ミラノの美術館・ギャラリー20選──ファッションと現代アートが交差するシーンの現在地

ファッションとデザインの中心地として知られるイタリア・ミラノでは、アートシーンもダイナミックな発展を遂げている。名だたるファッションブランドがアートスペースを開設するなか、ジャンルを超えた交流はアートシーンをどう変えていくのか。20の美術館やギャラリーを通じて、ミラノという街のクリエイティブ・エコシステムに迫る。

Photo: Ken Anzai/Unsplash

ファッションとデザインの中心地として知られるミラノでは、近年アートシーンも成熟を見せている。プラダやアルマーニといったブランドが美術館やアートスペースを開設するなど、ファッションやラグジュアリーの世界を巻き込みながらミラノのアートシーンは多層的に広がっているのだ。UBSとArt Baselによる市場調査においてもミラノはヨーロッパの重要なアートハブとして位置づけられるなど、グローバルアートシーンにおいても無視できない存在感を示していると言えるだろう。ダイナミックに発展するミラノのアートシーンに迫るべく、ARTnews JAPAN編集部が20の美術館とギャラリー、アートブックストアをピックアップし紹介する。

1. Pirelli HangarBicocca

かつてピレリ・タイヤの工場として機能していた巨大な建物を改装した、ミラノ最大級の規模を誇る現代美術の拠点。約1万平方メートルの広大な空間は、サイトスペシフィックな大型インスタレーション作品を多く展示している。ミニマリズムからコンセプチュアルアート、映像表現まで、多様なジャンルの作品が展示されており、毎年数百万人の訪問者を集める。入場は予約制であり、アクセスの良さも魅力。ミラノのアートシーンを象徴する施設として国際的に高く評価されている。

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2. Fondazione Prada

2015年にミラノ南部に開館した、プラダ財団によるアートセンター。レム・コールハース率いるOMAが設計したガラスと鉄からなる未来的な建築群は、それ自体が芸術作品としても機能している。館内では現代美術だけでなく、映画や建築、思想哲学など領域横断的なプログラムが展開され、実験的な展示環境が生み出されている。ベネチアにも拠点をもつ同財団は、国際的なアーティストの大規模展を定期的に開催し、ミラノのアートシーンの国際化を牽引している。

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3. Museo del Novecento

ドゥオーモ広場に位置する、20世紀イタリア美術の殿堂。4,000点以上の作品を所蔵し、未来派からアルテ・ポーヴェラまで、イタリア現代美術の歴史を包括的に展示している。ウンベルト・ボッチョーニやジャコモ・バッラなど、イタリア美術史上の巨匠の作品が数多く収蔵されており、ミラノの美術館のなかでも特に重要な位置を占めている。建築的にも優れた空間設計を特徴とし、常設展示だけでも見応えは十分。

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4. PAC

1954年に設立された、ミラノの公立現代美術館。Palazzo Realeの一部を占める同館は、国内外の現代美術展を精力的に開催し、新進作家の発掘と育成に注力している。特に映像やインスタレーション、パフォーマンスアートなど、実験的な表現形式に力を入れており、ミラノの前衛的なアートシーンを支える重要な機関として機能している。

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5. ICA

アートシーンにおけるエコシステムの持続可能性を理念に掲げるイタリア初の現代美術インスティテュート。環境問題やソーシャル・ジャスティスなど、社会的テーマに取り組むアーティストの作品を積極的に紹介している。実験的なプログラムと教育活動を通じて、アートの社会的役割を問い直す施設として注目されている。

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6. MASSIMODECARLO

1987年に設立された、ミラノを代表する現代美術ギャラリー。マウリツィオ・カテランをはじめ、イタリア現代美術の重要作家を多数擁し、国際的なアートフェアでも存在感を放つ。ロンドンとニューヨークにも支店をもち、グローバルなアート市場に統合されたギャラリーとして、イタリア美術を世界へ発信する役割を担っている。

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7. Cardi Gallery

1972年に設立された老舗ギャラリー。アルテ・ポーヴェラやミニマリズムの巨匠を扱い、戦後イタリア美術史の重要な作家を多数擁している。ロンドンにも拠点をもつ国際的ギャラリーとして、イタリア美術の歴史的価値を現代的視点から再評価する展示を展開している。

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8. Galleria Lia Rumma

ナポリを拠点とするギャラリーのミラノ支部。ミニマルアートやランドアート、コンセプチュアルアートを国内外に紹介するうえで重要な役割を果たしており、イタリア美術史上の重要作家から新進気鋭の作家まで幅広く展示している。国際的なアートフェアでの活動も活発で、イタリア現代美術の国際化を推進する機関として機能している。

