古代ローマに「巨人部隊」!? ハドリアヌスの長城付近のごみ捨て場から30センチ以上の靴が大量発見
イギリス北部にあるハドリアヌスの長城付近で、長さ30センチメートル以上の古代ローマ時代の靴を多数発見した。考古学者たちは「巨人」で編成されたローマ軍部隊が存在した可能性があるとして、その謎を解くための調査を始めた。

今年5月、ヴィンドランダ慈善財団の考古学者たちが、イギリス北部にあるハドリアヌスの長城付近で8足分の異常に大きな靴を発見した。
CNNの報道によると、場所は、ノーサンバーランド州のマグナ要塞。靴は、子どもや女性用のものと共に、85年頃に古代ローマ人がしばしばごみ捨て場として使用していた要塞の塹壕で見つかった。サイズは30センチ以上あり、ナイキのメンズスニーカーの米国数値に直すと13.5以上にあたる。近隣のローマ要塞で発見された男性靴の平均サイズが8に近かったことを考えると非常に大きい。

発掘を指揮する上級考古学者のレイチェル・フレームは、発見時をこう振り返った。
「最初の大きな靴が出てきたとき、私たちは事態を受け止められず、靴が巨大である理由を探していました。例えばこれは冬用の靴で、人々が靴に詰め物をしたり、厚い靴下を履いたりしたのかもしれないとか。しかし次々と大きな靴やほかの遺物が出てくるにつれ、ようやくこれらは本当に大きな足を持つ人々のものだったと考えるようになりました」
巨大な靴のさらなる謎は、他の遺跡からは滅多に見つからないのに対して、マグナ要塞では発見された靴の約4分の1を占めているということだ。これは、辺境の要塞を背の高い兵士たちで編成された部隊が守っていた可能性を示唆している。
マグナ要塞が使用されていた時期、この地域には複数の異なるローマ軍部隊とその家族が数年ごとに移り住んでいたと考古学者たちは推測している。要塞の壁と祭壇に残された碑文を解読すると、現在のシリアからのハミア弓兵、クロアチアとセルビアからのダルマチア山岳兵、オランダからのバタヴィア族の入植についての記録があるが、各部隊がこの要塞にどれだけの期間滞在したかの記録はない。フレームは、これらの部隊はローマ軍上層部から移動命令が出るとすぐこの場を離れなければならず、兵士たちは急いで余分な靴や衣服などを塹壕に捨てたと考えている。
これらを受けてフレームは、AFPの取材に対して、「人々がローマ人について考える時にはイタリア人を思い浮かべますが、ローマ帝国がいかに広大で、どれほど遠くまで広がっていたかを忘れがちです。私たちは、どの部隊がここに駐留していたのかを明らかにし、巨大靴が大量に発見された謎を解明しようと思っています」と語った。