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ART MARKET REPORT

世界中の企業や研究機関が、アートと経済に関する調査・分析をし、毎年のように発表しています。富裕層の研究やアート市場の変遷や傾向など、ビジネスの参考になりそうなリポートを、ARTnews JAPANが選びました。最新版が出るたびに情報を加えるほか、日本語抄訳も順次、お届けする予定です。注目リポートが新たに出れば追加でご紹介していきます。
サンプルはこちら

REPORT

Art Basel | UBS
“The Art Basel and UBS Global Art Market Report” (アートバーゼル・アンド・UBS・グローバル・アート・マーケット・リポート、略称「The Art Market 2022」)

発行元:Art Basel | UBS(アートバーゼル、UBS)

※2022年7月19日に日本語で読めるPDF第3章「アートオークション」を追加更新いたしました。一度ダウンロード済みの方も最新版をぜひ再度ご覧ください。

アート市場の動きを分析、解説し、アート関係者必読とされる本リポート。2022年3月に発行された最新の2022年版によると、2021年のアート市場は、新型コロナ禍で縮小した前年から一転、力強く回復した。市場全体では前年比29%増の推計651億ドルになり、2019年水準を上回った。国別で世界1位の米国はシェアを43%にまで拡大し、中華圏は20%と、英国を抜いて2位になった。対面のオークションやイベントが再開され、オークションの売上高は前年比で47%増とV字回復、推定263億ドルに達した。フェアは徐々に再開され、売り上げはコロナ前の水準には戻っていないものの、今後12カ月間に売り上げが「増加する」と予測するディーラーは3分の2に及ぶ。オンライン販売は、21年は7%増と小幅増だったが、拡大を続けている。今回、NFTについても初めて深く掘り下げた。

注目すべきは富裕層の動きで、積極的に美術品と骨董品を購入していた。富裕層人口の増加が、価値の高い作品の需要を押し上げ、大手ギャラリーやディーラーの業績回復に寄与した。富裕層コレクターの74%は2021年にNFTアートを購入していた。彼らの支出額の中央値は、2019年を1とすると20年には1.75、21年には3.8にまで伸びた。富裕層コレクターの9割近くはNFTアートの購入に関心を示しており、半数以は22年にアートを購入すると見込まれる。

2022年の市場展望では、ディーラー、オークションともに売り上げ増を予測している。

※ARTnews JAPAN編集部がリポートの一部を編集・抄訳しPDF化いたしました。ぜひ、ご活用ください。

〈PDFの抄訳対象章〉

  • 第1章「2021年の世界のアートマーケット」
  • 第3章「アートオークション」(追加更新
  • 第4章「世界の富裕層とアートコレクター」
英文リポート
“The Art Basel and UBS Global Art Market Report” (アートバーゼル・アンド・UBS・グローバル・アート・マーケット・リポート、略称「The Art Market 2021」)

発行元:Art Basel | UBS(アートバーゼル、UBS)

※2022年4月25日に日本語で読めるPDF第4章「アートフェア」を追加更新いたしました。一度ダウンロード済みの方も最新版をぜひ再度ご覧ください。

世界最大のアートフェア「アート・バーゼル」とスイスの金融機関UBSが、2017年から毎年3月に発表している市場リポート。アート業界で最重要視され、関係者必読の基礎資料となっている。執筆は、アート市場分析では第一人者の文化エコノミスト、クレア・マッキャンドルーが率いる市場調査会社アーツ・エコノミクス社と、UBSウェルスマネジメント部門の富裕層投資家調査を専門とするチーム。一年間の世界の市場の動向を多くのデータを使って総合的に評価する。また、ギャラリー、オークション、アートフェア、富裕層、オンラインなど分野ごとの動向も詳述している。このリポートを下敷きに、アートバーゼルとUBSは、ポッドキャストやウェビナーなどで市況に関する情報を活発に発信している。

2020年からは、9月に上半期の市場傾向についての中間リポートも出している。世界のギャラリーや画商、コレクターを対象に調査し、まとめたもの。2021年9月に発行された最新号では、コロナ禍のアート市場が上向き基調にあることを示した。ディーラーの過半数が売上高を伸ばし、富裕層コレクターの平均支出額も上昇した。オンライン取引は重要性を加速させ、ミレニアル世代の富裕層や女性コレクターも増えるなど、市場は楽観的な状況にあると解説した。

※ARTnews JAPAN編集部がリポートの一部を編集・抄訳しPDF化いたしました。ぜひ、ご活用ください。

〈PDFの抄訳対象章〉

  • 第1章「2020年の世界のアートマーケットについて」
  • 第3章「アートオークション」
  • 第4章「アートフェア」(追加更新
  • 第6章「世界の富裕層とアートコレクター」
英文リポート
Deloitte Private | ArtTactic
“Art & Finance report ”(アート&ファイナンス・リポート)
“Art & Finance report”(アート&ファイナンス・リポート)

発行元:Deloitte Private | ArtTactic (デロイト、アートタクティック)

