カニエ・ウェスト、名誉博士号剥奪の危機? 止まらぬ問題発言に撤回を求める署名活動
2015年にラッパーのYe(イェ)ことカニエ・ウェストにシカゴ美術館付属美術大学(SAIC)が与えた名誉博士号の撤回を求める署名が、12月1日、オンライン署名プラットフォーム、Change.orgに投稿された。

署名運動の目標は500人だったが、12月8日日本時間9時時点で、3800件に迫る勢いだ。
このところの反ユダヤ的な発言の数々により、アディダス、バレンシアガ、クリスティーズの3社が契約を打ち切るなど、カニエは多くを失っている。特に約150万ドル(約2億円)相当にもなるアディダスとの契約金を失ったことは、彼の純資産を著しく減少させ、『フォーブス』誌はカニエの名前を億万長者リストから抹消するに至った。
現在、シカゴ美術館付属美術大学(SAIC)の「Against Hate at SAIC」というグループは、SAICとその学長エリッサ・テニーに対して、カニエによる立て続けの反ユダヤ発言に対してコメントするよう求めている。嘆願書には「カニエ・ウェストの憎悪に満ちた発言は暴力を煽っており、彼は我々のコミュニティの価値観を代表する人物にふさわしくありません。学校は直ちに彼の名誉学位を取り消すべきです」と書かれている。
2015年に SAICから名誉博士号を授与された当時、カニエは次のように紹介された。「教育の擁護者であり、思想家であり、クリエーターであり、しばしば作品を通してステレオタイプを解体し、重要な社会問題についての文化的議論を活性化しています」
最後の「議論を活性化している」という部分は間違っていない。カニエは、アフリカ系アメリカ人が400年にわたる奴隷生活を送ったことを「選択のようなもの」と発言するなど、奇妙で不適切なコメントをすることに定評があるが、先週、アレックス・ジョーンズが主宰するフェイクニュースサイト「InfoWars」に出演した際、「ヒトラーについて好きなことがたくさんある」と発言し、物議をさらに醸している。
発言の意図がはっきりしないまま、カニエはその後、白人至上主義のオルタナ右翼団体「プラウドボーイズ」の創設者であるギャビン・マッキネスとともに、右翼のプラットフォーム「Censored」にも出演。『ローリングストーン』誌によると、番組でカニエはユダヤ人に対して、「ヒトラーを許してほしい」と懇願したという。
Against Hateによる嘆願書にはこうも書かれている。「名誉博士号を受けるに至った彼の貢献にかかわらず、現在知られているように、憎悪と暴力を正当化するために SAIC の名前を使い続けることを許すのは有害です。大学に関わるアーティスト、デザイナー、学者がかかげる正義や、思いやり、憎しみのない自由な表現という価値観に影響を与えるものです」(翻訳:編集部)
from ARTnews
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