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ART MARKET REPORT

世界中の企業や研究機関が、アートと経済に関する調査・分析をし、毎年のように発表しています。富裕層の研究やアート市場の変遷や傾向など、ビジネスの参考になりそうなリポートを、ARTnews JAPANが選びました。最新版が出るたびに情報を加えるほか、日本語抄訳も順次、お届けする予定です。注目リポートが新たに出れば追加でご紹介していきます。
サンプルはこちら

REPORT

Art Basel | UBS
“The Art Basel and UBS Global Art Market Report” (アートバーゼル・アンド・UBS・グローバル・アート・マーケット・リポート、略称「The Art Market 2023」)

発行元:Art Basel | UBS(アートバーゼル、UBS)

世界最大のアートフェア「アート・バーゼル」とスイスの金融機関UBSが、2017年から毎年3月に発表している市場リポート。アート業界で最重要視され、関係者必読の基礎資料となっている。執筆は、アート市場分析では第一人者の文化エコノミスト、クレア・マッキャンドルーが率いる市場調査会社アーツ・エコノミクス社と、UBSウェルスマネジメント部門の富裕層投資家調査を専門とするチーム。一年間の世界の市場の動向を多くのデータを使って総合的に評価する。また、ギャラリー、オークション、アートフェア、富裕層、オンラインなど分野ごとの動向も詳述している。このリポートを下敷きに、アートバーゼルとUBSは、ポッドキャストやウェビナーなどで市況に関する情報を活発に発信している。

英文リポート
“The Art Basel and UBS Global Art Market Report” (アートバーゼル・アンド・UBS・グローバル・アート・マーケット・リポート、略称「The Art Market 2022」)

発行元:Art Basel | UBS(アートバーゼル、UBS)

※2022年7月19日に日本語で読めるPDF第3章「アートオークション」を追加更新いたしました。一度ダウンロード済みの方も最新版をぜひ再度ご覧ください。

アート市場の動きを分析、解説し、アート関係者必読とされる本リポート。2022年3月に発行された2022年版によると、2021年のアート市場は、新型コロナ禍で縮小した前年から一転、力強く回復した。市場全体では前年比29%増の推計651億ドルになり、2019年水準を上回った。国別で世界1位の米国はシェアを43%にまで拡大し、中華圏は20%と、英国を抜いて2位になった。対面のオークションやイベントが再開され、オークションの売上高は前年比で47%増とV字回復、推定263億ドルに達した。フェアは徐々に再開され、売り上げはコロナ前の水準には戻っていないものの、今後12カ月間に売り上げが「増加する」と予測するディーラーは3分の2に及ぶ。オンライン販売は、21年は7%増と小幅増だったが、拡大を続けている。今回、NFTについても初めて深く掘り下げた。

注目すべきは富裕層の動きで、積極的に美術品と骨董品を購入していた。富裕層人口の増加が、価値の高い作品の需要を押し上げ、大手ギャラリーやディーラーの業績回復に寄与した。富裕層コレクターの74%は2021年にNFTアートを購入していた。彼らの支出額の中央値は、2019年を1とすると20年には1.75、21年には3.8にまで伸びた。富裕層コレクターの9割近くはNFTアートの購入に関心を示しており、半数以は22年にアートを購入すると見込まれる。

2022年の市場展望では、ディーラー、オークションともに売り上げ増を予測している。

※ARTnews JAPAN編集部がリポートの一部を編集・抄訳しPDF化いたしました。ぜひ、ご活用ください。

〈PDFの抄訳対象章〉

  • 第1章「2021年の世界のアートマーケット」
  • 第3章「アートオークション」(追加更新
  • 第4章「世界の富裕層とアートコレクター」
英文リポート
Artnet
“The Artnet Intelligence Report, Spring 2022”(アートネット・インテリジェンス・リポート2022年春版)

発行元:Artnet(アートネット)

アートネット社は、オンラインのアート作品販売プラットフォームを基盤に、価格データベース、オンラインギャラリー、ニュース情報サイトも展開する米企業。2018年から年2回、春と秋にリポートを発行している。2022年4月12日に公開された2022年春版は、NFT(非代替性トークン)、特にデジタル技術を使ったアートの分割所有に焦点を当てた。これを事業として進める企業の創設者や、所有するコレクターらにインタビュー。また、DAO(Decentralized Autonomus Organization、分散型自律組織)が実際に美術品取引に役立つか、この新しいビジネス形態がより多くの顧客の参加を促し、アート市場が株式市場のようになるのかを、探った。

