イーロン・マスク像を刃物で切りつけ? トランプ政権とマスクに対する抗議の一環か

インターネットミームを元に作られたイーロン・マスクの胸像が、何者かによって傷付けられていることがわかった。アメリカでは現在、トランプ政権に対する抗議の一環としてテスラの販売代理店などを狙った過激な抗議活動が相次いでおり、今回の破壊行為もその一環として行われた可能性がある。

何者かによって破壊されたイーロン・マスクの胸像・Photo: via X
何者かによって破壊されたイーロン・マスクの胸像・Photo: via X

テキサス州に設置されたイーロン・マスクの高さおよそ3.6メートルの胸像が、何者かによって損傷されていることがわかった。ABCニュースによると、土地所有者のエレアザール・ヴィラフランカは4月12日、通行人から像が傷付けられていることを知らされ、目とあご、背中に深い傷があることを14日に確認したという。胸像はゴムのような素材でつくられている。ヴィラフランカは、「ナイフで付けられたような切り傷が3、4カ所あります」と語っている。

マスクの胸像がヴィラフランカの土地に設置されてからおよそ1年が経つ。彼は作品が破損したことを彫像の作者に伝えたが返事がなかったため、別のアーティストに修復を依頼したという。また、キャメロン郡の保安官事務所にも通報したというが、現時点で容疑者は特定されていない。

この像は、2024年の夏にテキサス州ブラウンズビルの街中で目撃された胸像と同じものだと考えられており、仮想通貨の「ElonRWA」を創ったフランス人起業家の自称「ルイ22世」が手がけている。彼はUS版ARTnewsに対し、6年前にネット掲示板のRedditに投稿されたお世辞にもうまいとは言えないマスクの肖像画に端を発したミームを広めるためにこの像を制作したと語っている

テスラのCEOでホワイトハウスの上級顧問であるマスクがトランプ政権の政府効率化省(DOGE)の実質的な指揮を執るようになって依頼、テスラのディーラー店舗や駐車されているサイバートラックを標的とした破壊行為が相次いでおり、今回の彫像損傷も、そのひとつと考えられる。DOGEのトップとして、マスクは連邦職員の大規模レイオフと広範な予算削減を進めつつ、ウィスコンシン州の最高裁判事選挙で保守派候補者を勝たせるべく、有権者に数百万ドルを投資してきた。その最高裁では、同州でのテスラ販売店開設に関する訴訟の審理が予定されている。

一方、トランプ政権は、大統領令や予算削減を通じて、芸術・文化機関に自政権の優先事項やイデオロギーに合わせるよう圧力をかけるために、多くのリソースを投入している。全米の博物館や図書館に支援を提供する博物館・図書館サービス研究所の職員は、今月、DOGEによって一時解雇された。またDOGEは、全米人文科学基金(NEH)に対して職員の80%を削減するよう4月に勧告し、多くの受給者が助成金を取り消されたと語っている。(翻訳:編集部)

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