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  • 2023.10.27

今週末に見たいアートイベントTOP5: バンクシー、カウズらの代表作約70点が来日、「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」テオ・ヤンセンが千葉で大規模展

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

MASK「Open Storage 2022」展示風景, 持田敦子《Steps》, 撮影:仲川あい

1. Introduction(STANDING PINE 東京)

展示風景

国際色豊かな作家たちを引き連れ、名古屋のギャラリーが東京進出

名古屋の実力派ギャラリーであるSTANDING PINEが、東京・天王洲のアート複合施設「TERRADA ART COMPLEX I」に新たなスペースを開廊。国際色豊かな5組の所属作家によるグループ展でオープニングを飾る。参加するのは、アブドゥライ・コナテ(マリ)、ジョエル・アンドリアノメアリソア(マダガスカル)、ペ・ラン(スイス)、平川祐樹、アート・ユニットのインテクスト。ギャラリー独自のカラーや世界観を、東京の地でお披露目する。

国際展や各国での発表を重ねるコナテは、母国マリを象徴する青色をメインに使った、タペストリーのようなテキスタイル作品を制作。アフリカの伝統文化に基づきながら、自らが関心を寄せる社会問題をテーマにしている。ペ・ランは、生き物のように無作為に動き続けるキネティックアートを出展。グラフィックデザイナーの見増勇介と外山央、プログラマーの真下武久で構成するインテクストは、文字や言語に関係するこれまでの作品を再構成し、新たなコミュニケーションの可能性を提示する。

Introduction
会期:10月14日(土)~ 11月18日(土)
会場:STANDING PINE 東京(東京都品川区東品川 1-33-10 TERRADA ART COMPLEX I 3F)
時間:12:00 ~ 18:00 


2. KOHEI NAWA | Sandwich「Cell Field」(京都 蔦屋書店)

Photo: Jinn Yagi

実験的な作品たちにみる、名和晃平とSandwichの歩み

京都髙島屋S.C.が10月に開業し、アートやサブカルチャーなどが集まる専門店ゾーン・T8(ティーエイト)に「京都 蔦屋書店」がオープンした。それを記念し、店舗内のエキシビションスペースで、彫刻家・名和晃平と自身が主宰するスタジオ「Sandwich」による展覧会が開催される。京都・伏見に立地するSandwichは、さまざまな分野のクリエイターや学生たちが集う、創作のためのプラットフォーム。多くの作品やプロジェクトを発信してきた地元での展示に、注目が集まる。

会場でまず目を引くのは、数ヶ月をかけて変化していく油彩のペインティングだ。物理シミュレーションによってセルの状態をあらわした版画シリーズなども紹介され、その実験的な作品に名和の神髄が光る。ほかに、UVプリントを用いた作品や、複数の小立体作品とテストピース、マテリアルサンプル、スタジオで使用されるクロッキー帳なども並ぶ。スタジオの空気感が漂う会場で、名和とSandwichが築いてきた作品世界を味わいたい。展覧会に合わせて、Sandwichの14年間を濃縮した初のスタジオブックも出版される。

KOHEI NAWA | Sandwich「Cell Field」
会期:10月17日(火)~ 11月7日(火)
会場:京都 蔦屋書店 5F エキシビションスペース(京都府京都市下京区四条通寺町東入二丁目御旅町35 京都髙島屋S.C.)
時間:11:00 ~ 20:00 (11月7日は18:00まで)

ムカ


3. MUCA(ムカ)展 ICONS of Urban Art 〜バンクシーからカウズまで〜(京都市京セラ美術館)

カウズ 《4フィートのコンパニオン(解剖されたブラウン版)》 2009年 Photo by © MUCA / wunderland media

大胆不敵で独創的。バンクシーの大型彫刻やカウズのフィギュアが来日

バンクシーに代表されるように、壁や建物、橋などの公共の場所にアートを描き、都市の景観を変化させる現代の視覚芸術「アーバン・アート」。ルールや規則に縛られない作家たちの制作は、資本主義や不平等、人種差別などの課題に社会の目を向けさせてきた。今回、アーバン・アートと現代アートに特化したドイツの美術館MUCA(Museum of Urban and Contemporary Art )より、20世紀から21世紀の代表作約70点が来日する。その多くは日本初公開作となり、バンクシーの大型彫刻や、カウズの代表作は必見だ。

