【MAP付き】美容と美食だけじゃない! 韓国・ソウルで訪れるべき美術館・ギャラリー20選
2022年にフリーズ・ソウルが始動し欧米のギャラリーが相次いで進出するなど、ますます盛り上がりを見せる韓国・ソウルのアートシーン。とはいえ、韓国旅行のついでに足を運ぼうと思ってもどこに行けばいいのかわかりにくいのも事実。そこでARTnews JAPANおすすめのソウルの美術館・ギャラリーを20軒ピックアップ。巻末のマップ片手に街を歩き、ソウルのアートシーンの熱気を感じよう!
- 1. MMCA(国立現代美術館)
- 2. SeMA(ソウル市立美術館)
- 3. Leeum Museum of Art
- 4. ARARIO MUSEUM
- 5. D MUSEUM
- 6. Artsonje Center
- 7. ARKO Art Center
- 8. Kukje Gallery
- 9. PKM Gallery
- 10. SONGEUN
- 11. P21
- 12. Whistle
- 13. ONE AND J Gallery
- 14. N/A
- 15. Museumhead
- 16. SPACE CADALOGS
- 17. Shower
- 18. YPC
- 19. DDP(東大門デザインプラザ)
- 20. HAUS DOSAN
ソウルのアートシーンは、近年ますます盛り上がりを見せている。2022年に始まったフリーズ・ソウルは年々その規模が大きくなっているほか、ART OnOのように新たなアートフェアの登場も記憶に新しい。
ペロタンやペースなどグローバルギャラリーの進出ももちろん重要だが、せっかくソウルを訪れたならば韓国を拠点とする美術館やギャラリーを訪れたいもの。そこで今回、誰もが知る大手美術館から新興インディペンデントスペースまで、ARTnewsJAPAN編集部が独断と偏見で20の美術館・ギャラリーをピックアップ。これらの美術館・ギャラリーを巡ればソウルのアートシーンの現在地がわかるはず。
1. MMCA(国立現代美術館)
景福宮近くに立つ「MMCA(国立現代美術館)」は韓国現代美術の中心地のひとつ。絵画や彫刻、写真、映像など幅広い作品を収蔵しており、常にさまざまな展示が行われている。国際交流事業やレジデンシープログラムなども活発に展開しており、韓国のアートシーンを牽引する存在と言えるだろう。
過去の展示
- ジョン・ヨンスン「この地球に息づくすべてのもののために」(2024)
- アピチャッポン・ウィーラセタクン「2023ソウル国際実験映画フェスティバル インディビジュアル」(2023年)
- ルー・ヤン、ヒチャン・キム、ローレンス・レックほか「ゲーム社会」(2023年)
- ナム・ジュン・パイクほか「多多益善: 楽しい共演」(2022年〜2024年)
2. SeMA(ソウル市立美術館)
ソウル市が運営する「SeMA(ソウル市立美術館)」は、旧最高裁判所庁舎の建築を活かしたファサードが印象的。つねにさまざまな展示が行われており、市民参加型のワークショップやイベントも多数開催されている。SeMA本館から離れた汝矣島(ヨイド)エリアには、再開発工事中に偶然発見された地下壕を利用したギャラリー「SeMA Banker」もあるのでお見逃しなく。
過去の展示
- カン・ホング「どこにもない場所: カン・ホングの目から見たソウル」(2024年)
- ギムホンソック、コ・サンクム、キム・インギョムほか「SeMA-Project A」(2023年)
- アグスティナ・ウッドゲート、池添彰ほか「第12回ソウルメディアシティビエンナーレ これも地図です」(2022年〜2023年)
3. Leeum Museum of Art
マリオ・ボッタとジャン・ヌベール、レム・コールハースという世界的建築家が設計に携わった「Leeum Art Museum」は、サムスン文化財団が運営するもの。韓国の伝統美術から国内外の現代美術まで幅広い領域をカバーしている。オラファー・エリアソンなど大御所アーティストの個展ももちろん魅力的だが、この機会にぜひ韓国の伝統美術にも触れてみてほしい。
過去の展示
- 「汚れのない、泥の中の蓮のように」(2024年)
