失われたペルーの古代都市「ペニコ」が一般公開へ。考古学者は「マチュピチュに並ぶ発見」と評価

2017年に発見された南米ペルーの都市遺跡「ペニコ」が、8年間の修復作業を経て7月12日に公開される。その考古学的重要性について、学者は「マチュピチュに並ぶ」と評している。

ペルーにある3500年前の都市遺跡ペニコの全景。Photo: Courtesy Peruvian Ministry of Culture

ペルー文化省は、北バランカ州で見つかった3500年前の都市遺跡「ペニコ」を7月12日に公開すると発表した。

2017年にカラル考古学地区(ZAC)の考古学者らによって発見されたペニコは、その後、修復に8年が費やされた。遺跡の中心部は海抜約600メートルの高さにあり、公共建築物と住宅を含む18の構造物で構成されている。

中でもペニコの都市史において最も重要と言われているのは、「B2」と呼ばれる公共建築物だ。そこでは様々な粘土彫刻や儀式用具のほか、四角形のホールの壁に「プトゥトゥ」と呼ばれる巻貝で作られたトランペットのような楽器が描かれているのが見つかっている。古代アンデスの人々は、プトゥトゥを集会の招集や、神々に祈りを捧げるために使用していた。また、敷地内からは破砕器、金床、ハンマー石を含む多様な石器類などの重要な遺物も出土した。

調査では、ペニコが歴史上で果たした重要な役割も明らかになった。同遺跡はアメリカ大陸で最も古い都市とされるカラル遺跡に近接している。カラル遺跡は紀元前3000年頃に建設され、同時期のエジプトやメソポタミア文明と肩を並べるほどに栄えたが、気候変動により崩壊した。ぺニコはそのカラルの文化的伝統を受け継いで紀元前1800年~紀元前1500年頃に出現し、アンデスの信仰において象徴的意味を持つ赤い顔料、ヘマタイトの交易に携わり、都市の中心地としてスペ渓谷の沿岸地域と高アンデス・アマゾン地域の集落を結んだと考えられている。

さらに、発掘調査を率いるZACの主任研究者兼所長のルース・シャディは、「ペニコはスペ渓谷とワウラ沿岸部、山間部の町々、さらにアンデス・アマゾン地域と高アンデス地域の住民を結ぶ拠点として適した場所を戦略的に選んで建てられています」と説明した。都市の標高の高さは、洪水や土砂崩れから集落を守ると同時に、周辺地域にインパクトを与えることに役立ったという。

また、シャディはペニコの重要性について、ペルーの古代文明における交易と交流を語る遺跡として、都市遺跡「マチュピチュ」や「ナスカの地上絵」などに比肩すると語っている

一般公開を記念して、7月12日には伝統的なアンデスの祭りであるペニコ・ライミの開催も企画されている。同祭では、ペルーの言語ケチュア語で「大地の母」を意味する「パチャママ」を讃える儀式や、芸術祭を含む様々な文化活動が行われる。(翻訳:編集部)

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