スポットを当てるのは、バンクシー、 カウズバリー・マッギー、オス・ジェメオス、インベーダー、シェパード・フェアリー、リチャード・ハンブルトン、ジェイアール、スウーン、ヴィルズの10人。バンクシーは、古代彫刻を破壊的に再構築。胸像の額の中央に弾丸を埋め込むことで、伝統芸術に風穴を開けてみせる。カウズの作品からは、作家の存在を世に知らしめたアイコニックなフィギュアの彫刻「コンパニオン」シリーズを紹介する。爆発物などで壁の表層を削って制作したヴィルズの作品なども。大胆不敵で独創的な作品群を、ぜひその目で。

MUCA(ムカ)展 ICONS of Urban Art 〜バンクシーからカウズまで〜
会期:10月20日(金)~ 2024年1月8日(月・祝)
会場:京都市京セラ美術館(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124)
時間:10:00 ~ 18:00 (11月11日は20:00まで、入場は30分前まで)


4. Open Storage 2023-拡張する収蔵庫-持田敦子 拓く 2019-2023(MASK [MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA])

MASK「Open Storage 2022」展示風景, 持田敦子《Steps》, 撮影:仲川あい

持田敦子、名和晃平、やなぎみわ、ヤノベケンジらの大型作品を限定公開

面積約 1000平方メートル、高さ9メートルという広大な元工場・倉庫を活用し、国際的に活躍する現代美術作家の大型作品を保管するMASKが、収蔵作品を一般公開する。10回目となる今回は、支援する若手美術家の一人、持田敦子をメインアーティストに、宇治野宗輝金氏徹平、久保田弘成、名和晃平、やなぎみわヤノベケンジの作品を展示する。アートファンには見逃せない貴重な鑑賞機会だ。

持田敦子は、2019年度から続ける一連のプロジェクトの集大成を発表。2021年にはシャッター扉のMASKの入口を、鉄と木を素材にした回転扉の作品で変容させた《拓く》を、2022年には鉄パイプと木の板を使った曲線状の“階段”で空間の意味や捉え方を変えるインスタレーション《Steps》を披露した。今回は、素材の持つ強さや美しさを引き出しながら、《Steps》の彫刻的フォルムをさらに追求した作品を制作したという。 

Open Storage 2023-拡張する収蔵庫-持田敦子 拓く 2019-2023
会期:10月27日(金)~29日(日)、11月3日(金・祝)~5日(日)
会場:MASK[MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA](大阪府大阪市住之江区北加賀屋 5-4-48)
時間:12:00 ~ 18:00 


5.  テオ・ヤンセン展(千葉県立美術館)

《アニマリス・アデュラリ》2012年 (c)Theo Jansen

「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」による、風力で歩く巨大な“生命体”

物理学による計算に基づき、風の力で動く巨大アートを制作するオランダ出身の世界的アーティスト、テオ・ヤンセン。大学で物理学を学んだ後にアートの道へ進み、発明家と科学者の顔を持つ芸術家として、「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」とも称される。“砂浜の生命体”を意味する代表作の「ストランドビースト」シリーズは、まるで四足歩行する動物のように有機的な動きを見せる装置。今展では10メートル以上の大型作品を含む10点超を、実際に動いている映像とともに展示し、自筆スケッチ、制作道具なども紹介する。館内での“歩行”イベントも毎日行われる。

オランダが直面する海面上昇問題に対する意識から生まれたという「ストランドビースト」。骨組みの構造そのものが見える作品は、プラスチックチューブやペットボトルといった身近なものを素材にしている。作品によって、大きなプロペラが風を捉えて高速で横歩きするもの、水を感知して方向転換するものと、動きもさまざまだ。12月3日(日)、美術館近くの千葉ポートパーク内ビーチプラザで、ストランドビースト《アニマリス・オルディス》の隣を歩ける海岸歩行イベントを開催(雨天・荒天の場合は中止)。千葉の海を背景に、自在に歩くストランドビーストの迫力を体感できる。

テオ・ヤンセン展
会期:10月27日(金)~ 2024年1月21日(日)
会場:千葉県立美術館(千葉県千葉市中央区中央港1-10-1)
時間:9:00 ~ 16:30 (入場は30分前まで)

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