デロイト(本社・ルクセンブルク)は、美術館も含めて、アートの資産としての助言やアートに関わる法律対策など、アートとビジネスに関する多様なサービスを展開するコンサルティング会社。同社のアート&ファイナンス部門が、アートの市場調査会社最大手であるアートタクティック社とともに2011年から毎年発表している、アートに特化した市場リポート。アートとビジネス、文化と金融の関わりを具体的に解説し、数々のメディアでも引用されている。

2021年10月発行の最新号では、パンデミックに翻弄(ほんろう)される不安定な経済の下での最新情報を解説。金融戦略の視点からアートの重要性がますます高まる中、アートに関連するサービス、投資、ブロックチェーン、リスクマネジメントや規制に関する最新情報を網羅的に記す。公式 サイトでは、デロイト・アート&ファイナンスの責任者とアートタクティックのアンダース・パターソン代表らがリポート内容をわかりやすく説明するウェビナーも視聴できる。

英文リポート
TEFAF(The European Fine Art Fair)
“Art Market Report” (アート・マーケット・リポート)

発行元:TEFAF(The European Fine Art Fair)(テファフ、欧州現代アートフェア)

TEFAF(テファフ、欧州現代アートフェア)は、世界で最も重要なアートフェアの一つで、オランダ・マーストリヒトと米国・ニューヨークで毎年開催されている。そのTEFAFが、デロイトのリポートも作成するアートタクティック社と共同で発行する市場リポート。毎年、注目すべき個別テーマについて掘り下げる。

2020年発表の最新版リポートでは、パトロンとの関係性に焦点を当てた。古くからあるアートとパトロンの関係が変化してきていることを、各国の企業や財団の事例やインタビューから明らかにする。いまアートを支える庇護者たちは何者で、どんな動機で、いかにアートを支援し、どんなメリットを得ているのか。後援する側が受ける恩恵にも着目した。

これまでのテーマは、他に「画商の金融術」(2018年)、「中国市場」(2019年)など。TEFAFは2002年から17年までは総合的なアート市場の動向リポートを発行していた(2016年までは、現在アートバーゼルのリポートを執筆するクレア・マッキャンドルーが執筆)。だが、競合フェアの発行するリポートとの差別化を図り、個別テーマを深掘りする現在の形になった。

英文リポート
Artnet
“The Artnet Intelligence Report, Spring 2022”(アートネット・インテリジェンス・リポート2022年春版)

発行元:Artnet(アートネット)

アートネット社は、オンラインのアート作品販売プラットフォームを基盤に、価格データベース、オンラインギャラリー、ニュース情報サイトも展開する米企業。2018年から年2回、春と秋にリポートを発行している。2022年4月12日に公開された最新版(2022年春版)は、NFT(非代替性トークン)、特にデジタル技術を使ったアートの分割所有に焦点を当てた。これを事業として進める企業の創設者や、所有するコレクターらにインタビュー。また、DAO(Decentralized Autonomus Organization、分散型自律組織)が実際に美術品取引に役立つか、この新しいビジネス形態がより多くの顧客の参加を促し、アート市場が株式市場のようになるのかを、探った。

アートオークションのまとめも、もちろん掲載。2021年は、過去最高額となる166億ドルの売り上げを記録。オークションで売られたアート作品は平均単価4万3672ドルと、前年比23%増だった。オンラインのみのオークションは、対面販売が再開されたにもかかわらず、計15億ドル(前年比35%増)と好調。デジタルアートは高額取引トップ10のうち4つを占めた。また、1974年以降生まれの「超現代」アーティストは、19年から21年までにオークション売り上げが305%増と、圧倒的な急成長を見せた。オークションが盛り上がっているのはアジア。アートフェアのフリーズ・ソウルが今秋に開かれる韓国は21年、過去最多かつ前年の倍以上の2億5500万ドルの売り上げを記録した。

アートの制作年代別に、超現代、現代、戦後、印象派&近代、欧州古典に分けて、高額取引ランキングも発表している。オークション売り上げ総合ランキングでは、トップ100人中、女性はわずか6人(前年比で2人減)。女性トップは草間彌生(9位)で、以下、順にジョアン・ミッチェル(36位)、クロード・ラランヌ(41位)、セシリー・ブラウン(70位)、フリーダ・カーロ(71位)、アグネス・マーティン(91位)がランク入りした。

英文リポート
“The Artnet NFT 30 Report”(ジ・アートネット・NFT30リポート)
“The Artnet NFT 30 Report”(アートネット・NFT30リポート)

発行元:Artnet(アートネット)

「NFT空間とその未来の形成」に貢献し、影響力を持つ30人のアーティスト、イノベーター、コレクターらを選出している。「インテリジェンス・リポート」を発行するアートネット社が、昨今のNFTブームを受けてまとめた。リストには、2021年にオークションをにぎわせたビープルやフュウオシャスらのアーティスト、ビープル作品の落札者でありNFT投資家でブロックチェーン起業家のビニェシュ・サンダレサン、暗号資産トロンの創設者ジャスティン・サン、世界で初めてNFTを鋳造したジェニファー&ケビン・マッコイ夫妻らが含まれる。NFTアートの世界には、従来のアート界とは全く違うアーティストとコレクターのコミュニティがあるようだ。キーパーソンの活動や相関関係から、その一端を知ることができそうだ。

