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約1500万円のシャガールの版画がNYのギャラリーから盗まれる。強盗グループはホンダ・アコードで逃走

去る9月25日の午前2時過ぎ、マンハッタンのアートギャラリーに何者かが押し入り、マルク・シャガールのリトグラフが盗まれていたことがわかった。NBCニューヨークが報じた。

1967年5月23日、スイスのチューリッヒ美術館での展覧会に出席したマルク・シャガール。Photo: Keystone/Hulton Archive/Getty Images

マンハッタンのミッドタウンにある5階建てのアートギャラリー、カートン・ファイン・アーツから盗まれたことが判明したのは、10万ドル(約1500万円)のマルク・シャガールのリトグラフ作品《Eve》だ。

ギャラリーのオーナーであるチャールズ・サファティによると、監視カメラには犯行の一部始終が映っていた。強盗グループはまず、同ギャラリー近くの55丁目あたりに1996年式のホンダ・アコードを駐車(犯行に使われたアコードはへこんでおり、高額な美術品強盗の逃走車としては理想的とは言い難い状態だった)すると、メンバーの一人が車を出てギャラリーまで歩き、ハンマーでガラス扉を叩き割った。そして、ドア近くのイーゼルからシャガールのリトグラフを引き抜いたという。

監視カメラの映像には、雨が降る中、一人の男が絵を抱えて車に向かって歩く姿も映っていた。男は額装された作品を車の後部座席に滑り込ませると、マディソン・アベニューを走り去っていったという。

強盗グループによって盗まれた、1970頃制作のマルク・シャガールのリトグラフ作品《Eve》。

カールトン・ファイン・アーツは1969年創業の「モダン・マスターズとポップ・アート」を専門とするギャラリーで、アンディ・ウォーホル村上隆、ピーター・マックス、KAWSといった有名アーティストのスクリーンプリントやアクアチント、リトグラフを取り扱っている。

ギャラリーがあるエリアは高級ホテルが軒を連ね、2ブロック先にはトランプタワーもある。サファティは、「この辺りは警察も多いため、よほどの図々しさがないとあんな犯行はできない」と語っている。

しかし今回の強盗事件を受け、サファティはギャラリーのセキュリティ・システムのアップグレードに踏み切った。「防犯ガラスを入れたり、24時間の警備員もつけました。私たちにとっては莫大なコストです」

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