修復したら「メローニ首相そっくり」に? ローマの聖堂で起こったフレスコ画騒動に首相本人も反応

1月31日、ローマのサン・ロレンツォ・イン・ルチーナ聖堂で、国王ウンベルト2世の大理石胸像が安置された礼拝堂の壁に描かれた天使のフレスコ画が、修復後にイタリア首相ジョルジャ・メローニに酷似していると報じられ、波紋を広げた。この騒動を受け、2月4日には問題となっていた天使の顔は塗り消された。

修復後のサン・ロレンツォ・イン・ルチーナ聖堂天使像。Photo: Antonio Masiello/Getty Images

イタリアローマ中心部にあるサン・ロレンツォ・イン・ルチーナ聖堂で、修復されたフレスコ画の天使の顔がイタリアの首相ジョルジャ・メローニに酷似しているとして物議を醸した。問題となったのは、イタリア最後の国王ウンベルト2世の大理石胸像が安置された礼拝堂の、両脇の壁に描かれた2体の天使のうちの1体だ。

修復を手がけたのは地元の職人ブルーノ・ヴァレンティネッティ。2023年にサン・ロレンツォ・イン・ルチーナ聖堂が水害に見舞われ、フレスコ画が損傷した際、彼は無償で修復を引き受けたという。およそ2年に及ぶ修復の後、2体の天使のうち1体が「メローニ首相によく似た顔に変わり、イタリア半島の形をした巻物を手にしている」と、地元紙ラ・レプッブリカが1月31日付の一面で大きく報じた。

この報道は大きな反響を呼び、イタリア文化省およびローマ教区が調査に乗り出す事態となった。ローマ教区の総代理を務めるバルド・レイナ枢機卿は、この件について「苦々しさ」を表明し、「聖なる芸術やキリスト教の伝統のイメージが、誤用されたり利用されたりしてはならない」と強調した。

同聖堂の主任司祭ダニエレ・ミケレッティは、ガーディアン紙の取材に対し、ヴァレンティネッティにフレスコ画を元の姿のまま修復するよう依頼していたと説明した。そのうえで、完成した絵画がメローニ首相に「ある程度似ている」ことには気づいていたと認めている。

2026年1月23日、ヴィラ・ドリア・パンフィーリで開催されたイタリア・ドイツ政府間サミット中の記者会見に出席したジョルジア・メローニ首相。Photo: Vincenzo Nuzzolese/SOPA Images/LightRocket via Getty Images
2026年2月4日、サン・ロレンツォ・イン・ルチーナ聖堂の天使像の顔が塗りつぶされた。Photo: Riccardo De Luca/Anadolu via Getty Images

騒動が報じられて以降、教会にはフレスコ画を一目見ようとする見物客が詰めかけるようになった。ミケレッティは同紙に対し、「ミサに耳を傾けたり祈ったりするのではなく、絵を見るために人々が列をなしていた。それは容認できなかった」と語った。

ヴァレンティネッティは当初、意図的にメローニ首相に似せて天使の顔を修復したことを否定していたが、数日後にこれを認めた。そして2月4日、ローマ教区から天使の顔を削除するよう求められたとガーディアン紙に明かした。同日、問題となっていた天使の顔は塗り消された。

なお、このフレスコ画は2000年に制作されたもので、文化財としての法的保護の対象にはなっていなかった。

この騒動に対し、野党政治家らも反応を示した。イタリアのポピュリスト政党・五つ星運動の議員らは声明で、「描かれている顔が首相であろうとなかろうと、芸術や文化がプロパガンダやそれに類するものの道具となるべきではない」と訴えた。

一方、メローニ首相本人は騒動の初期にインスタグラムでこの件に言及し、問題のフレスコ画の写真を添えて、「いや、私は天使にはまったく似ていない」と、笑顔の絵文字とともに投稿している

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