アートオークションのまとめも、もちろん掲載。2021年は、過去最高額となる166億ドルの売り上げを記録。オークションで売られたアート作品は平均単価4万3672ドルと、前年比23%増だった。オンラインのみのオークションは、対面販売が再開されたにもかかわらず、計15億ドル(前年比35%増)と好調。デジタルアートは高額取引トップ10のうち4つを占めた。また、1974年以降生まれの「超現代」アーティストは、19年から21年までにオークション売り上げが305%増と、圧倒的な急成長を見せた。オークションが盛り上がっているのはアジア。アートフェアのフリーズ・ソウルが今秋に開かれる韓国は21年、過去最多かつ前年の倍以上の2億5500万ドルの売り上げを記録した。

アートの制作年代別に、超現代、現代、戦後、印象派&近代、欧州古典に分けて、高額取引ランキングも発表している。オークション売り上げ総合ランキングでは、トップ100人中、女性はわずか6人(前年比で2人減)。女性トップは草間彌生(9位)で、以下、順にジョアン・ミッチェル(36位)、クロード・ラランヌ(41位)、セシリー・ブラウン(70位)、フリーダ・カーロ(71位)、アグネス・マーティン(91位)がランク入りした。

英文リポート
“The Artnet NFT 30 Report”(ジ・アートネット・NFT30リポート)
“The Artnet NFT 30 Report”(アートネット・NFT30リポート)

発行元:Artnet(アートネット)

「NFT空間とその未来の形成」に貢献し、影響力を持つ30人のアーティスト、イノベーター、コレクターらを選出している。「インテリジェンス・リポート」を発行するアートネット社が、昨今のNFTブームを受けてまとめた。リストには、2021年にオークションをにぎわせたビープルやフュウオシャスらのアーティスト、ビープル作品の落札者でありNFT投資家でブロックチェーン起業家のビニェシュ・サンダレサン、暗号資産トロンの創設者ジャスティン・サン、世界で初めてNFTを鋳造したジェニファー&ケビン・マッコイ夫妻らが含まれる。NFTアートの世界には、従来のアート界とは全く違うアーティストとコレクターのコミュニティがあるようだ。キーパーソンの活動や相関関係から、その一端を知ることができそうだ。

英文リポート
Artprice
“The Art Market in 2022”(2022年のアート市場)

発行元:Artprice(アートプライス)

フランスを拠点にするアートプライス社による、前年のアートオークション市場に関するリポート。2002年から毎年発行。同社は、72カ国6300のオークションハウスと提携し、価格データベースや専門家による価格査定を提供している。

英文リポート
“Ultra Contemporary Art Market Report”(コンテンポラリー・アート・マーケット・リポート)

発行元:Artprice(アートプライス)

毎年秋に発行されるArtpriceのContemporary Art Market Reportが、2022年は40歳以下のアーティストに焦点を当てたUltra-Contemporary Art Market Reportとして発行された。2006/2007年版から毎年続いているContemporary Art Market Reportは、現代アートに特化して、世界のオークション結果を多角的に分析し、まとめたリポート。どこの国のどのオークションハウスで、どのアーティストの作品が何点出品され、その落札価格はいくらだったか。多くの売り上げを立てたアーティストについては、オークションデータとともに紹介している。

英文リポート
Hiscox | ArtTactic
“Hiscox Online Art Trade Report 2021 Part 2” (ヒスコックス・オンライン・アート・トレード・リポート2021年版パート2)

発行元:Hiscox×ArtTactic(ヒスコックス、アートタクティック)

オンラインのアート取引をまとめたリポート。現代アートの保険を取り扱い、アートコレクションでも有名な英大手保険会社ヒスコックスが、デロイトなどのリポートも手がけるアートタクティック社と共著で、2013年から出している。2020年からは年3回発行し、2021年版パート2は2022年5月6日に発表された。このリポートでは、主にオンライン売買の2市場の違いと融合について指摘。2市場とは、物理的な作品を扱う伝統的なアート市場と、デジタル作品のNFT(非代替性トークン)アート市場。前者はすでに市場として成熟、オンライン売買は市民権を得た。後者はアートファン以外による投機的な取引が目立つという。調査は、アートタクティック社が2022年1月に実施し、アート購入者595人の回答を基にまとめた。

