オリジナル・バーキン、匿名の日本人コレクターが14億円超で落札

パリのサザビーズに出品されたエルメスの伝説的バッグ「オリジナル・バーキン」が、史上最高額となる約14億円で匿名の日本人コレクターに落札された。

オリジナル・バーキンのオークション風景
パリのサザビーズで開催された、オリジナル・バーキンのオークションの様子。手数料込みの落札価格は860万ユーロ(約14億7000万円)で競売にかけられた際の様子。写真はオークショニアのオレリー・ヴァンドヴォルド。(撮影:ジュリアン・ヘキミアン/Getty Images)

※ 編集部注:2025年7月11日に公開した当初の記事では、ローレン・サンチェスがオークションの次点入札者であったと報じていましたが、その後、彼女の関係者がこれを否定したことを受け、7月12日に該当部分を修正しました。

エルメスのオリジナル・バーキンが、7月11日(現地時間)にパリのサザビーズに出品され、手数料込みで記録的な860万ユーロ(約14億円)で落札された。落札者は匿名の日本人コレクターだった。

サザビーズは落札者の詳細を明かしていないが、この取引に詳しい情報筋がUS版ARTnewsに語ったところによると、ジェフ・ベゾスの妻であるローレン・サンチェスも入札者のひとりだったという(ただし、サンチェスおよびベゾスの関係者は、彼女が入札したという事実を否定している)。

同日の競売の模様はライブ配信されており、開始価格100万ユーロ(約1億7000万円)を超えた直後から、9人のコレクターによる緊張感あふれる10分間の競り合いが展開された。また、ある情報筋によれば、最後まで競り合っていたアンダービッダー(次点入札者)も日本人だったという。入札のたびに場内からは驚きの声が漏れ、熱気を帯びた展開となった。

オリジナル・バーキンは、単なるラグジュアリーバッグの枠を超えた「文化的アイコン」だ。ジェーン・バーキンのエフォートレスな魅力とともに、分厚いレザーとカスタム仕様で仕立てられたこのバッグは、フランス的エレガンスの象徴として語られてきた。限られた者のみが手にすることができる憧れの対象であり、模倣の対象にもなってきたこのバッグは、アメリカの人気ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」でも、主要キャラクターの一人、サマンサが、バーキンを求めて奔走するエピソードが描かれている。

オリジナル・バーキンは、バーキン本人が1994年にエイズ研究支援のために売却して以降、複数の個人コレクターのもとを渡り歩いてきたが、その間も、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館などでたびたび一般公開されている。最後に競売にかけられたのは約25年前であり、サザビーズによればこのときの出品者は「Catherine B」と名乗る人物だったという。この人物はCNNの取材に対し、「自らの入札バトルを思い出し、あのバッグを勝ち取った時の言葉にできない高揚感がよみがえった」とコメントしている。

今回の落札を受けて、サザビーズでバッグとアクセサリー部門のグローバル責任者を務めるモルガン・ハリミは、「ラグジュアリーファッションの歴史における重要な節目」だとコメントし、こう続けた。

「伝説が、いかにしてコレクターの情熱や欲望をかき立てるのか。今回の落札は、それを如実に示しています。初代バーキンの販売は、最終的にはそのミューズであるジェーン・バーキンの不朽の魅力と精神を称えるものでもあるのです」

from ARTnews

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