- オラファー・エリアソン、ロニ・ホーンほか「コレクション展Y/OUR Nature」(2023年~2024年)
- ニーナ・シャネル・アブニー、KAWSほか「万華鏡の目」(2022年)
4. ARARIO MUSEUM
韓国近代建築の巨匠と呼ばれるキム・スグンが設計した旧館は展示空間として、コンクリートとガラスを基調とした新館はカフェやベーカリーとして活用される「ARARIO MUSEUM」。館長のキム・チャンイルが所蔵する現代美術のコレクションが展示されるほか、年に数回企画展も開催されている。展示だけでなく建築としての見どころも多い美術館だ。
過去の展示
- ナム・ジュン・パイク、 バーバラ・クルーガーほか「ARARIO コレクション」(2014年~)
- ジョン・カンジャ「夢と幻想と挑戦へ」(2023年)
- ハニール・チョイ「粘土の日常」(2021年~2022年)
5. D MUSEUM
韓国・大林グループの文化財団が設立した「D MUSEUM」は、多くの若者が集まる美術館として知られている。ライアン・マッギンレーやココ・カピタンなどファッションや広告の領域でも活躍するフォトグラファーの個展や、PERROTIN New Yorkでの個展も話題となったブルックリンのデザイナー集団MSCHFによる展示では、SNSとの親和性も相まって館内で写真を撮る若者の姿が多く見られた。インスタ映えに代表されるSNS上のプロモーションを考えるうえでも、独自のポジションを築いている美術館と言えるだろう。
過去の展示
- MSCHF「神聖なものは何もない」(2023年〜2024年)
- ヴァン クリーフ&アーペル「時間、自然、愛」(2023年〜2024年)
- チョン・ゲヨン、ジミー・マーブルほか「ロマンチックな日々」(2022年)
6. Artsonje Center
多くのギャラリーが立ち並ぶ三清洞(サムチョンドン)に位置する「Artsonje Center」は、1998年に設立された私営美術館。新進気鋭のアーティストにフィーチャーした展示を数多く行っており、映像作品のスクリーニングを行うホールやルーフトップガーデンも。長年にわたり多くのアートブックを刊行していることでも知られている。
過去の展示
- ホー・ツーニェン「Time & the Cloud」(2024年)
- セシリア・ビクーニャほか「雨の舌」(2024年)
- トム・サックス「トム・サックス スペース・プログラム :教化」(2022年)
7. ARKO Art Center
「ARKO Art Center」は1974年に設立された老舗美術館のひとつ。ソウル・アートシーンの成長に寄り添いながら、多くの展覧会を開催してきた。研究や制作、展覧会などアートエコシステムを取り巻くさまざまな活動を展開するプラットフォームとして機能している。
過去の展示
- コ・グォングム、Dreaming Best Friendほか「2024ARKO美術館x地域文化財団協力企画展 《ここに届いた歌》」(2024年)
- ホン・イヒョンスク「ホン・イヒョンスク個展」(2021年)
- ナム・ファヨン、チョン・ウンヨン、ジェーン・ジン・カイゼン「第58回ヴェネツィア・ビエンナーレ韓国館帰国戦 :歴史が私たちを台無しにしたがそれでも構わない」(2020年)
8. Kukje Gallery
1982年に設立された「Kukje Gallery」はソウルを代表する現代美術ギャラリーのひとつ。ルイーズ・ブルジョワやアニッシュ・カプーア、ロバート・メイプルソープ、ビル・ヴィオラなど国際的なアーティストの展覧会を多く開催してきたほか、1998年からアート・バーゼルに参加するなど、グローバルアートシーンへ韓国のアーティストを紹介しつづけてもいる。
過去の展示
- ナ・キム「イージーヘビー」(2024年)
- ロニ・ホーン「ロニ・ホーン」(2023年)
- アニッシュ・カプーア「アニッシュ・カプーア」(2023年)
9. PKM Gallery
「PKM Gallery」は美術史家であり第49回ヴェネチア・ビエンナーレの韓国館コミッショナーを務めたパク・キョンミが設立したギャラリー。海外の有名アーティストによる展覧会も多く開催する傍ら、インキュベーターとして国内作家の紹介もts積極的に行っている。2004年には韓国のギャラリーとして初めてFriezeに招待されるなど、グローバルアートシーンにおけるプレゼンスも強めている。