アートの購入者の65%が、過去12カ月にアートか収集品をオンラインで購入し(20年は59%、19年は43%)、アート市場のデジタル化は永続的と考えている購入者は84%に上った(20年は51%)。また、21年上半期のオンライン販売は72%増という驚異的なペースで、下期も同ペースなら年間売上高は135億ドルと過去最高に達する見込みだ。ただし22年の伸びは鈍化が予想される。初めてアートを買ったのがオンラインだった割合は、若手コレクターで31%(20年は14%)、アート購入初心者(3年以内に購入し始めた人)で47%(同30%)だった。

一方のNFT。アート購入者の27%が今後12カ月にNFTを購入する予定で、デジタル市場との融合は今後も続きそうだ。特に、年10万ポンド(約1600万円)以上もアートに費やす大消費者は、31%が過去12カ月にNFTを購入していた。また、NFT購入者が重要視するのは芸術性やアーティスト支援よりお金。投資的な潜在価値を最大の購入動機に挙げたのは、NFT購入者の82%。ことに過去12カ月に2万5000ドル以上をNFTに投じた人では、ほぼ全員(95%)が投資リターンを主な購入動機と回答した。NFTアートを買う訳(複数回答)は男女で大きく異なり、投資:アート愛:アーティスト支援の割合が、男性は96%:58%:29%、女性は67%:58%:50%だった。

英文リポート
“Online Art Trade Report” (オンライン・アート・トレード・リポート)
“Hiscox Online Art Trade Report 2021 Part 1”(オンライン・アート・トレード・リポート)

発行元:Hiscox x ArtTactic(ヒスコックス、アートタクティック)

オンラインのアート取引に焦点を当ててまとめているリポート。現代アートの保険を取り扱い、アートコレクションでも有名な英大手保険会社ヒスコックスが、デロイトなどのリポートも手がけるアートタクティック社と共著で、2013年から続けている。オンライン売買の拡大とともにリポートの内容も拡充、2020年からは年3回の発行になった。

現在出ている2021年版パート1は、2020年後半からの1年間を扱う。アートとオンラインに関する出来事を時系列にまとめ、急成長するオンライン市場の動きを振り返る。購入希望者がオンラインで「実物を見ずに買うこと」で抱く不安について、調査データをもとに、販売側がどう対応しているかや今後の課題などを、作品の購入手順に沿って解説している。

英文リポート
ArtReview
“Power 100” (パワー100)
“Power 100”(パワー100)

発行元:ArtReview(アートレビュー)

アーティスト、コレクター、ギャラリスト、批評家、キュレーター、モノ・コトなど、アート界で最も影響力のある100人(組)をランキング形式で紹介する。イギリスの現代アート情報メディア「アートレビュー」が、2002年から毎年発表している。全世界のアート界の識者30人以上から匿名で寄せられた意見を基に、過去12カ月間に現代アートの発展に貢献したトップ100を認定する。

英文リポート
Apollo Magazine | BNP Paribas
“Apollo 40 Under 40”(アポロ40・アンダー40)

発行元:Apollo Magazine / BNP Paribas(アポロマガジン、BNPパリバ)

いま注目すべき「40歳以下の40人」のリスト。1925年にイギリスで創刊され、長い歴史を持つ美術情報・批評誌であるアポロマガジンが毎年発表している。アーティスト・キュレーター・批評家・コレクター・ビジネスの各分野で、地域(ヨーロッパ・アジア・中東・アフリカなど)やテーマを特定して、影響力のある40歳以下の人物リストをまとめている。現在と今後のアート界を先導するキーパーソンについて知ることができる。調査には、ドイツ銀行やBNPパリバなどの企業が協力している。

英文リポート
Artsy
“Artsy Gallery Insights: 2022 Report”(アーツィー・ギャラリー・インサイツ)

発行元:Artsy(アーツィー)

2022年4月14日に公表されたこのリポートは、21年のギャラリー市況をまとめている。新型コロナが落ち着き、対面イベントや店舗営業が再開された2021年もオンライン販売は続伸。回答したギャラリーの64%が前年比で販売量が増えたと答え、またオンライン取引の半数近くが新規顧客だったという。オンライン販売は一過性のものではなく、今後も定着しそうだ。