英文リポート
“The Artnet Intelligence Report ”(ジ・アートネット・インテリジェンス・リポート)
“The Artnet Intelligence Report”(アートネット・インテリジェンス・リポート)

発行元:Artnet(アートネット)

アートネット社は、オンラインのアート作品販売プラットフォームを基盤に、価格データベース、オンラインギャラリー、ニュース情報サイトも展開する米企業。同社が、2018年から年2回、春と秋に発行するリポート。市況の総括、オークション売り上げの上位アーティスト一覧のほか、アート界でいま起きている出来事を、独自に特集している。注目のコレクターが「何を買っているか」という、お宅訪問的なインタビューも掲載されている。データや画像をふんだんに盛り込み、視覚に訴える紙面で、雑誌のように楽しく読み進められる。

最新の2021年秋号では、ファッションデザイナーのクリスチャン・シリアーノが、ニューヨークの自宅にある自身のアートコレクションを公開。また「これからのコレクターたち」では、韓流アイドルT.O.Pなど、ミレニアル世代のコレクターたちの横顔やコレクションを紹介している。デジタル技術が導くアート界の今後についての考察もある。盛り上がるアジア市場に関する章は、米金融機関モルガン・スタンレーとの共著。

英文リポート
Artprice
“The Art Market in 2021”(2021年のアート市場)

発行元:Artprice(アートプライス)

フランスを拠点にするアートプライス社による、前年のアートオークション市場に関するリポート。2002年から毎年発行。同社は、72カ国6300のオークションハウスと提携し、価格データベースや専門家による価格査定を提供している。21年を振り返る最新版(2021年版)は、22年3月18日に発行された。

それによると、21年の世界のアート市場の総取引額は、計約171億米ドル、前年比60%増と大きく回復した。うち、西洋の現代アートの売り上げは約109億米ドル、68%増だった。NFT(非代替性トークン)は2億3243万米ドルを売り上げた。オークションでの販売ロット数は29%増え、過去最多となった。

国別で取引作品数を見ると、1位は変わらず米国(販売数13万8662点)。次いで、フランス(同9万1692点)、英国(同8万4660点)、中国(同6万3400点)、ドイツ(同4万5250点)、イタリア(同3万9535点)と続く。全世界のアート取引の約2割が米国に集中している。

一方、金額ベースでは、中国が59億ドルと、米国の57億ドルを抜いて最高額となった。中国は、点数では米国の半分ほどしか取引がないものの、金額では全世界販売額の35%を占めた。両国にかなり水をあけられた形で続くのが、英国約20億ドル、フランス10億ドル。

作家別の総合売上高リストでは、1位はピカソ、2位バスキア、3位ウォーホル、4位モネ、5位リヒター、6位張大千、7位ゴッホ、8位バンクシー、9位トゥオンブリー、10位草間彌生だった。草間はこのリストで史上初めてトップ10入りを果たした女性となった。また草間の過去20年の価格上昇率は963%増だった。作家別の販売点数のベストは1位ピカソ、2位ダリ、3位ウォーホルで、村上隆が6位に入った。再販による利益が最も高かった作家は、21年5月に3000万ドル超で売却されたバスキア(前回落札額の1300倍以上)だった。

ほかに、1975年以降生まれの「買うべき」アーティスト(「レッド・チップ・アーティスト」と呼ぶ)についても売上高トップ10を紹介(ロッカクアヤコが7位にランクイン)、人気の高まりなどについても詳述している。ほかに、前年のリポート同様、NFTの動向についても解説している。

英文リポート
“The Art Market”(ジ・アート・マーケット)
“The Art Market”(アート・マーケット)

発行元:Artprice(アートプライス)

フランスを拠点に、72カ国6300のオークションハウスと提携し、価格データベースや専門家による価格査定を提供するアートプライス社が、2002年から発行するリポート。世界の1年間のオークション市況をあらゆる角度から振り返る(ギャラリーのデータは含まない)。2014年からは、中国のアート市場調査会社AMMA(Art Market Monitor of Artron:アート・マーケット・モニター・オブ・アートロン)の協力で、今や世界一のオークション売り上げを誇る中国市場のデータも取り込む。オークションで売れた、古代から現代までのアート作品の種類、落札場所、落札価格などを豊富なグラフとデータで網羅。特筆すべき落札記録は作品画像とともに紹介する。巻末にはアーティストのオークション売り上げランキング500も掲載。オークション市況の理解には欠かせないリポートとなっている。

コロナ下の2020年をまとめた最新版は、ロックダウンやアートフェアの中止など業界が受けた影響を、オークションの結果と時系列に重ねて振り返る。急速に広まったオンライン化や、若いアーティストの台頭など、業界の傾向もまとめる。

