【2025年決定版】日本のアートホテル27選。東京の新スポットからアートに癒される温泉宿まで

憧れのアート作品が館内や客室に展示され、宿泊そのものを特別な体験へと変えてくれる「アートホテル」が日本全国に広がっている。まるで美術館に泊まっているかのような高揚感を味わえる一方で、「アートと共に暮らす」事の魅力を知ることが出来るアートホテルは、アート好きの旅には見逃せない選択肢となるだろう。今回は、個性あふれる空間や独自のコンセプトが光る、選りすぐりの全国27施設を紹介する。

板室温泉 大黒屋(栃木・那須塩原)

1. KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS(東京・墨田)

Photo: Takumi Ota
アート作品が飾られたラウンジ。Photo: Takumi Ota
ミニマルだが優しい雰囲気の客室。Photo: Takumi Ota
ホテル外観。Photo: Takumi Ota

「アートストレージ」と「ホテル」の融合という独自のコンセプトを持つKAIKA 東京は"SHARING WITH LOCALS(地域との共生)"をテーマに掲げるTHE SHARE HOTELSのひとつ。ホテル併設のカフェやアートストレージの一部は宿泊者以外でも利用することができる。共用エリアにはアートギャラリーが作品を公開保管する9つのストレージを設置し、多彩なアートを収蔵・展示。さらに、2年に1度のアワードでは入選作品を館内に展示し、新たな才能を発掘する機会を創出している。現在は戸張花、倉敷安耶、足立篤史などの作品が展示されている。

KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS
住所:東京都墨田区本所2-16-5
Tel:03-3625-2165


2. BnA_WALL(東京・日本橋)

magma「HARDCORE GAME ROOM」の風景。Photo: Tomooki Kengaku
YOSHIROTTEN「- Float -ROOM」の様子。Photo: Tomooki Kengaku
1階ラウンジ。Photo: Tomooki Kengaku
Photo: Tomooki Kengaku

館内に作品を展示するのではなく、空間そのものをアーティストとともにつくりあげたホテル。26室の客室はYOSHIROTTENや渡辺真子 a.k.a. Mako Principalなど独自の世界観を持つ14組のアーティストが手掛ける。宿泊費の一部がアーティストに還元される仕組みも特徴だ。さらに、1階から地下にかけての壁画は定期的に描き替えられ、地下のファクトリーでは展示やワークショップが開催される。BnA_WALLの位置する日本橋は、さまざまな美術館へのアクセスが良好な場所でもあり、アートトリップの拠点としても最適なホテルだろう。

BnA_WALL
住所:東京都中央区日本橋大伝馬町1−1
Tel:03-5962-3958


3. DDD HOTEL(東京・日本橋)

開放的でクリーン、かつ親しみのある雰囲気のDDD HOTELのロビー。
モダンなインテリアでまとめられた客室。
PARCELで行われたDIEGOの展覧会の展示風景。© DIEGO, courtesy of PARCEL / photo: Yutaro Tagawa
DDD HOTEL外観。

デザイナーの二俣公一が30年以上続いたビジネスホテルをフルリノベーション。「コレクティブ・ホテル」と銘打たれているように、アートギャラリーやキッチンスペース、カフェ&バーなど文化施設が併設されており、多様なジャンルのカルチャーやクリエイティビティに触れられる空間が広がっている。ホテルに併設されているギャラリー「PARCEL」では、森靖やDIEGO、小畑多丘など、幅広い分野で活躍するアーティストらの展示が行われている。多くのギャラリーが軒を連ねるエリアにあり、周囲のギャラリーも巡ることで、東京の現代アートシーンの「いま」を知ることができるだろう。

DDD HOTEL
住所:東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1
Tel:03-3668-0840


4. ハイアット ハウス 東京 渋谷(東京・渋谷)

マルチファンクションルームに展示された藤本由紀夫のオルゴール作品。
エントランス通路にあるfumiko imanoの作品群。
ホテル入り口。
フロントカウンターには三島喜美代のセラミック作品が。
レストランにあるガブリエル・リコ作品。

