ブラムがギャラリーの営業終了を発表。今夏には東京・ロサンゼルス拠点を閉鎖
東京・ロサンゼルスに拠点を持つギャラリー、ブラムの代表が実店舗営業を終了すると7月1日、US版ARTnewsに明かした。

ロサンゼルス、東京に拠点を持つギャラリー、ブラムの代表であるティム・ブラムは7月1日、実店舗営業を終了するとUS版ARTnewsに明かした。今年9月には、ニューヨーク拠点の移転オープンを控えていた。
ブラムの前身となるブラム&ポーは1994年、当時支配的だったニューヨークのアートシーンに対抗すべく、ティム・ブラムとジェフ・ポーによってロサンゼルスで設立された。
その後の30年間で、彼らのギャラリーにはマーク・グロッチャン、ヘンリー・テイラー、李禹煥、奈良美智、ソランジュ・ペッソアらが所属し、ニューヨーク、2014年には東京に拠点を拡大しながら、ロサンゼルスを世界的なアート拠点へと育て上げた。だが2023年8月にポーは独立を表明し、10月には「ブラム」と名称を変え、ティムの1人体制となった。
ティム・ブラムはギャラリーを終了する理由について、財政的困窮などではなく「燃え尽き症候群」によるものだと話した。それは、絶えず拡大するアートフェアや展覧会のオープニング、業務上の義務や期待など、休むことを許されずに年々要求の厳しさを増す、現代ギャラリー業界の構造全体を指している。ティムは「うまくいっているように見えた時でさえも、ずっとうまくいっていなかった」と打ち明けた。そして次のように語った。
「(アート業界の人々は)皆、メリーゴーラウンドから降りたいと口では言うが、しかし実際に降りる人は誰もいない。私は降りる必要があると決断したのです」
ブラムの東京とロサンゼルスの拠点は、今夏の展覧会を最後に閉鎖される。9月にトライベッカでオープン予定だったニューヨーク拠点の今後はまだ決まっていないが、もし仮に開設されたとしても、通常のギャラリーとしての機能は果たさない。
だがティム自身「私のDNAの一部」と呼ぶアートの取引は続ける予定だ。閉鎖後は「アーティスト名簿」を持つことはなく、代わりに「より柔軟なモデル」を追求するという。それは特別プロジェクトやコラボレーション、そして彼が「まだ計画中の長期的ビジョン」と表現するものを含む。また、新たな焦点として浮上しているのは、彼と妻が何年も静かに温めてきた、アートとより緩やかに関わり、自己検証などに繋げるプロジェクトだ。
近年のギャラリーの縮小・閉鎖のニュースの中でもブラムは最大規模であり、業界は衝撃を受けている。アートアドバイザーのラルフ・デルーカはアートネットの取材に対し、「長年のギャラリーが閉鎖されるのを見るのは本当に悲しく、美術市場にとって全く素晴らしいことではありません。これが警告のサインとしてシステムの是正に役立つことを願っています」と語った。(翻訳:編集部)
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