英文リポート
“Contemporary Art Market Report (コンテンポラリー・アート・マーケット・リポート)”
“Contemporary Art Market Report”(コンテンポラリー・アート・マーケット・リポート)

発行元:Artprice(アートプライス)

前出のアートプライス社が、現代アートに特化して、世界のオークション結果を多角的に分析し、まとめたリポート。どこの国のどのオークションハウスで、どのアーティストの作品が何点出品され、その落札価格はいくらだったか。多くの売り上げを立てたアーティストについては、オークションデータとともに紹介する。2006/2007年版から毎年、続いている。

2021年版は、記録的な金額で落札されたビープルに代表されるNFT(非代替性トークン)について詳しく解説している。2021年2月から6月までNFTアートの周辺で何が起こったか、関連するオークションの動きと共に時系列で振り返る。また、セカンダリー市場で盛り上がっている「ウルトラ・コンテンポラリー」と呼ばれる若手アーティストや、近年、市場で存在感を増すアフリカ系など非白人アーティストにも言及。巻末には現代アートに絞ったオークション売り上げランキング500の他、40歳以下のアーティストの売り上げランキングも掲載されている。

英文リポート
Hiscox | ArtTactic
“Hiscox Online Art Trade Report 2021 Part 2” (ヒスコックス・オンライン・アート・トレード・リポート2021年版パート2)

発行元:Hiscox×ArtTactic(ヒスコックス、アートタクティック)

オンラインのアート取引をまとめたリポート。現代アートの保険を取り扱い、アートコレクションでも有名な英大手保険会社ヒスコックスが、デロイトなどのリポートも手がけるアートタクティック社と共著で、2013年から出している。2020年からは年3回発行し、最新の「2021年版パート2」は2022年5月6日に発表された。最新版は、オンライン売買の2市場の違いと融合について指摘。2市場とは、物理的な作品を扱う伝統的なアート市場と、デジタル作品のNFT(非代替性トークン)アート市場。前者はすでに市場として成熟、オンライン売買は市民権を得た。後者はアートファン以外による投機的な取引が目立つという。調査は、アートタクティック社が2022年1月に実施し、アート購入者595人の回答を基にまとめた。

最新版によると、アートの購入者の65%が、過去12カ月にアートか収集品をオンラインで買った(20年は59%、19年は43%)。アート市場のデジタル化は永続的と考えている購入者は84%に上った(20年は51%)。また、21年上半期のオンライン販売は72%増という驚異的なペースで、下期も同ペースなら年間売上高は135億ドルと過去最高に達する見込みだ。ただし22年の伸びは鈍化が予想される。初めてアートを買ったのがオンラインだった割合は、若手コレクターで31%(20年は14%)、アート購入初心者(3年以内に購入し始めた人)で47%(同30%)だった。

一方のNFT。アート購入者の27%が今後12カ月にNFTを購入する予定で、デジタル市場との融合は今後も続きそうだ。特に、年10万ポンド(約1600万円)以上もアートに費やす大消費者は、31%が過去12カ月にNFTを購入していた。また、NFT購入者が重要視するのは芸術性やアーティスト支援よりお金。投資的な潜在価値を最大の購入動機に挙げたのは、NFT購入者の82%。ことに過去12カ月に2万5000ドル以上をNFTに投じた人では、ほぼ全員(95%)が投資リターンを主な購入動機と回答した。NFTアートを買う訳(複数回答)は男女で大きく異なり、投資:アート愛:アーティスト支援の割合が、男性は96%:58%:29%、女性は67%:58%:50%だった。

英文リポート
“Online Art Trade Report” (オンライン・アート・トレード・リポート)
“Online Art Trade Report”(オンライン・アート・トレード・リポート)

発行元:Hiscox x ArtTactic(ヒスコックス、アートタクティック)

オンラインのアート取引に焦点を当ててまとめているリポート。現代アートの保険を取り扱い、アートコレクションでも有名な英大手保険会社ヒスコックスが、デロイトなどのリポートも手がけるアートタクティック社と共著で、2013年から続けている。オンライン売買の拡大とともにリポートの内容も拡充、2020年からは年3回の発行になった。

現在出ている2021年版パート1は、2020年後半からの1年間を扱う。アートとオンラインに関する出来事を時系列にまとめ、急成長するオンライン市場の動きを振り返る。購入希望者がオンラインで「実物を見ずに買うこと」で抱く不安について、調査データをもとに、販売側がどう対応しているかや今後の課題などを、作品の購入手順に沿って解説している。

英文リポート
ArtReview
“Power 100” (パワー100)
“Power 100”(パワー100)

発行元:ArtReview(アートレビュー)

アーティスト、コレクター、ギャラリスト、批評家、キュレーター、モノ・コトなど、アート界で最も影響力のある100人(組)をランキング形式で紹介する。イギリスの現代アート情報メディア「アートレビュー」が、2002年から毎年発表している。全世界のアート界の識者30人以上から匿名で寄せられた意見を基に、過去12カ月間に現代アートの発展に貢献したトップ100を認定する。

