ポンペイ遺跡で観光客が石を持ち出し、加重窃盗容疑。約26万の罰金の可能性

ポンペイ考古学公園の夜間ツアーに参加したスコットランド人男性が石5個とレンガ1個を盗んだとして、イタリア当局に通報・告発された。

盗まれたポンペイの遺物を調査するカラビニエリ。Photo: Facebook/Pompeii - Parco Archeologico

8月14日、ポンペイ考古学公園は、遺跡から石5個とレンガ1個を盗んだ観光客が加重窃盗の容疑でイタリア当局に通報・告発されたと発表した。

インディペンデントが報じたところによると、通報されたのは夜間ツアーに参加した51歳のスコットランド人男性。ツアー中に男性が道路の石を拾ってリュックサックに詰めているのをツアーガイドが見つけ、イタリアの警察であるカラビニエリに通報。カラビニエリは遺跡外のヴィラ・デイ・ミステリ駅近くで男性の身柄を拘束したという。

男性のリュックを調べると、道路の舗装に使われている石5個とレンガの破片1個が見つかった。男性は、石は岩石収集が趣味の息子に渡すつもりで拾い、遺物を持ち帰ることが禁止されているとは知らなかったと弁明。盗まれた遺物は考古学公園に返却された。

考古学公園の規則では、遺跡の遺産を保護するため、いかなる物品や破片の持ち出しを禁じている。男性は加重窃盗罪で告発されており、もし起訴されて有罪となれば最大6年の懲役と1500ユーロ(約26万円)の罰金が科される可能性がある。

盗まれたポンペイの遺物。Photo: Facebook/Pompeii - Parco Archeologico
盗まれたポンペイの遺物。Photo: Facebook/Pompeii - Parco Archeologico

ポンペイ考古学公園のガブリエル・ズヒトリーゲル園長はこの一件をSNSで報告し、「我々の遺産を守るための取り組みに対し、注意深く男性の動きを観察したツアーガイド、私たちの優秀な管理人と警備スタッフ、そしてカラビニエリに感謝と賛辞を送ります」と称えた

一方で、ポンペイの遺物が「呪われている」と主張する人もいる。2020年にガーディアンが報じたところによれば、カナダ在住のニコールと名乗る女性は、2005年に考古学公園で盗んだアンフォラの一部と陶器片をポンペイの旅行代理店に返却。それらに添えられた手紙の中で、彼女は、当時はまだ20代で「誰も持っていない歴史の片鱗」を手に入れたいという出来心で盗んだが、帰国後、2度に渡って手術を伴う大病を患ったほか、一家で経済的な困難に直面するなど、不運が立て続けに起きたと主張。それらの不幸はポンペイ遺跡の呪いであるとして、「この呪いを家族や子どもたちに引き継がないために」返却に至ったと明かした。

ポンペイの遺物の盗難は過去に何度も起きており、2015年には、1958年に遺跡から盗まれたレンガがeBayに出品されているのが発覚。地元メディアのコリエーレ・デッラ・セーラ紙によると、今回の盗難を受けて、カラビニエリ司令官のアレッサンドロ・ダウリアは、今後、考古学公園の警備・管理体制を強化するという。

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