金属探知機愛好家が畑で発見! イギリス「最重要遺物」のひとつ、「金と水晶の壺」が初公開
スコットランド・ダンフリース近郊で金属探知機愛好家により発見された、10世紀の宝物群「ギャロウェイ宝物」。中でも最も考古学的価値があるとされる金と水晶の壺が今年11月に初公開されることが決まった。

今世紀のイギリスにおける最も重要な考古学的発見と言われる10世紀の宝物群「ギャロウェイ宝物」。その中の金と水晶の壺が、今年11月8日からカークカドブライト・ギャラリーズで開催される「ギャロウェイ宝物:ロッククリスタル壺」展で初公開されることが決まった。BBCが報じた。
ギャロウェイ宝物は2014年、金属探知機愛好家のデレク・マクレナンがスコットランド・ダンフリース近郊の畑で見つけたもので、大きな容器にペンダント、ブローチ、ブレスレット、聖遺物など24点が収められていた。
宝物群はナショナル・ヘリテージ・メモリアル・ファンド、アート・ファンド、スコットランド政府の支援などにより、2017年にスコットランド国立博物館が取得。同館が遺物を調査したところ西暦900年頃、バイキング時代のものと判明した。その中の絹で裏打ちされた革の袋を大英博物館の協力で3D・X線撮影したところ、亜麻布で丁重に包まれた高さ5センチの金と水晶の壺が現れた。壺の底部には金細工で「司教ヒューガルドが私を作らせた」とラテン語で書かれており、宗教的な用途に使われていたと推測された。だが当時の教会記録には空白があるため、ヒューガルドが誰であったか、また彼がどこを拠点としていたかを正確に特定することはできなかったという。
壺を包んでいた袋もスコットランド最古の絹が使われている可能性があり、重要な遺物として、数カ月かけて壺と袋を分離させた。
この水晶の壺について、スコットランド国立博物館のマーティン・ゴールドバーグ博士はBBCの取材に対して、「ギャロウェイ宝物の中でも特に注目すべき物品の1つです。壺は2000年前に古典的なコリント式円柱の形に彫られ、その数百年後には極めて精巧な金の装飾と所有者の名前が記されました。この1つの遺物は、ギャロウェイ宝物の遺物が複雑に結びついた歴史を持っていることをよく表しています。発見地の近くの施設で初公開されるのは素晴らしいことです」とコメントした。
現在、ギャロウェイ宝物のほとんどは、アデレードの南オーストラリア博物館で開催中の「バイキング時代の宝物:ギャロウェイ宝物群」展に出品中だ(7月27日まで)。その後8月29日から2026年1月26日までメルボルン博物館を巡回する。