100年に一度と言われる渋谷駅中心地区の再開発プロジェクトにおける主要施設「Shibuya Sakura Stage」内に、2024年2月にオープン。スイートを含む125の客室を備えた同施設は、アートの面からも渋谷の魅力を発信している。館内には、渋谷の持つ「2面性」をテーマに、8人のアーティストによる22点のアート作品が展示される。アーティストは、SHIMURAbros、ラファエル・ローゼンダール、fumiko imano、藤本由紀夫、三島喜美代、ガブリエル・リコ。

ハイアット ハウス 東京 渋谷
住所:東京都渋谷区桜丘町3-3
Tel:03-5428-3898


5. HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel(東京・新宿)

ホテル直営バーにある西野達のインスタレーション。
鷲尾友公によるアートルーム。
開発好明によるアートルーム。
玉山拓朗によるアートルーム。

2023年にオープンした超高層複合施設「東急歌舞伎町タワー」の18~38階に位置する、アートや音楽にインスピレーションを得たスタイリッシュなデザインの客室を揃えた施設。アーティストの開発好明、玉山拓郎、鷲尾友公の3人とコラボレーションしたアートルーム「GROOVE Room」は9部屋用意されており、作品の中に入り込む感覚を楽しめる。客室のウェルカムムービーは、アニメーション作家のぬQが制作。同タワー17階のホテル直営バー「JAM17 BAR」にある、様々な家具を積み重ねた西野達の巨大なインスタレーションは必見だ。

HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-29-1
Tel:03-6233-8888


6. BELLUSTAR TOKYO,A Pan Pacific Hotel(東京・新宿)

青木野枝作品を展示したラウンジ。
45階のレストランとバーには大巻伸嗣作品が。
ペントハウスに展示されている細倉真弓作品。
レセプションに展示された沢村澄子作品。
エントランスにある佐々木類の作品も必見。

同じく「東急歌舞伎町タワー」の高層エリアに位置するラグジュアリーホテル。館内には、愛知県美術館館長・拝戸雅彦と現代美術ギャラリーANOMALYの監修のもと、26組の作家による作品が随所に展示されている。ホテルの客室やレストラン、ラウンジには、沢村澄子、青木野枝大巻伸嗣、細倉真弓、新城大地郎、水戸部春菜、佐々木類の作品が点在。滞在そのものがアート鑑賞を誘う特別な空間を演出している。東急歌舞伎町タワーには、ライブホールや映画館など、来場者のみが楽しめるエリアにもアート作品が多数展示されており、そちらも見逃せない。

BELLUSTAR TOKYO,A Pan Pacific Hotel
住所: 東京都新宿区歌舞伎町1-29-1
Tel:03-6233-8800


7. パークホテル東京(東京・港区)

金丸悠児によるアーティストルーム。
館内には大きな吹き抜けがあり、都心にありながらゆったりくつろげる。

「日本の美意識が体感できる時空間」をコンセプトに、日本の伝統と現代アートが融合したアート作品が、エントランスからレストラン、全客室フロアの回廊まで常時400点以上展示されている。アーティストがホテルに滞在しながら作品を作り上げる「アーティスト・イン・ホテル」プロジェクトによって彩られたアーティストルームが40室以上あり、これまでに金丸悠児、近藤亜樹、成田朱希、石原七生らが手掛けている。現在もアーティストが新たな部屋を制作中だ。定期的にアート関連のイベントやワークショップを開催しており、宿泊者もアート制作を体験することができる。

パークホテル東京
住所:東京都港区東新橋1-7-1
Tel:03-6252-1111


8. 白井屋ホテル(群馬・前橋)

