#カウズ/KAWS
KAWS(1974~)は、ブルックリンを活動拠点とする現代アーティスト。小学生の頃からグラフィティ(*1)に取り組み、10代で「KAWS」というタグ(*2)を使い始める。
*1 スプレーなどを使用し、壁などにデザインされた自分の名前などを描く行為。
*2 グラフィティに用いられるアーティスト自身の名前のこと。
1990年代にニューヨークへ進出。アニメーターとして働く傍ら、グラフィティ・アーティストとして、ビルボード、バスシェルター、電話ボックスなどに作品を描いていたが、「KAWS」というシンプルなタグを描く手法から、広告にキャラクターなどを描き足し、改変していく手法「サブバータイジング」での制作へと徐々に移行していった。ブルックリンでのグラフィティ活動の後、パリ、東京、ロンドン、ベルリンなどでも活動を行った。
1999年、KAWSは日本のアパレルブランド、 「HECTIC」と「Bounty Hunter 」からの依頼で、オリジナルキャラクター、コンパニオンの彫刻作品を制作。以後、コンパニオンはKAWSのアートに繰り返し登場するようになる。
KAWSの立体作品は、小さなものから10メートル以上の巨大作品まで及び、アルミニウム、木、ブロンズなど、多種多様な素材が使われている。コンパニオンの巨大彫刻は、これまでにスイス、香港、マラガ、ロンドン、中国、日本などで制作されている。
2019年には、バルーン版コンパニオンが香港のビクトリア・ハーバーの海上に浮かべられた。また、同年の「KAWS: HOLIDAY」のプロジェクトでは、全長36mのコンパニオンが台北の中正紀念堂の前に足を伸ばして座るような姿で登場し、話題になった。
展覧会
2008年よりエマニュエル・ペロタンが経営する現代美術ギャラリーで作品を展示し始め、2010年に美術館での初個展「Passing Through」を開催。
2014年には、香港の大型ショッピングモール、ハーバーシティで高さ7mの巨大彫刻作品《CLEAN SLATE》を発表する。大きなコンパニオンが小さなコンパニオンふたりを抱きかかえている作品だ。
2021年、東京の森アーツギャラリーで、KAWSの日本初大型個展「KAWS TOKYO FIRST」を開催。初期の作品から最新の作品まで150点以上の絵画や彫刻が展示された。KAWSは、2001年にも渋谷パルコで同じタイトルの小規模な個展を行っている。
ブランドとのコラボレーション
KAWSは、「A BATHING APE BAPE」「NIKE」「COMME des GARÇONS」「SUPREME」「UNIQLO」「Dior」といった人気ブランドとコラボレーションを展開している。
2014年には、ファレル・ウィリアムスによるフレグランス「GIRL by Pharrell Williams」のボトルアートを担当。2021年、ディフュージョンラインである「COMME des GARÇONS SHIRT」から、シャツやフーディーなどを発売。2016年には、ユニクロとコラボレーションを行い「UT」として、Tシャツやアクセサリーを販売。2018年11月には世界中で大人気のテレビ番組「SESAME STREET(セサミストリート)」とのコラボレーション「KAWS × SESAME STREET」としてスペシャルコレクションを発売した。
NIKEから発売されているスニーカーシリーズ、エアジョーダンとのコラボレーション「KAWS NIKE AIR JORDAN 4 RETRO」は即完売し、リセールサイトで高値がつけられている。2000年台に発売した「Supreme」との限定コラボスケートデッキは、今や200〜300万円台で取引されている。
メディコム・トイから展開されるKAWSの各キャラクターグッズは毎回完売することで有名で、限定販売作品には高値がつけられている。
また、2022年にはニューヨーク・マガジン誌の表紙を飾り、近年問題になっている「キャンセル・カルチャー」からインスピレーションを得たイラストが描かれた。