世間では盛り上がっているNFT(非代替性トークン)だが、ギャラリー全体で見ればいまだ少数派だ。調査したギャラリーのうち、2021年にNFTを販売したのはわずか11%。だが22年に販売予定のところは25%で、30%は将来的な暗号資産による支払いに関心を寄せていた。

また、売買時の決済方法については、ギャラリーは銀行振り込みによる支払いを好む一方で、ほとんどの顧客はクレジットカード払いを望んでいた。デジタルネイティブ世代のコレクターの台頭や、新型コロナ以降に増加したオンラインやアプリ経由のアート購入が影響しているようだ。

英文リポート
ARTnews
“TOP 200 Collectors (トップ・200コレクターズ)”
“TOP 200 Collectors”(トップ・200コレクターズ)

発行元:ARTnews(アートニュース)

米ARTnews社が、1991年から毎年発表している世界のトップコレクター200人のリスト。コレクター、キュレーター、画商、オークションハウス、美術館などへのインタビューや、推薦されたコレクター本人らへの調査を基に200人を選出する。美術界だけでなく、ビジネス界からも注目されるリスト。各人のプロフィールや所有作品リストがまとめられ、作品の種類や作家の活動する国、コレクターの職種などから、トップコレクターの傾向の変遷もわかる。また、多くのコレクターは収集するだけでなく、財団を運営して美術館を経営したり、アートに関連する技術に投資したりと、アートに関する様々な支援や活動をしている。世界の富裕層やビジネストップたちがアートで何をしているのかも知ることができる。

英文リポート
Larry's List
“The Art Collector Instagram Attention Report”(アートコレクター・インスタグラム・アテンション・リポート)

発行元:Larry's List(ラリーズリスト)

2022年1月発行のリポートは、コレクターとアーティストとSNSの関係を掘り下げている。アートの世界で最も活用されているのはインスタグラムだ。インスタ上で、コレクターたちから最も注目されているアーティストは誰か。インスタでの注目度(フォロワー数やいいねの数など)とオークション価格との相関関係などを、アート市場のトレンド調査に特化したスイスのNAMACと共にまとめている。

英文リポート
“The Next Generation Collectors Report”(ネクスト・ジェネレーション・コレクターズ・リポート)

発行元:Larry's List(ラリーズリスト)

次世代のコレクターとして注目すべき人物について、経歴やコレクション、運営する私設美術館などの活動をまとめる不定期リポート。ラリーズリストは、香港を拠点に、世界70カ国以上、3500人以上のアートコレクターのデータベースを持ち、アーティスト、ギャラリー、コレクターを結ぶプラットフォームを運営している。広いコレクターネットワークを基にリポートを作成している。

英文リポート
The Art Newspaper
“Visitor Figures 2022”(ビジター・フィギュアズ) 

発行元:The Art Newspaper(アートニュースペーパー)

アートニュースペーパーが毎年3月末に発表する、前年の世界の美術館の来場者数のトップ100。同社は、1990年にイギリスで創刊された国際的なアート情報雑誌。国際版のほか、フランス版、ロシア版、中国版なども発行し、オンラインも含めて世界中に読者がいる。この調査は20年続いており、世界各国の美術館をリストアップし、集計する。紙版の「アートニュースペーパー」4月号に掲載される内容の一部が、ウェブで見られる。

なお、雑誌には、各美術館の来場者数のほか、ジャンルごとの企画展の来場者数や、美術館のSNS数などのランキングも掲載され、さらに読み応えがある。

英文リポート
Citi Global Perspective Solutions
“Global Art Market Disruption”(グローバル・アート・マーケット・ディスラプション)
“Global Art Market Disruption”(グローバル・アート・マーケット・ディスラプション)

発行元:Citi Global Perspective Solutions(シティ・グローバル・パースペクティブ・ソリューションズ)

米金融機関大手シティグループの研究機関シティ・グローバル・パースペクティブ・ソリューションズによる、アート市場に関するリポート。2022年3月17日発表の2022年版は、新型コロナが流行した2020年初めから2021年半ばまでの1年半の市場の動向を調査した。それによると、アセットクラス(投資対象の資産分類)としての世界のアート市場は、先進国株式投資、新興国株式投資、商品先物投資に匹敵する、高リターンの投資分野だった。アート市場全体のリターンは28.2%、印象派・モダンアート指標は41%だった。