2021年に1位になったのは、NFTの規格である「ERC-721」だった。2020年も1位に「ブラック・ライブズ・マター」、4位に「#me too」がランクインするなど、人物や団体だけでなく、アート界の動向やモノ・コトまでも取り上げる。

2021年版では、日本からは森美術館の片岡真美館長が59位でランク入り。草間彌生は2013年から19年まで毎年、登場していた。影響力のある人物の活動や国際的な評価を知ることができるほか、アート界の傾向や動きを理解できる。

英文リポート
Apollo Magazine | BNP Paribas
“Apollo 40 Under 40” (アポロ40・アンダー40)
“Apollo 40 Under 40”(アポロ40・アンダー40)

発行元:Apollo Magazine / BNP Paribas(アポロマガジン、BNPパリバ)

いま注目すべき「40歳以下の40人」のリスト。1925年にイギリスで創刊され、長い歴史を持つ美術情報・批評誌であるアポロマガジンが毎年発表している。アーティスト・キュレーター・批評家・コレクター・ビジネスの各分野で、地域(ヨーロッパ・アジア・中東・アフリカなど)やテーマを特定して、影響力のある40歳以下の人物リストをまとめている。現在と今後のアート界を先導するキーパーソンについて知ることができる。調査には、ドイツ銀行やBNPパリバなどの企業が協力している。

2021年発表の一覧はアフリカに焦点を当てた。2020年は地域横断的に「アートとテック」というテーマでまとめられ、日本からもメディアアーティストの落合陽一が選出された。アジア太平洋地域に焦点をあてたリストは2016年に発表され、日本からは(発表当時40歳以下だった)Chim↑Pomと毛利悠子の2組が入った。

英文リポート
Artsy
“Artsy Gallery Insights: 2022 Report”(アーツィー・ギャラリー・インサイツ)

発行元:Artsy(アーツィー)

2022年4月14日に公表された最新版は、21年のギャラリー市況をまとめた。新型コロナが落ち着き、対面イベントや店舗営業が再開された2021年もオンライン販売は続伸。回答したギャラリーの64%が前年比で販売量が増えたと答え、またオンライン取引の半数近くが新規顧客だったという。オンライン販売は一過性のものではなく、今後も定着しそうだ。

世間では盛り上がっているNFT(非代替性トークン)だが、ギャラリー全体で見ればいまだ少数派だ。調査したギャラリーのうち、2021年にNFTを販売したのはわずか11%。だが22年に販売予定のところは25%で、30%は将来的な暗号資産による支払いに関心を寄せていた。

また、売買時の決済方法については、ギャラリーは銀行振り込みによる支払いを好む一方で、ほとんどの顧客はクレジットカード払いを望んでいた。デジタルネイティブ世代のコレクターの台頭や、新型コロナ以降に増加したオンラインやアプリ経由のアート購入が影響しているようだ。

英文リポート
Artsy-Gallery-Insights-2021-Report
“Gallery Insight”(ギャラリー・インサイト)

発行元:Artsy(アーツィー)

ギャラリービジネスの1年間の動きをまとめたリポート。調査主体のアーツィーは、世界各地のギャラリーと提携して、各ギャラリーが所有する作品をオンラインで検索・購入できる仕組みを提供するポータルサイト。このリポートは、自社の提携ギャラリー以外も含む、1700を超える世界中のギャラリーネットワークへの調査をもとに、2019年から毎年発行している。

最新の2021年版は、ギャラリーの営業戦略や予算など、業界内部の視点で分析する。ギャラリーの店舗、フェア、印刷媒体などのリアルな(オフライン)営業から、ウェブサイト、ソーシャルメディア、ウェブ広告といったバーチャル(オンライン)での営業まで、各ギャラリーの戦略的な優先順位がわかる。また、業界内の人種やジェンダーの多様化、地域ごとの分析もある。

アーツィーは他に、コレクターの最新の動きをまとめるリポート”The Art Collecting”(アート・コレクティング)も不定期に発行している。自社サイトのコレクター会員からの回答をもとに、何を動機に、どんな作品をどこで探し、購入に至ったのかなどをまとめたもの。

英文リポート
ARTnews
“TOP 200 Collectors (トップ・200コレクターズ)”
“TOP 200 Collectors”(トップ・200コレクターズ)

発行元:ARTnews(アートニュース)

米ARTnews社が、1991年から毎年発表している世界のトップコレクター200人のリスト。コレクター、キュレーター、画商、オークションハウス、美術館などへのインタビューや、推薦されたコレクター本人らへの調査を基に200人を選出する。美術界だけでなく、ビジネス界からも注目されるリスト。各人のプロフィールや所有作品リストがまとめられ、作品の種類や作家の活動する国、コレクターの職種などから、トップコレクターの傾向の変遷もわかる。また、多くのコレクターは収集するだけでなく、財団を運営して美術館を経営したり、アートに関連する技術に投資したりと、アートに関する様々な支援や活動をしている。世界の富裕層やビジネストップたちがアートで何をしているのかも知ることができる。

