に人気のある画家へと後押ししたのは、ほかでもないデルヴィーニュだということはあまりにも有名だろう。彼女の勧めで、2016年にデンマークの国立歴史博物館で初の肖像画展を開催し、成功のうちに幕を閉じたことをきっかけに、彼はさらなる人気を得た。
そんなデルヴィーニュは、世界で最もファンアート作家が多いモデルの一人としても知られており、数多の作品の中から特に気に入ったものを積極的に自身のインスタグラムに投稿するなど、新たな才能の発掘にも余念がないことでも知られる。かつて駆け出しの頃のジョナサン・ヨーのファンアートを4点投稿したところ、247万3000件の“いいね”と5700件のコメントが寄せられるなど、常に世界中のアーティストを刺激する存在でもある彼女の魅力について、かつてヨーはELLE誌にこう語っている。
「彼女はよくありがちな『受け身のモデル』ではなく、絵画制作に積極的に参加します。モデルとしてポートレートを具現化するためのアイデアがとても豊富なのです。ファッショナブルで、美しく、素晴らしいモデルであり、積極的な協力者であるということは、芸術家にとって作品のテーマを発展させるインスピレーションそのもの。彼女はミューズとして完璧な存在なのです」
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