今回のリポートは、NFT(非代替性トークン)を、既存のアート市場を破壊しつつ、変革する触媒として注目。デジタル作品が流通し、業界全体がデジタルに移行する中、デジタル・ネイティブ世代の若い顧客にも後押しされて、NFTはアート市場で急速に主流になっている。アーティストとファンと潜在購入者とを直接つなげるというNFTの特性が、市場の持続的な拡大を可能にしており、デジタル移行の傾向は2022年も続くと予測している。さらに、米、英、EUのマネーロンダリング対策を紹介。違法古美術取引の禁止や、商標権侵害やセキュリティ規制問題など、コレクターが注意すべき法規制や手続きについても解説している。

英文リポート
Bank of America
“Art Market Update”(アート・マーケット・アップデート)
“Art Market Update”(アート・マーケット・アップデート)

発行元:Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)

美術品担保ローンで市場を先導し、委託販売やコレクションへの助言、美術館等へのコンサルティングも手がける米金融機関バンク・オブ・アメリカ。同社のプライベートバンク部門「アート・サービス」チームが、年に2回、春と秋に更新する最新市場情報。マクロ経済的視点からアートの市況を整理した上で、コレクター層の変化やNFTなど個別の最新傾向を解説する。また、プライベートバンク部門で取り扱う美術品担保ローンや、税制度についても学ぶことができる。

なお、バンク・オブ・アメリカは、グループとして積極的にアート支援をしている金融機関の一つ。美術品の修復で美術館を支援する冠プログラムを続けており、特設サイトでは美術館と協力して制作した動画を公開している。アートフェア「TEFAFニューヨーク」の主要提携企業でもある。

英文リポート
KnightFrank
“The Wealth Report 2023”(ウェルス・リポート)

発行元:KnightFrank(ナイトフランク)

英不動産コンサルティング会社ナイトフランクが発表する富裕層市場調査リポート。金融資産3000万ドル以上を所有する超富裕層の動向を、世界のプライベートバンカーや資産アドバイザーらに調査した。アートだけに絞っていないが、世界の超富裕層について、資産額、居住都市、住居、投資額と投資先、ライフスタイルなどをまとめている。わかりやすいチャートと情報で、富裕層の世界的な分布や傾向がわかる。

同社はまた、アートを含む高級品市場の専門リサーチ会社である英アート・マーケット・リサーチ社と「高級品投資指数」も発表している。こちらも、アートの専門家からもよく参照される。

英文リポート
AEA Consulting
“Cultural Infrastructure Index 2021”(カルチュラル・インフラストラクチャー・インデックス2021年版)

発行元:AEA Consulting(AEAコンサルティング)

AEAコンサルティングは、米・ニューヨークを拠点に、世界中の文化やクリエイティブ業界のコンサルティングをしている。本リポートは、世界の大規模文化施設(予算規模1000万ドル以上)のうち、その年に建設が発表された、または建設が完了したプロジェクトの一覧をまとめる。

2021年版は22年7月11日に公開された。それによると、新型コロナの影響で一時停止・遅延していた大規模文化施設の建設は21年、速やかに盛り返した。完成した施設は前年(104件)の2倍以上となる211件、建設計画の発表も前年(130件)を34%上回る174件。完成・計画発表ともに、本リポートが始まった2016年以来の最多件数を記録した。投下資本も、完成施設で計111億6100万ドルと、前年の57億4000万ドルの倍近くに。ただし、完全新規の案件は減り(前年102から今回91)、一方で、既存施設の拡張(同13から36)や大規模リフォーム(同15から29)は増えた。

特集では、一般公開している美術館の収蔵品保管庫を取り上げた。中でも「世界でいま最も洗練された公開収蔵施設」として、オランダ・ロッテルダムの展示型収蔵庫「デポ・ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン」を紹介。同所は、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館本館の隣に2021年11月に新設された。大規模改修のため25年まで閉館中の本館に代わり、保管している全収蔵作品15万1000点を一般に公開。年間15万~25万人の来館者を見込んでいる。

英文リポート
経済産業省
アートと経済社会について考える研究会 報告書

発行元:経済産業省

経済産業省史上初のアートに関する報告書。近年、日本でもアートにおける企業の成長や、地域の活性化などの経済産業的な価値も認識されはじめ、経済産業省では、35人の有識者からなる研究会を設置し、議論が積み重ねられてきた。これは、その成果がまとめられたリポートになっており、企業や地域の人々がアート活動に取り組む上でのポイントや、課題と対策について書かれている。リポートはこちら