2021年版のリストには、日本からも石川康晴、前澤友作、大林剛郎、柳井正の4人のコレクターが掲載された。

英文リポート
Larry's List
“The Art Collector Instagram Attention Report”(アートコレクター・インスタグラム・アテンション・リポート)

発行元:Larry's List(ラリーズリスト)

2022年1月発行の最新版リポートは、コレクターとアーティストとSNSの関係を掘り下げている。アートの世界で最も活用されているのはインスタグラムだ。インスタ上で、コレクターたちから最も注目されているアーティストは誰か。インスタでの注目度(フォロワー数やいいねの数など)とオークション価格との相関関係などを、アート市場のトレンド調査に特化したスイスのNAMACと共にまとめている。

英文リポート
“The Next Generation Collectors Report”(ネクスト・ジェネレーション・コレクターズ・リポート)

発行元:Larry's List(ラリーズリスト)

次世代のコレクターとして注目すべき人物について、経歴やコレクション、運営する私設美術館などの活動をまとめる不定期リポート。ラリーズリストは、香港を拠点に、世界70カ国以上、3500人以上のアートコレクターのデータベースを持ち、アーティスト、ギャラリー、コレクターを結ぶプラットフォームを運営している。広いコレクターネットワークを基にリポートを作成している。

2021年版は、存在感を増す若手コレクターに焦点を当て、150組の「次世代」のコレクターを取り上げた。それぞれのインスタグラムアカウントも掲載、気になるコレクターのコレクションをインスタグラムで確認できる。どんな動機で作品を買い、コレクションを活用しているかなど、若いコレクターたちのインタビューも。日本からは、イノウエ・ユウジ、コガ・アラタ の2人が掲載された。

英文リポート
The Art Newspaper
“Visitor Figures 2021” (ビジター・フィギュアズ2021)

発行元:The Art Newspaper(アートニュースペーパー)

アートニュースペーパーが毎年3月末に発表する、前年の世界の美術館の来場者数のトップ100。2021年に関する最新版は、全世界の370以上の美術館・博物館から寄せられたデータを基にまとめられ、22年3月28日に公表された。

それによると、世界の美術館は21年、ロックダウンが緩和され、ワクチン接種が普及したことで、開館日を増やすことができた。年間の来館者は上位100館の総計で約7100万人と、20年の5400万人からは回復した。だが、新型コロナ以前にはほど遠く、2019年の2億3000万人に比べると、わずか3割に過ぎない。

入場者数1位はパリのルーブル美術館(282万人、20年比で5%増)。ロシア・サンクトペテルブルクの国立ロシア美術館、モスクワのマルチメディア美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館、米国のワシントン・ナショナル・ギャラリーと続く。ロシアの美術館がベスト10に4館も入った一方、常連国の英国が1館も入らなかったのは、ロシアの新型コロナ規制が、西側諸国に比べて緩かったためだ。例えばルーブルで年間116日あった休館日は、国立ロシアでは10日だけだった。また、18~20年と、ルーブルに次ぐ2位に付けていた中国国家博物館(北京)は、中国の公営美術館の21年分のデータ収集・公表が遅れているためにリスト外になった。

なお、アートニュースペーパー紙は19年まで、展覧会ごとの1日あたり来場者ランキングも作成・公表していたが、昨年に続き今年も発表していない。

英文リポート
“Visitor Figures”(ビジター・フィギュアズ)
“Visitor Figures”(ビジター・フィギュアズ) 

発行元:The Art Newspaper(アートニュースペーパー)

アートニュースペーパーが毎年3月末に発表する、前年の世界の美術館の来場者数のトップ100。同社は、1990年にイギリスで創刊された国際的なアート情報雑誌。国際版のほか、フランス版、ロシア版、中国版なども発行し、オンラインも含めて世界中に読者がいる。この調査は20年続いており、世界各国の美術館をリストアップし、集計する。紙版の「アートニュースペーパー」4月号に掲載される内容の一部が、ウェブで見られる。

最新版にまとめられた2020年は、世界中の美術館がロックダウンの影響を受け、入場者数は全体で77%減となった。調査は、美術館ごとの入場者数、前年比、コロナによる閉館日数を示した。コロナの影響や各国政府の対応が、地域ごとで違っていたことも読み取れる。

なお、雑誌には、各美術館の来場者数のほか、ジャンルごとの企画展の来場者数や、美術館のSNS数などのランキングも掲載され、さらに読み応えがある。

英文リポート
Citi Global Perspective Solutions
“Global Art Market Disruption”(グローバル・アート・マーケット・ディスラプション)
“Global Art Market Disruption”(グローバル・アート・マーケット・ディスラプション)

米金融機関大手シティグループの研究機関シティ・グローバル・パースペクティブ・ソリューションズによる、アート市場に関するリポート。2022年3月17日発表の2022年版は、新型コロナが流行した2020年初めから2021年半ばまでの1年半の市場の動向を調査した。それによると、アセットクラス(投資対象の資産分類)としての世界のアート市場は、先進国株式投資、新興国株式投資、商品先物投資に匹敵する、高リターンの投資分野だった。アート市場全体のリターンは28.2%、印象派・モダンアート指標は41%だった。