デラックスルームを彩る鬼頭健吾の作品。Photo:©Katsumasa Tanaka
宮島達男の作品はグリーンタワーの上にあるため、鑑賞は宿泊客かフィンランドサウナの利用客に限定。Photo: ©Shinya Kigure
ローレンス・ウィナーの作品が目を引くホテル外観。Photo: ©Shinya Kigure, Art by Lawrence Weiner
時間帯によって異なる色に変わるレアンドロ・エルリッヒの《Lighting Pipes》が吹き抜けを彩る。Photo: ©Katsumasa Tanaka
レセプションに飾られた杉本博司の作品が宿泊客を出迎える。Photo: ©Katsumasa Tanaka

白井屋ホテルは、70年代に旅館からホテルに建て替えられた旧白井屋をリノベーションしたヘリテージタワーと、旧河川の土手をイメージしたグリーンタワーの2棟で構成され、藤本壮介が設計を担った。館内には杉本博司の「海景」シリーズやレアンドロ・エルリッヒの《Lighting Pipes》をはじめ、ライアン・ガンダー白川昌生、五木田智央らの作品が展示されている。藤本やジャスパー・モリソンミケーレ・デ・ルッキ、レアンドロ・エルリッヒが手掛けた特別な客室もあり、是非とも泊まっておきたい。徒歩圏内の「アーツ前橋」、「まえばしガレリア」とともに、前橋のアートシーンを盛り上げる拠点となっている。

白井屋ホテル
住所:群馬県前橋市本町2-2-15
Tel:027-231-4618


9. 板室温泉 大黒屋(栃木・那須塩原)

渡辺豊重作品が設置された庭。
館内にはアート作品が至る所に展示されている。
菅木志雄 倉庫美術館

創業1551年の老舗温泉旅館。那須連山の麓に湧く板室温泉は「下野の薬湯」として古くから知られ、湯治場として人々に親しまれてきた。1980年代後半からは「保養とアートの宿」をコンセプトに掲げ、館内外に現代アートを展示。パブリックスペースでは企画展を開催し、現代アート、工芸など多様な作家を紹介する。四季の移ろいとともに変化する空間を楽しめ、温泉入浴後に浴衣姿で鑑賞できるのが大きな魅力だ。敷地内には「菅木志雄 倉庫美術館」があり、1980年代からの作品約250点が常設展示されている。歴史ある温泉に浸かり、静かに作品と向き合う時間は、日常を離れた贅沢なひとときとなる。

板室温泉 大黒屋
住所:栃木県那須塩原市板室856番地
Tel:0287-69-0226


10. KURKKU FIELDS cocoon(千葉・木更津)

淺井裕介の大作が展示されるラウンジ。
大自然の中にある客室棟。
開放感ある景色が広がる客室内部。
増田セバスチャン《Gaping Hole Secret》
ファブリス・イベール《The Man of Bessines》

東京ドーム約6個分という広大な敷地で農業・食・アート・循環をテーマにおいしさや心地よさを提供するサステナブルファーム&パーク「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」。その中にある宿泊施設「cocoon (コクーン)」は、繭をモチーフにした丸みを帯びたデザインの7棟がある。自然豊かな敷地内には淺井裕介、カミーユ・アンロ、島袋道浩、Chim↑Pom from Smappa!Group、ファブリス・イベール、増田セバスチャン、草間彌生オラファー・エリアソンアニッシュ・カプーアによる11点が点在しており、探しているうちに、アート体験とリフレッシュを同時に出来そうだ(一部有料エリアあり)。

KURKKU FIELDS cocoon
住所:千葉県木更津市矢那2503
Tel:080-4838-0865


11. ホテルキーフォレスト北杜(山梨・北杜)

モダンなホテル外観。
2025年5月までの展示風景。
2025年5月までの展示風景。
2025年5月までの展示風景。
2025年5月までの展示風景。
テラスからの眺望も抜群だ。
中村キース・ヘリング美術館。
中村キース・ヘリング美術館展示風景。

複合リゾート「小淵沢アート&ウェルネス」内の施設の一つ。建築家・北川原温が「縄文文化」から影響を受けて設計した特徴的な建物には、光、風、山、水、土、森をテーマにした6つの客室がある。ホテル館内では、シーズンごとにテーマの異なる展示をおこなっており、訪れる度に新たなアートと出会える。また、敷地内には世界で唯一キース・へリングの作品を常設展示している中村キース・ヘリング美術館がある。約300点を所蔵しており、ホテル滞在者は美術館に無料で入館出来る。