過去の展示
10. SONGEUN
ラグジュアリーブランドも多く立ち並ぶ清潭洞(チョンダムドン)に位置する複合文化スペース「SONGEUN」は、スイスの設計事務所ヘルツォーク&ド・ムーロンによる建築と空間設計が印象的。同ギャラリーを運営するソンウン文化財団は2001年にソンウン美術大賞を立ち上げ国内作家の育成と発信にも尽力している。
過去の展示
- ナタリー・ユールベリ&ハンス・ベリ「耕地の下には秘密が待っている」(2024年)
- チェ・ヨンジュ「CADENZA」(2024年)
11. P21
多くのクラブが集まる梨泰院(イテウォン)エリアに位置する「P21」は、小規模ながら注目される現代美術を中心としたギャラリーだ。レンガ造りの建物をくり抜くようにしてつくられたふたつの展示室は通りに面しており、オープン時間外も展示の様子を眺めることができる。ギャラリー外も含め、精力的に活動を展開している。
過去の展示
- アン・ミンジョン、チェ・ハニールほか「EXOSKELETON」(2024年)
- チェ・ジョンファほか「グループ展:ギャラリーアーティスト最近の作品」(2023年)
- キム・ジヨン「散乱する息」(2022年)
12. Whistle
P21と同じく梨泰院エリアに立つ「Whistle」も、新進作家を中心に国内のアーティストを積極的にサポートしている。昨年のFrieze Seoul期間中にはP21ら複数のギャラリーによるサテライトイベント「OUR WEEK」に参加するなど、ソウル内のギャラリーと連携しながらソウル・アートシーンのなかで重要な役割を担っている。
過去の展示
13. ONE AND J Gallery
コマーシャルギャラリーや美術館も多く立ち並ぶ安国(アングク)エリアに建つ「ONE AND J Gallery」は、所属作家の支援だけでなく若手作家の発掘プログラムや海外アートフェアへの出展など、精力的に活動を続けている。建物内は複数のエリアにわかれており、吹き抜けを活かした大型作品の展示が行われるのも魅力的だ。
過去の展示
- ス・ヨンソン「New Works」(2024年)
- ル・コルビュジェほか「CASE STUDY #1: INSIDE THE HOUSE」(2024年)
- 「アン・ソルジェ、ジョンジン、ソン・ギョンジ「Artifacts x eazel x ONE AND J. +1 〈Voyager〉」(2021年)
14. N/A
アーティストラン・スペースやオルタナティブスペースが立ち並ぶ乙支路(ウルチロ)に建つ「N/A」は、多くのアーティストやキュレーターから注目されるギャラリー。雑居ビルを使った廃墟のような空間では、国内外の注目アーティストだけでなくファッション領域でも活躍する写真家の展示が行われることも。
過去の展示
- チョン・ジユン「White Lies」(2024年)
- チョ・イソプ、ガンドンホン、チョン・ヨンホ「Whispering noise」(2024年)
- テレサ・ハッキョン・チャ、リネラ・アルフォンソほか「Memory of Rib」(2022年)
15. Museumhead
多くの美術館やギャラリーが立ち並ぶ三清洞(サムチョンドン)に位置する「Museumhead」は、新興ギャラリーながら近年注目されているスペースのひとつ。どの展示においても建物前の池を使ったインスタレーションが目を引くほか、Ahyeon Ryuによるパフォーマンスなど、絵画や彫刻のみならずパフォーミングアーツの展示が行われることも。建物2Fには韓国茶ブランド「Delphic」が運営するカフェも展開されている。
過去の展示
- キム・ミニ「ベルセルカー」(2024年)
- リ・サンミン、ソ・ヌ「S/Z」(2023年)
- リ・へイン「L. Practice」(2022年)
- カン・ジェウォン、クォン・インタンほか「Injury Time」(2021年)
16. SPACE CADALOGS
