東京の経済中心地に巨大KAWS作品がゴロリ! ファレルやNIGO®が参画する「都市の実験場」が開設予定

2026年度後半に開設予定の「YURAKUCHO PARK」に、ファレル・ウィリアムスとNIGO®による新プロジェクト「JAPA VALLEY TOKYO」がオープンする。その中心にゴロリと寝転がるのは、KAWSの巨大彫刻。有楽町の新しい「余白」が、世界に向けたカルチャー発信地に生まれ変わろうとしている。

YURAKUCHO PARK_KAWS
2026年度後半に開設する「YURAKUCHO PARK」の完成予想CGパース。※ 景観協議中につき、上記仕様は変更になる場合あり

三菱地所は、東京・有楽町駅前の「有楽町ビル」「新有楽町ビル」跡地(約1万平方メートル)に日本カルチャーの発信拠点「YURAKUCHO PARK」を2026年度後半に開設する。同施設では、世界的クリエイターで現在ルイ・ヴィトンのメンズ・アーティスティック・ディレクターも務めるファレル・ウィリアムスと、ウィリアムスと親交の深いクリエーターでKENZOのアーティスティック・ディレクターでもあるNIGO®が、アート・商業・ホスピタリティ複合空間「JAPA VALLEY TOKYO」を初展開する。

この新しい挑戦の中でも最も注目すべきは、シンボルアートとして「YURAKUCHO PARK」の真ん中にゴロリと寝転がる、KAWSお馴染みの彫刻シリーズの巨大版だ。巨大アートをまちづくりの中核に据えるというアプローチは、ニューヨークや香港など世界の主要都市ですでに定着しつつあり、KAWSの代表作「COMPANION」も前述のような都市に設置され、話題をさらってきた。しかし、東京のビジネス中枢である有楽町においては異例とも言える。

有楽町はこれまで、丸の内や大手町とともに三菱地所が長年にわたり開発を手がけてきた「大丸有(だいまるゆう)」エリアの一角を成してきた。1998年にスタートした「丸の内再構築」以降、同社はおよそ10年ごとにステージを区切って再開発を進行。現在は、「多様性と共創」をテーマに掲げた「NEXTステージ」の真っ只中にある。しかも、「大丸有(大手町・丸の内・有楽町)」は居住者をほぼ持たない世界的に見ても珍しい都市空間でもあり、ビジネスと商業に特化した街。その中心に悠然と寝転がるKAWS作品は、今後、このエリアを行き交う人々に、ほっこりとした温もりとユーモアを運んでくれるに違いない。

2026年度後半に開設する「YURAKUCHO PARK」の完成予想CGパース。※ 景観協議中につき、上記仕様は変更になる場合あり
2026年度後半に開設する「YURAKUCHO PARK」の完成予想CGパース。※ 景観協議中につき、上記仕様は変更になる場合あり
2026年度後半に開設する「YURAKUCHO PARK」の完成予想CGパース。※ 景観協議中につき、上記仕様は変更になる場合あり

それに加えて今回の「YURAKUCHO PARK」が興味深いのは、本格的な再開発ビルの建設前、いわば更地の状態を活かした「都市の仮設実験」でもあるからだ。三菱地所はこれまでにも「TOKYO TORCH Park」や「Marunouchi Street Park」といった都市型パブリックスペースを展開し、「PARK」を緑地ではなく文化体験の場として位置づけてきた。今回は、スケール感のある敷地を舞台に、日本カルチャーを世界に届ける「発信拠点」という役割を加えたかたちだ。

一方の「JAPA VALLEY TOKYO」は、宿泊以上の「体験価値」を提供することで、都市のカルチャー発信拠点としての役割を担うクリエイティブ企業、NOT A HOTELの新プロジェクトに位置付けられる。カリフォルニアのナパ・バレーを着想源とし、「ワイン醸造」を「日本酒の匠の技」へ置き換えることでクラフトマンシップの視点から観光モデルを再解釈するというこの施設では、同社のクリエイティブアドバイザー、ファレル・ウィリアムスとNIGO®が長年開発してきた日本酒を中心に、日本の食やファッション文化を融合させる多様な取り組みが予定されている。

背景も異なる様々なクリエーターとの「共創」を通じて、「YURAKUCHO PARK」という「都市の実験場」が今後、どんな新たな都市開発のあり方を提示するのか、今から楽しみだ。

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