ホテルキーフォレスト北杜
住所:山梨県北杜市小淵沢町10248-16
Tel:0551-36-8755


12. node hotel(京都・中京)

アートコレクターの住まいをコンセプトに設計されたロビー空間。
天井からぶら下がる草木を用いたオブジェも迫力満点。
光の陰影が美しい客室には、国内外の著名アーティストの作品が贅沢に飾られている。
ガラスが印象的なホテル外観。

京都観光にアクセス抜群な四条烏丸にあるnode hotelは「アートコレクターの住まい」というコンセプトのもとにオープン。共用部や客室内に飾られている作品は、実際に世界中のギャラリーやアートフェアでコレクションしたものだ。1階の共用部では絵画、立体作品問わず気鋭アーティストの作品たちが訪れる人々を迎えてくれる。客室内の作品もゲルハルト・リヒターから今津景まで非常に幅広い。同ホテルに宿泊することで、アーティストらの優れた作品とともに暮らすとはいかなることなのかを体感できるはずだ。

node hotel
住所:京都府京都市中京区四条西洞院上ル 蟷螂山町 461
Tel:075-221-8800


13. エースホテル京都(京都・中京)

ロビーのファブリックアート。
客室のソープディッシュ。

ライフスタイルホテルの先駆けといわれるシアトル発「エースホテル」のアジア初進出店。「エースホテル京都」が入居する「新風館」は、近代の名建築、旧京都中央電話局を隈研吾が建築デザインを監修して再活用した文化施設だ。ホテル館内は西洋の内装デザインに、柚木沙弥郎、丹羽優太ら日本の作家や伝統工芸家の作品が置かれたモダンな空間となっている。また、鹿児島の障害者支援センターしょうぶ学園で作られたアート作品が展示されるロビーエリアや客室も見どころ。ロビーは地元住民をはじめ、ホテルに訪れる全ての人へ開放されており、歴史ある街の文化発信地となっている。

エースホテル京都
住所:京都府京都市中京区車屋町245-2
Tel:075-229-9000


14. ホテル アンテルーム 京都(京都・南)

ホテルエントランス。
ホテル外観。
名和晃平ルーム。
ホテル中庭。

学生寮として使用されてきた建物をコンバージョンしオープンしたホテル&アパートメント。全128室の客室と50室のアパートメントで構成されている。アーティストとコラボレーションしたコンセプトルームは蜷川実花、名和晃平、木村舜、kumagusuku、金氏徹平ヤノベケンジ、IBUSHI-GIN、宇加治志帆、宮永愛子が手がけた。ホテル内には京都を拠点に活動するクリエーターの作品を展示するGALLERY9.5を併設。同スペースでは、名和晃平がディレクションを務める「SANDWICH」との共同プロジェクトも進行中だという。

ホテル アンテルーム 京都
住所:京都府京都市南区東九条明田町7番
Tel:075-681-5656


15. The Shinmonzen(京都・東山)

客室URUSHI。
ホテル外観。
館内アート作品。
ホテルダイニング。

建築家・安藤忠雄が設計を手掛けた、9つのスイートルームのみのラグジュアリーホテル。ホテルの空間には、オーナーのパディ・マッキレンが自らデザインした家具とともに、ダミアン・ハーストの《桜》や、ルイーズ・ブルジョワの絵画作品のほか、マーク・ニューソン、ゲルハルト・リヒター、アニー・モリス、メアリー・アンナ・マッカートニー、杉本博司、名和晃平など世界的なアーティストの作品が展示される。館内に展示していないコレクションも多く所有しており、展示作品は随時入れ替えられる。ホテルの位置する新門前通は70軒以上の古美術商が並ぶ「古美術の街」としても知られており、古美術巡りもおすすめだ。