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9. Giò Marconi

1990年に設立された、先端的な表現を追求するプログラムで知られるギャラリー。歴史的なアーティストの再評価から新進作家の発掘まで、多角的な視点をもつ展示を展開している。国際的な若手アーティストも多く紹介しており、ミラノのアートシーンの多様性を体現する施設として評価されている。

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10. kaufmann repetto

kaufmann repettoは、女性アーティストの紹介に注力してきたギャラリー。建築家フランク・ベームが設計した美しい展示空間で、ジェンダーやアイデンティティに関わる作品を多く展示している。国際的な女性アーティストのキャリア育成にも力を入れており、ミラノのアートシーンにおいて女性アーティストをエンパワメントする役割を担っている。

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11. Raffaella Cortese

1990年代から女性アーティストを積極的に紹介してきたパイオニア的ギャラリー。3つのスペースで展開される多角的な展示プログラムは、ミラノのアートシーンにおける女性の創造性を可視化する重要な役割を果たしている。国際的な評価も高く、若手女性アーティストのキャリア形成を支援する機関として知られている。

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12. Viafarini

1991年に設立された独立系のアートセンター。レジデンシープログラムを運営し、国際的なアーティストが実験的な制作に取り組める環境を提供している。ワークショップや公開制作、パフォーマンスなど、多様なプログラムを展開することで、ミラノのアートコミュニティの醸成に貢献している。

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13. SECCI

2013年に設立された、フィレンツェとミラノに拠点をもつギャラリー。フィレンツェの美術史的伝統とミラノの現代的視点を融合させた展示プログラムを展開しており、イタリア美術の歴史と現在を架橋する施設として注目されている。

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14. FANTA

2015年に郊外の旧倉庫を改装したプロジェクトスペースとして設立。現在はイタリアおよび国際的な新進アーティストに焦点を当てた実験的なプログラムを展開する。中心地から距離を置くことで、商業的な喧騒から離れた批評的な視点を維持し、インスタレーションやプロセスアートといった、空間全体を作品化する表現に強みをもつ。ミラノのアートシーンに新たな潮流を生み出す、ラディカルな拠点として注目されている。

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15. Galleria Francesca Minini

2006年に設立され、イタリアおよび国際的な若手アーティストのプロモーションに注力するギャラリー。コンセプチュアルなアプローチと、多様なメディアを扱うアーティストを積極的に紹介している。実験的なプロジェクトや、他のギャラリーとのコラボレーションも頻繁に行い、ミラノのアートシーンに新たな対話を生み出している。

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16. Fondazione Arnaldo Pomodoro

1995年に設立された、彫刻とインスタレーション専門の美術館。アルナルド・ポモドーロの作品を中心に、立体表現の歴史と現在を展示している。屋外スペースも備えており、都市空間とアートの関係性を問う施設として機能している。

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17. Armani/Silos

ジョルジオ・アルマーニの40年にわたる創造の軌跡を辿る展示空間。2015年の開設以来、ファッションとアートの境界線を探る企画展を開催し、デザインの歴史的価値を美術館的視点から提示している。安藤忠雄の設計による洗練された空間も見どころのひとつ。ジョルジオ・アルマーニの軌跡を辿る展示だけでなく、建築や写真などファッションと隣接する領域の展示を多く行っている。

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18. Galleria Massimo Minini

ミラノ市内からは少し離れるものの、1973年にブレシアで設立されたこのギャラリーはイタリア現代美術史において重要な役割を果たしてきた。アルテ・ポーヴェラからコンセプチュアル・アートまで、数々の歴史的な展覧会を手がけている。その創設者であるマッシモ・ミニニは、イタリアのアート界における伝説的な人物であり、彼のギャラリーは、歴史的なアーティストと現代のアーティストが交差する、他に類を見ない場所となっている。

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19. MICAMERA

2003年に設立された、写真に特化したブックストア、ギャラリー、エージェンシー。7,000点以上の新刊、古書、希少本を揃え、写真文化の拠点として機能している。ギャラリースペースでは国際的な写真家の個展を定期的に開催し、写真というメディアの可能性を探求。3つの機能が有機的に連携することで、写真文化の生態系全体を豊かにしている場所だと言える。

20. COMMERCE

独立系の出版物を多く扱うブックショップ兼ギャラリー。アーティストブックやZINEを販売するほか、展示も実施。出版物を中心としたキュレーションと、新進アーティストの展示を組み合わせることで、アートとデザイン、思想が交差する知的なプラットフォームとして機能している。Tokyo Art Book Fairへ出展していることでも知られ、グローバルな視点をもつミラノのインディペンデントシーンのハブと言える。

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