今回のリポートは、NFT(非代替性トークン)を、既存のアート市場を破壊しつつ、変革する触媒として注目。デジタル作品が流通し、業界全体がデジタルに移行する中、デジタル・ネイティブ世代の若い顧客にも後押しされて、NFTはアート市場で急速に主流になっている。アーティストとファンと潜在購入者とを直接つなげるというNFTの特性が、市場の持続的な拡大を可能にしており、デジタル移行の傾向は2022年も続くと予測している。さらに、米、英、EUのマネーロンダリング対策を紹介。違法古美術取引の禁止や、商標権侵害やセキュリティ規制問題など、コレクターが注意すべき法規制や手続きについても解説している。

英文リポート
“The Global Art Market”(ザ・グローバル・アート・マーケット)
“The Global Art Market”(グローバル・アート・マーケット)

発行元:Citi Global Perspective Solutions(シティ・グローバル・パースペクティブ・ソリューションズ)

米金融機関大手シティグループの研究機関シティ・グローバル・パースペクティブ・ソリューションズによる、アート市場に関するリポート。「成長と繁栄」と題する調査の一環で発表される。シティグループはプライベートバンク部門にアートアドバイザリー・ファイナンス担当がある。リポートは、オークションやアートフェアの取引規模から市況を振り返る。投資ポートフォリオの中の一つの資産投資先としてアートを分析している。金融機関のリポートだけあり、株式や債券、ヘッジファンドなどの金融市場とアートの相関関係をひも解いている。

2020年末に発行した最新版は、パンデミック後のアート市場の回復力について、多くのデータと図で解説する。コレクター層の変化や、市場のデジタルへの移行といった市場の傾向を分析する。ほかに、キュレーターが文化・社会的な議題について執筆している。

英文リポート
Bank of America
“Art Market Update”(アート・マーケット・アップデート)
“Art Market Update”(アート・マーケット・アップデート)

発行元:Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)

美術品担保ローンで市場を先導し、委託販売やコレクションへの助言、美術館等へのコンサルティングも手がける米金融機関バンク・オブ・アメリカ。同社のプライベートバンク部門「アート・サービス」チームが、年に2回、春と秋に更新する最新市場情報。マクロ経済的視点からアートの市況を整理した上で、コレクター層の変化やNFTなど個別の最新傾向を解説する。また、プライベートバンク部門で取り扱う美術品担保ローンや、税制度についても学ぶことができる。

なお、バンク・オブ・アメリカは、グループとして積極的にアート支援をしている金融機関の一つ。美術品の修復で美術館を支援する冠プログラムを続けており、特設サイトでは美術館と協力して制作した動画を公開している。アートフェア「TEFAFニューヨーク」の主要提携企業でもある。

英文リポート
KnightFrank
“The Wealth Report”(ウェルス・リポート)

発行元:KnightFrank(ナイトフランク)

※2022年4月15日に日本語で読めるPDFを公開いたしました。

2022年3月に発行された最新版は、2021年の超富裕層(金融資産3000万米ドル以上)の動向を伝える。新型コロナが2年目に入って世界経済が回復したことを受けて、超富裕層も全世界で新たに5万2000人、9.3%増えた。各地の高級不動産(価格上位5%の物件)市況も活性化、前年比で平均8.4%上昇した。また、投資対象としての価値を示す、ナイトフランクの独自指標「高級品投資指数」によると、過去12カ月にワインと時計が各16ポイント、アートも13ポイント上昇した。これらの高級品(嗜好<しこう>品・収集品)への投資額は世界平均で25%上がった。ほかに、同社の専門家による2021年の分析記事もある。爆発的に広まったNFTなど暗号資産や、アートなど高級収集品の市場について、分かりやすく概説している。


※ARTnews JAPAN編集部がリポートの一部を編集・抄訳しPDF化いたしました。ぜひ、ご活用ください。

〈PDF概要〉

  • 世界の富の分布(超富裕層の人口と世界分布)
  • 向こう10年の見通し(超富裕層の将来予測)
  • 2016~26年の富の中心(超富裕層人口の増加している地域)
  • 富を創造・維持するための好機と脅威トップ10
  • 国際高級住宅指数(PIRI100、2021年の高級住宅の価格変動)
  • 都市の相対価値(100万米ドルで購入できる優良物件の土地面積を比較)
  • 都市富裕指数2022(居住・投資・活動で見た世界各都市の比較)
  • プライベートジェットが最も飛び立つ都市(ベスト9) 高級品投資指数(KFLII、アートやワインなど10分野の高級収集品の変動)
  • 暗号資産の熱狂(2021年にNFTが高値で売れたアーティスト)
  • ウェルスリポートが選ぶ、2021年に最も高価で好奇心をそそったオークション落札結果
  • データベース(情熱投資への超富裕層の選好性)