The Shinmonzen
住所:京都府京都市東山区新門前通西之町235
Tel:075-533-6553


16. 丸福樓(京都・下京)

ホテルの外観。
ホテルのエントランス。
ライブラリー。
ジャパニーズスイート。

任天堂の旧本社社屋をリノベーションしたホテル。4棟の建物で構成され、アール・デコ様式が色濃く残る旧事務所、創業者一族・山内家の邸宅、任天堂が当初手掛けていたトランプや花札を保管していた倉庫、そして新たに増築された新築棟からなる。新築棟の設計と既存棟の監修は安藤忠雄が手がけており、客室の中には安藤のサインが壁に記された客室も。全18室の客室は、クラシカルな部屋に加え、安藤忠雄氏デザイン監修の魅力を堪能できる客室や4つのスイートルームも用意されている。館内のライブラリーには関連書籍のほかに、書籍や花札から着想を得たライゾマティクスによるインタラクティブアートや、初代ファミリーコンピュータを表現した作品が置かれ、任天堂の歴史・文化を体験することができる、ファンにはたまらない空間だ。

丸福樓
住所:京都府京都市下京区正面通加茂川西入鍵屋町342
Tel:075-353-3355


17. すみや亀峰菴(京都・亀岡)

エントランス。
アートルーム「呼風」の天の風呂。
ライブラリー「徒然文庫」。
アートルーム「呼風」地の風呂。

京都・亀岡市の歴史ある温泉郷、湯の花温泉を代表する名旅館。2021年に現代美術家・柳幸典が作品と空間の演出を手がけてリノベーションをし、伝統的な日本旅館と現代アートが融合した空間を作り上げた。旅館のロビー兼ギャラリー「百代」には過去・現在・未来と伝統の魅せ場を柳が演出した空間が広がる。また、アートルーム「呼風」では、時間の移ろいによってプリズムの反射角や表情が変化する露天風呂など、天井から床まで、柳によるコンセプトデザインが施されている。柳と協働した、京都・丹波を拠点にする作家・職人たちの卓越した手仕事にも注目だ。

すみや亀峰菴
住所:京都府亀岡市ひえ田野町湯の花温泉
Tel:0771-22-7722


18. THE TOWER HOTEL NAGOYA(愛知・名古屋)

ホテルがある名古屋テレビ塔。
ホテルのレセプション。
客室。
レストランglycine。
カフェFarm&。

名古屋のシンボルであり、重要文化財に指定されている名古屋テレビ塔の中に位置するラグジュアリーホテル。2022年SLH(スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド)が選んだ「アート愛好家のための必見ブディックホテル世界10選」に選出されているほか、2024年7月には国内初となる「Michelin Key Hotel Selection」において、「1 Michelin Key」を獲得している。館内には杉戸洋ら東海3県にゆかりのあるアーティストがホテルのために制作した作品を展示している。客室は杉戸や鷲尾友公など、 一室ごとに異なるアーティストの作品を展示。さわひらきの作品が飾られた喫煙室や、杉戸の作品が置かれたエントランスなど、館内の随所で作品を観ることができる。また、企画展を行うギャラリールームは1日1組限定の客室となっている。

THE TOWER HOTEL NAGOYA
住所:愛知県名古屋市中区錦3-6−15先
Tel:052-953-4450


19. HOTEL VISON(三重・多気郡)

ホテルフロント。
夜の外観。
エドゥアルド・チリーダのポスターがある客室。
ホテル外観。

三重県多気町に位置する食と癒しの大型複合リゾート「VISON(ヴィソン)」内にある宿泊施設。全155室を備えたホテル棟の客室にはスペインの現代彫刻家エドゥアルド・チリーダの版画ポスターが展示されている。公共スペースには、新城大地郎、高山英樹、上野友幸などによる「木」をテーマにした作品を展示。また、戸建ての宿泊施設ヴィラ棟の客室は、棟ごとに異なるアーティストの作品を飾っている。施設内にはアトリエやミュージアムも併設しており、1日かけてアートを満喫することができる。

