“Hiscox Online Art Trade Report 2021 Part 2” (ヒスコックス・オンライン・アート・トレード・リポート2021年版パート2)
オンラインのアート取引をまとめたリポート。現代アートの保険を取り扱い、アートコレクションでも有名な英大手保険会社ヒスコックスが、デロイトなどのリポートも手がけるアートタクティック社と共著で、2013年から出している。2020年からは年3回発行し、2021年版パート2は2022年5月6日に発表された。このリポートでは、主にオンライン売買の2市場の違いと融合について指摘。2市場とは、物理的な作品を扱う伝統的なアート市場と、デジタル作品のNFT(非代替性トークン)アート市場。前者はすでに市場として成熟、オンライン売買は市民権を得た。後者はアートファン以外による投機的な取引が目立つという。調査は、アートタクティック社が2022年1月に実施し、アート購入者595人の回答を基にまとめた。
アートの購入者の65%が、過去12カ月にアートか収集品をオンラインで購入し(20年は59%、19年は43%)、アート市場のデジタル化は永続的と考えている購入者は84%に上った(20年は51%)。また、21年上半期のオンライン販売は72%増という驚異的なペースで、下期も同ペースなら年間売上高は135億ドルと過去最高に達する見込みだ。ただし22年の伸びは鈍化が予想される。初めてアートを買ったのがオンラインだった割合は、若手コレクターで31%(20年は14%)、アート購入初心者(3年以内に購入し始めた人)で47%(同30%)だった。
一方のNFT。アート購入者の27%が今後12カ月にNFTを購入する予定で、デジタル市場との融合は今後も続きそうだ。特に、年10万ポンド(約1600万円)以上もアートに費やす大消費者は、31%が過去12カ月にNFTを購入していた。また、NFT購入者が重要視するのは芸術性やアーティスト支援よりお金。投資的な潜在価値を最大の購入動機に挙げたのは、NFT購入者の82%。ことに過去12カ月に2万5000ドル以上をNFTに投じた人では、ほぼ全員(95%)が投資リターンを主な購入動機と回答した。NFTアートを買う訳(複数回答)は男女で大きく異なり、投資:アート愛:アーティスト支援の割合が、男性は96%:58%:29%、女性は67%:58%:50%だった。