RECOMMEND
2021年のアート業界とNFT~ナイトフランク「ウェルス・リポート」解説から

英文リポート
“Wealth Report”(ウェルス・リポート)
“The Wealth Report”(ウェルス・リポート)

発行元:KnightFrank(ナイトフランク)

英不動産コンサルティング会社ナイトフランクが発表する富裕層市場調査リポート。金融資産3000万ドル以上を所有する超富裕層の動向を、世界のプライベートバンカーや資産アドバイザーらに調査した。アートだけに絞っていないが、世界の超富裕層について、資産額、居住都市、住居、投資額と投資先、ライフスタイルなどをまとめている。わかりやすいチャートと情報で、富裕層の世界的な分布や傾向がわかる。世界を旅する気分で読める。

同社はまた、アートを含む高級品市場の専門リサーチ会社である英アート・マーケット・リサーチ社と「高級品投資指数」も発表している。こちらも、アートの専門家からもよく参照される。2021年版は、写真家デイビット・ヤーロウのインタビューも掲載した。コレクションまたは投資対象として、現代アート写真を位置付けている。

英文リポート
Jing Culture & Commerce
“Jing Culture & Commerce Report”(ジン・カルチャー&コマース・リポート)
“Jing Culture & Commerce Report”(ジン・カルチャー&コマース・リポート)

発行元:Jing Culture & Commerce(ジン・カルチャー&コマース)

米・ニューヨークを拠点に、中国と世界のアートとカルチャーについて調査・情報発信をするジン・カルチャー&コマース社によるリポート。グローバルな文脈で、中国から世界に広まった、アートに関わる新しい話題を紹介する。背景には、中国国内でアート・カルチャーが盛り上がり、世界中の美術館で中国からの訪問客の重要性が増していることがある。

2021年冬発行の最新リポートは、世界中の美術館が近年、積極的に進めているグッズ販売の背景に迫る。ライセンス契約によるグッズの販売は、ことに中国で大成功しているという。イギリスのヴィクトリア&アルバート博物館やオランダのゴッホ美術館等の事例を挙げながら、各美術館の戦略や、ライセンスの代理人の役割について、また知的財産権についても分かりやすく解説。

同社は他に、他では扱っていない、美術館のライブ配信など最先端の動向についてのリポートも発表している。

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AEA Consulting
“Cultural Infrastructure Index 2021”(カルチュラル・インフラストラクチャー・インデックス2021年版)

発行元:AEA Consulting(AEAコンサルティング)

AEAコンサルティングは、米・ニューヨークを拠点に、世界中の文化やクリエイティブ業界のコンサルティングをしている。本リポートは、世界の大規模文化施設(予算規模1000万ドル以上)のうち、その年に建設が発表された、または建設が完了したプロジェクトの一覧をまとめる。

最新の2021年版は22年7月11日に公開された。それによると、新型コロナの影響で一時停止・遅延していた大規模文化施設の建設は21年、速やかに盛り返した。完成した施設は前年(104件)の2倍以上となる211件、建設計画の発表も前年(130件)を34%上回る174件。完成・計画発表ともに、本リポートが始まった2016年以来の最多件数を記録した。投下資本も、完成施設で計111億6100万ドルと、前年の57億4000万ドルの倍近くに。ただし、完全新規の案件は減り(前年102から今回91)、一方で、既存施設の拡張(同13から36)や大規模リフォーム(同15から29)は増えた。

特集では、一般公開している美術館の収蔵品保管庫を取り上げた。中でも「世界でいま最も洗練された公開収蔵施設」として、オランダ・ロッテルダムの展示型収蔵庫「デポ・ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン」を紹介。同所は、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館本館の隣に2021年11月に新設された。大規模改修のため25年まで閉館中の本館に代わり、保管している全収蔵作品15万1000点を一般に公開。年間15万~25万人の来館者を見込んでいる。

英文リポート
“Cultural Infrastructure Index”(カルチュラル・インフラストラクチャー・インデックス)
“Cultural Infrastructure Index”(カルチュラル・インフラストラクチャー・インデックス)

発行元:AEA Consulting(AEAコンサルティング)

AEAコンサルティングは、米・ニューヨークを拠点に、世界中で、文化やクリエイティブ業界へのコンサルティングを展開している。同社がまとめた、1000万ドル以上の予算規模で、その年に建設が発表された、または建設が完了した、世界の文化施設のプロジェクトの一覧。ここから世界の都市の文化インフラの傾向を読み解く。文化施設には、美術館やギャラリーはもちろん、劇場などのパフォーミングアーツスペース、その他多目的アートスペースや、街の中の文化地区なども含む。世界のどの都市でどんなプロジェクトが進行・完成したかを概観し、アートと文化を巻き込んだ世界中の都市づくりの戦略を知ることができる。

2020年に、美術館を始め新たな文化施設の建設が圧倒的に盛んだったのは中国。最新版は中国・深圳を特集。本リポートに掲載された世界のプロジェクト一覧の実に30%が集中した。注目の施設の建築写真とともに紹介している。

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