HOTEL VISON
住所:三重県多気郡多気町ヴィソン672-1 ホテルヴィソン
Tel:0598-39-3090


20. 光の館(新潟・十日町)

外観夜景。 Photo: 光の館
日没ライトプログラム、Outside in (部屋名)の天井開放時の写真。 Photo: 光の館
Light Bath 夜の浴室の写真。 Photo: 光の館

現代美術界の巨匠、ジェームズ・タレルが2000年に行われた第1回「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」で制作した宿泊型の体験作品。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』からヒントを得たという同作は「瞑想のためのゲストハウス」として構想された。陰のある伝統的な日本家屋の空間に、屋根がスライドして空の光が入る2階や、光ファイバーを設置した浴室など、タレルならではの光の演出を仕込んでいる。タレルは作品として3家族がこの館で一晩交流することを望んでおり、利用者が少ない場合は、複数のグループが一緒に泊まることになる。基本素泊まりとなるが、館内にはキッチンがあり、自炊することができる。予約は4カ月ごとに受け付けており、先着順。

光の館
住所:新潟県十日町市上野甲2891
Tel:025-761-1090


21. リバーリトリート雅樂倶(富山・春日)

ホテルロビー。
内田 鋼一作品を眺められる111号室。
アートウォーク。
松田 文平《雅樂倶門》

春日温泉郷に佇むスモールラグジュアリーホテル。建物は本館と、富山県美術館を手掛けた建築家・内藤廣が設計したANNEX(新館)がある。館の内外では、清水久兵衛、内田鋼一、鯉江良二、中村卓夫、桑田卓郎ら工芸とアートの領域で活躍するアーティストの作品を見ることができる。異なる趣を持つ23室の客室があり、客室の中庭に設置されたアート作品は作家が実際にホテルに滞在して制作した。レストランで提供される料理の器も工芸作家の作品というこだわりよう。作品は神通峡に沿って併設されたアートウォークにも設置されており、作品を鑑賞しながら大自然の中で散策することができる。

リバーリトリート雅樂倶
住所:富山県富山市春日56-2
Tel:076-467-5550


22. KUMU 金沢 by THE SHARE HOTELS(石川・金沢)

ホテル外観。
ティーサロン。
和洋室の客室。
館内アート作品。

築53年のオフィスビルをリノベーションした。1階から6階の各エリアには、金沢の伝統や文化を現代的に解釈したアート作品が計13点置かれている。展示アーティストは華雪、木谷洋、高本敦基、Nerhol、橋本雅也、湯川洋康・中安恵一。館内で使われている茶道具や茶器も、地元工芸作家によるこだわりの品を使用している。金沢21世紀美術館や石川県立美術館へも徒歩圏内で、アートと伝統に浸る滞在を楽しむことができる。

KUMU 金沢 by THE SHARE HOTELS
住所:石川県金沢市上堤町2-40
Tel:076-282-9600


23. あらや滔々庵(石川・加賀)

作品展示室。
ロビー。
赤絵皿。
濡れ額。

18代続く老舗の温泉旅館で、山代随一の湯量を誇る温泉地としても広く知られている。15代目の館主が芸術家・北大路魯山人と交流があったことから、館内には魯山人ゆかりの作品が展示されているほか、茶室ギャラリーでは、魯山人の書、器、篆刻などが展示されている。初期の陶芸作品《赤絵十皿》などの貴重な作品は必見だ。また、館内には館主の好みによる現代アートやモダンなデザインのインテリアが並び、地元の伝統工芸である九谷焼なども楽しむことができる。旅館の周辺には、魯山人が九谷焼を学んだ窯元などもあり、歴史と芸術に触れることができるだろう。

あらや滔々庵
住所:石川県加賀市山代温泉18-119
Tel:0761-77-0010


24. 奥入瀬渓流ホテル by 星野リゾート(青森・十和田)