「N/A」と同じく乙支路エリアに位置する「SPACE CADALOGS」は、雑居ビル3Fにつくられた小さなアートスペース。向かいのビルに同名のカフェを運営していることもその特徴のひとつ。ギャラリー巡りの合間に一休みしてもいいかもしれない。
過去の展示
- ユ・ジョンミン「絵画と彫刻」(2024年)
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パク・スンマン「エンジェリックバスター」(2023年)
17. Shower
「Shower」は2023年5月にオープンしたばかりの新興ギャラリー。昔ながらの街並みが残るソウル駅近郊の厚岩洞(フアムドン)の写真スタジオを改装してつくられたこのギャラリーでは、若手アーティストにフォーカスした展示が数多く行われている。オープニング展示では床と壁がすべて空模様に塗られスモークが焚かれるなど、通常の美術館やギャラリーでは行えない空間づくりも魅力のひとつだ。
過去の展示
- ホリデー・リム、サラ・ウォン「シーズンズ・ガイド」(2024年)
- エンツォ・イワセ、キム・ヒョンジン、アダム・マーティンほか「I control myself, but trusting is better」(2024年)
- カン・スンウ キム・デフワン リュ・ソンシル パク「Framer」(2023年)
18. YPC
「YPC」は、アート・ライターによるコレクティブ「Yellow Pen Club」が2022年に立ち上げた新興スペース。批評やキュレーションに携わるメンバーが運営していることもあり、若手アーティストをフィーチャーした展示はもちろんのこと、さまざまなテーマを扱うレクチャーイベントや「YPC PRESS」と題した出版活動も展開している。
過去の展示
- パク・ジウン「回廊」(2024年)
- ヤンハ、チェ・ソヒ「REVERSE ENGINEERING」(2023年)
19. DDP(東大門デザインプラザ)
最後のふたつは、いわゆるコンテンポラリーアートのギャラリーではないものの、現地のムードを感じられる場所をご紹介。建築家ザハ・ハディドによる設計で知られる「DDP」は、ソウルのランドマーク的な複合施設だ。館内ではプロダクトデザインからファッション、グラフィックデザインなど、さまざまなジャンルのデザインを紹介する展示が行われている。昨年のFrieze開催期間ではこの建物内でソウル・ファッション・ウィークが行われるなど、アートやファッションなど領域を問わず多くのイベントが開催されている。
過去の展示
- イ・ホ「不気味なユーモア: 耳垢と鼻くそ」(2024年)
- アルフォンス・ミュシャ「アルフォンス・ミュシャ eMotion in SEOUL」(2023年)
- デイヴィッド・ホックニー「デイヴィッド・ホックニーと英国ポップ・アート」(2023年)
- ジャン・ジュリアン「それから、そこから」(2022年〜2023年)
20. HAUS DOSAN
今年東京・表参道に上陸し話題となったアイウェアブランド「GENTLE MONSTER」が有する複合施設「HAUS DOSAN」も、あえてギャラリーのひとつとしてご紹介したい。建物1Fの展示ホールでは、GENTLE MONSTERや同ブランドが運営するカフェ、Nudakeのキャンペーンと連動した展示が定期的に開催されている。移り変わりの激しいグラフィックデザインや空間デザインの領域で常に新たな表現を提示しようとする同ブランドの展示を見ることは、ソウルのムードを理解することでもあるかもしれない。なお、HAUS DOSANが位置するエリアには「White Cube」や「PERROTIN」、「Gladstone Gallery」など海外ギャラリーのソウルブランチも集結している。こうしたギャラリーを巡るついでに立ち寄るのもいいだろう。
過去の展示
- 「2024 ジェリー ポップアップ」(2024年)
- 「2024 光学的コレクション ポップアップ」(2024年)
- 「ジェントル・モンスターr x SON 7 ポップアップ」(2022年)
ARTnewsJAPANでは、本記事で紹介した美術館・ギャラリーをまとめたマップも公開している。ぜひ本記事を片手にソウルの街を歩いてみてほしい。