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  • 2022.03.01

ウクライナ侵攻で暗号資産急落? CryptoPunksのオークション突如中止に飛び交う憶測

大手オークションハウスのサザビーズが2月23日夜に予定していた「Punk It!(パンク・イット!)」は、同社初のNFT特化オークションとして注目され、当日の会場は熱気に包まれていた。しかし、直前になって出品は取り下げられている。

オークション「(Punk It!(パンク・イット!)」の会場に集まった参加者たち Shanti Escalante /ARTnewsオークション「(Punk It!(パンク・イット!)」の会場に集まった参加者たち Shanti Escalante /ARTnews

出品が予定されていたのは、2017年に発表されたLarva LabsのPFP NFT(プロフィール画像NFT)、「CryptoPunks(クリプトパンクス)」シリーズのうち104点。

CryptoPunksは最初期のNFTアートとされ、人気が出てからは高額で取引されている。落札額は2000万~3000万ドルと推定されていたが、結局オークションは行われなかった。0x650dを名乗る出品者は「nvm, decided to hodl(忘れてくれ、売らないことにした)」とツイートしている。

当日、カクテルパーティーとパネルディスカッションが行われたのち、オークション開始を待つばかりだった会場に、突然、出品が取り下げられたとの発表があった。ただし、その後も参加者は会場に残り、DJのSeedphrase(*2)が出演したパーティーを楽しんでいた。

*2 CryptoPunks画像の被り物をしたDJ。seed phrase(シードフレーズ)とは暗号資産ウォレットへのアクセス回復に使われる12〜24の単語の羅列のこと。

オークションで出品が取り下げられるのは珍しくないが、今回のようなシングルロットの場合では異例のことだ。そのため、突然の中止の背景について様々な憶測が広がっている。

ナビル・チャラニアはパドル(入札の際に掲げる番号札)を手にした参加者の一人で、Meta4キャピタルの代表として、仲間のマネージングパートナーであるブランドン・ブキャナンとともに出席していた。Meta4キャピタルは、NFTに特化した投資ファンドで、大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツの支援を受けている。チャラニアは出品取り下げについて「落胆はしていない」と言う。「売り手が納得する価格で売ってもらいたいし、敵対的な関係は望んでいない」

出品取り下げについては、売り手が魅力的な額の現金を提示されたのではないかとの推測もあれば、ツイッター上のNFTコミュニティでは、「hodl」(売らずに持っておくという意味の暗号資産投資家のスラング)という決断を称える声もある。また、売り払うより、CryptoPunksの長期的な価値を信じるほうを選んだのだろうという見方もあった。宣伝のために仕組まれたやらせではないかという説は、売却中止のコストに見合うほどの話題性はないだろうと一笑に付されている(サザビーズの担当者はコメントを控えた)。

他の参加者からは、競売予定だったCryptoPunksの作品は貴重ではあるが、特に魅力的でもないので、入札者が集まらなくても不思議ではないとの声も聞かれた。というのは、今回の104点は「floor Punks(フロアパンク)」と呼ばれるものだったからだ。floor Punksは、シリーズの中でも希少性のない価格が最も低いものとされる。しかし、CryptoPunksは安いといっても実際にはそれほど安くない。最も安い#7456(緑色のアイシャドウをした黒人女性の顔)は、2月23日に59ETH(約15万ドル)で売れたばかりだ。

結局のところ、暗号資産の市場が一時期のような状態ではないことを考えると、タイミングが悪かっただけなのかもしれない。もちろん、ロシアがウクライナに侵攻したというニュースで暗号資産が急落するとは、サザビーズも予測できなかっただろうが。

ウクライナ侵攻のニュースはほとんど会場には届いていなかったようで、NFTの大物コレクターや、コルボーン・ベル(ミュージアム・オブ・クリプト・アートの設立者)、ラッパーのジャ・ルール、起業家のファロック・サルマドといったインフルエンサーたちが談笑し、交流を楽しんでいた。

NFTプラットフォームの一つ、Nifty Gateway(ニフティゲートウェイ)の幹部、アヌープ・カンスパダは、オークション開始前にARTnewsの取材に対し、このイベントが「歴史に残る」ものになるとの見方を示す一方で、今回の本当の呼び物は参加者リストだと述べている。

「サザビーズの普通のオークションじゃ今夜の参加者みたいな人たちには出会えないよ」。出品が取り下げられても、その事実に変わりはなかった。(翻訳:清水玲奈)

※本記事は、米国版ARTnewsに2022年2月24日に掲載されました。元記事はこちら

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