イーロン・マスク率いる政府効率省が人文科学基金に大リストラを要求。「文化的遺産の破壊」と専門家

イーロン・マスクが率いる政府効率省(DOGE)が、アメリカの博物館や大学、遺跡を助成してきた全米人文科学基金(NEH)のスタッフや助成金を大幅に削減することを要求している。

2025年3月30日にグリーンベイ(ウィスコンシン州)のKIコンベンションセンターで開催されたイベントでスピーチを行うイーロン・マスク。Photo: Joshua Lott/The Washington Post via Getty Images

イーロン・マスクがトップを務める政府効率省(DOGE)が、全米人文科学基金(NEH)にスタッフや助成金を大幅に削減することを要求している。

ニューヨーク・タイムズが4月1日に報じたところによると、同日朝、DOGEはNEHに約180人の職員のうち70〜80パーセントにあたる人員の削減を要求し、バイデン政権下で支給された助成金のうち、未払いとなっているもの全てを打ち切る可能性があると通達したという。それを受けて上層部は、実際にどのような削減を行うかについて確認し、より詳細な計画を立てると職員に伝えた。

そのわずか3週間前、前バイデン大統領によって任命されていたNEHの長官シェリー・ローは、4年の任期を全うしないまま辞任を余儀なくされた。現在、同機関は法律顧問のマイケル・マクドナルドが暫定ディレクターとして率いている。

全米人文科学基金(NEH)は美術館・博物館、歴史的遺跡、大学、図書館などの支援を目的に1965年に設立された。同基金のウェブサイトによると、これまで60億ドル(約9000億円)以上の助成金を交付してきた。昨年のNEHの予算は2億1100万ドル(現在の為替で約308億円)で、今年初めにはロサンゼルス・カウンティ美術館メトロポリタン美術館などへの支援を含む総額2660万ドル(約38億円)の助成が決まっていた。

DOGEによる勧告があった同日、博物館や大学、州の審議会、文化団体などの連合体である全米人文科学連合は声明を発表し、「DOGEは、米国予算で考えると誤差程度の金額のために、全ての州にプラスの影響を与えている小さな連邦機関を標的にしている」と非難。そして、以下のように訴えた。

「NEHの資金を削減することは、全ての州のコミュニティに直接的なダメージを与え、私たちが共有する文化的遺産の破壊に繋がります。これは、連邦資金をアメリカのコミュニティに配分するという機関の使命の妨げとなる不必要な障壁を作り出すものです」

NEHと同じ法律の下で1965年に設立された、あらゆる芸術を対象に、その卓越性を示すプロジェクトや公演、展示に財政支援を提供する全米芸術基金(NEA)の今後も心配される。NEAが同様の削減を受けるかどうかはまだ分からないが、2月、NEAは十分なサービスを受けていないグループやコミュニティを支援する小規模な助成プログラムを終了すると発表した。

DOGEはNEHに大規模削減を通達した同日、ワシントンD.C.の博物館・図書館サービス協会(IMLS)の全職員を突如休職させた。だがここ数日、イーロン・マスクがトランプ政権の職務を離れる可能性があることが複数のメディアで報じられている。Newsweekはマスクが退くのは5月末で、理由は、その期間までにDOGEの使命である連邦支出1兆ドル(約146兆円)の削減を完了できる見込みだからだと伝えた。マスクが離れた後のDOGEがどのようになるか、トランプは明らかにしていない。(翻訳:編集部)

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