ホテルの外観。
ロビーの岡本太郎作品《森の神話》
岡本太郎作品、大暖炉 《河神》
苔の作品が置かれている苔スイートルーム。
おいらせ苔アートウォール。

特別名勝・天然記念物に指定される奥入瀬渓流のほとりに佇むリゾートホテル。ホテルの象徴となっているのは、エントランスロビーに吊るされた岡本太郎作の大暖炉「森の神話」。鳥やきのこ、森の妖精が暮らす幻想的な情景を描いた圧巻の作品だ。さらに、奥入瀬渓流の水しぶきが妖精へと変化する様子を表現したもう一つの大暖炉「河神」をはじめ、館内には岡本太郎の作品が点在している。また、苔アーティストの山縣健志が滞在制作した「おいらせ苔アートウォール」も見どころの一つ。ホテル全体が、奥入瀬渓流の自然と芸術が融合する特別な空間となっている。

奥入瀬渓流ホテル by 星野リゾート
住所:青森県十和田市奥瀬栃久保231
Tel:050-3134-8094


25. SHIGUCHI / シグチ(北海道・ニセコ)

ホテル館内の美術品。
シグチ 俯瞰図。
そもざギャラリー。
シグチ ギャラリー。
そもざ館内。

写真家でアーティストのショウヤ・グリッグがオーナー兼クリエイティブディレクターを務める宿泊施設。3棟の宿泊棟と、そもざ、アネックス、SPA施設を含む6棟は、築150年の古民家をリノベーションしている。館内では、国内外の美術品や工芸品を鑑賞することができる。全ての客室にショウヤの作品が飾られており、宿泊客限定の「シグチギャラリー」には、コレクションの一部も展示されている。隣接する古民家「そもざ」の地下にも「そもざギャラリー」があり、一万年前の縄文時代の装飾品や土器、アイヌの芸術作品など、北海道のアートや歴史、文化を深く知ることができる品々が常設展示されている。また、アーティストによる講演やカルチャー講座、ワークショップ、イベントなども定期的に開催される。

SHIGUCHI / シグチ
住所:北海道虻田郡倶知安町花園78-5
Tel:0136-55-5235


26. 藤の花ホテル(鹿児島・霧島)

調度品が並ぶホテルロビー。
ホテル外観。
レセプション。
サルバドール・ダリ作品。
パブロ・ピカソ作品。

露天風呂付き全3室のみの贅沢な邸宅ホテル。フラワーデザイナーであるオーナーが手掛けた、美しい自然とアートの調和が魅力。ロビーはオーナーが選んだ調度品が並ぶギャラリーとなっており、パブロ・ピカソサルバドール・ダリルネ・ラリック、エミール・ガレなど、著名なアーティストの作品も並ぶ。館内のインテリアには、メキシコ人デザイナーの家具を中心に、イタリアや北欧のヴィンテージ家具が配され、優雅な空間が広がっている。

藤の花ホテル
住所:鹿児島県霧島市牧園町高千穂3864-43
Tel:0995-64-4455


27. ろ霞(香川・直島)

庭には名和晃平作品が展示されている。
ミニマルにまとめられた客室。
客室に併設された露天風呂。

2022年、香川県・直島にオープンした「直島旅館 ろ霞」は、全室スイート仕様の露天風呂付き客室を備えたラグジュアリーなアートホテルだ。 直島初の本格旅館であり、島の中心地から徒歩5分という好立地にある。館内のアートプロデュースは京都芸術大学教授の後藤繁雄が手掛け、名和晃平のほか、品川亮山本捷平横田大輔茂田真史など20〜30代の若手アーティストらの作品が並ぶ。また、半年ごとに宿泊棟の全11室に描き下ろされた作品を展示販売する「Featuredアーティスト」企画を実施。これまで山田康平、藤本純輝、岡田佑里奈らが選ばれており、現在は第6弾として松岡柚歩の作品を展示中だ。さらにアーティスト・イン・レジデンスやギャラリーの設立も予定されており、日本の若手アーティストの発信拠点として注目を集めている。

直島旅館 ろ霞
住所:香川県香川郡直島町1234
TEL:087-899-2356

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