金貨933枚を発見した金属探知機愛好家が申告不履行などの罪で逮捕。財宝は地元博物館への収蔵が決定
イギリスで無許可の金属探知機愛好家によって発見された933枚の鉄器時代の金貨が、地元組織の力によりチェルムスフォード博物館に収蔵されることが発表された。発見者は財宝申告の不履行と窃盗の罪で逮捕された。

2020年にイギリス・エセックス州グレート・バドウで金属探知機愛好家によって発見された紀元前60〜20年のものと考えられる933枚の鉄器時代の金貨を含む遺物が、地元のチェルムズフォード博物館に収蔵されることが決まった。
チェルムスフォード・シティ・ライフによると、大量の金貨と器の断片からなる「グレート・バドウ宝物群」は、探知する許可を持っていなかった金属探知機愛好家によって私有地で発見された。発見者は当初、1996年に制定された財宝法を無視して発見を申告しなかったが、その後、土地所有者に伝えたものの未申告の硬貨を所持していたことでエセックス警察によって逮捕された。
イギリスで発見された鉄器時代の金貨の埋蔵物としては最大級となるグレート・バドウ宝物群は、エセックスの検視官によって財宝であることが確認され、大英博物館により目録化された。財宝評価委員会は、申告を怠った不正行為により発見者には報奨金を支給せず、土地所有者のみに発見物に対する報奨金を与えることを決定。発見者はその後、チェルムスフォード治安判事裁判所で財宝申告の不履行と23枚の硬貨を窃盗しようとした罪で有罪となった。
金貨は2025年5月に、ナショナル・ロッタリー・ヘリテージ基金からの25万ポンド(約4800万円)の資金提供のほか、チェルムスフォード市議会、チェルムスフォード博物館友の会、エセックス考古学歴史協会、エセックス・ヘリテージ・トラスト、英国考古学評議会東部支部、エセックス貨幣学会からの寄付により、地元に留まることが決まった。
大量の金貨が地中に埋められた理由について、チェルムスフォード博物館の学芸員クレア・ウィレッツは、「紀元前54年のカエサルの第2次イギリス侵攻時の混乱と一致する可能性があります。これらの出来事はローマの資料に記録されていましたが、それを裏付ける考古学的証拠はほとんどなく、グレート・バドウ宝物群は後期鉄器時代の東部イギリスの歴史の理解において重要な発見となるでしょう」と説明する。
グレート・バドウ宝物群はチェルムスフォード博物館で2026年夏から特別展示され、その後2027年春から同館で常設展示される予定だ。