年末年始に見たいアートイベントTOP6:箱根で杉本博司・イケムラレイコらが新作を発表、「馬年」を寿ぐ名品が集合
2025年末から2026年の年始にかけて開催される展覧会の中から、来年の干支・馬の名品が集う特別展示や、華やかなアール・デコなど、1年の締めくくりと新年にふさわしい6本を厳選。新たな年の幕開けを、アートとともに祝おう。

1. 総合開館30周年記念 作家の現在 これまでとこれから/総合開館30周年記念 遠い窓へ 日本の新進作家 vol. 22(東京都写真美術館)
2展同時開催! 写真づくしの年末年始を
東京都写真美術館では2展が同時開催。「総合開館30周年記念 作家の現在 これまでとこれから」では、国内外で活躍が目覚ましい作家の現在の活動を、これまで同館に収蔵された作品等と合わせて紹介する。作家は石内都、志賀理江子、金村修、藤岡亜弥、川田喜久治で、展示作品総数は107点にのぼる。進行形の作家活動に触れる機会を通して作家や作品への理解を深めるとともに、これからの表現の可能性を探ることができる。
「総合開館30周年記念 遠い窓へ 日本の新進作家 vol. 22」は、将来性のある作家を発掘するとともに、新たな創造活動を紹介することを目的として2022年から行う「日本の新進作家」展の22回目。今回は人と時代の流れや場所、風習といった物事との結びつきから生まれる小さな物語に焦点を当てた5人による作品を紹介する。作家は寺田健人、スクリプカリウ落合安奈、甫木元空、岡ともみ、呉夏枝。
総合開館30周年記念 作家の現在 これまでとこれから
会期:10月15日(水)〜2026年1月25日(日)
総合開館30周年記念 遠い窓へ 日本の新進作家 vol. 22
会期:9月30日(火)〜2026年1月7日(水)
場所:東京都写真美術館 2階展示室(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
時間:10:00〜18:00(木金は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜、12月29日〜1月1日
2. 新時代のヴィーナス! アール・デコ100年展(大阪中之島美術館)
BMWのクラシックカーも登場!アール・デコと迎える2026年
2025年の象徴的な出来事と言えば、大阪・関西万博。そこからちょうど100年前、フランス・パリでは芸術史上極めて重要な「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」、通称アール・デコ博が開催された。その100周年の節目に開催される本展は、「アール・デコと女性」に焦点を当てている。
会場には、女性が描かれたフランスを中心とするヨーロッパのグラフィックデザイン作品と共に、ブシュロンのアーカイブジュエリー、BMW社のクラシックカーなど、この時代を象徴する品々や女性と関わりの深い数々の貴重な作品や資料が並ぶ。中でも必見は、100年前のアール・デコ博会場に建っていた噴水塔の一部、ルネ・ラリックの彫像《泉の精、ガラテ》。約100点の当時の新しい女性像を示すポスターも見どころだ。
新時代のヴィーナス! アール・デコ100年展
会期:10月4日(土)〜2026年1月4日(日)
場所:大阪中之島美術館 5階展示室(大阪府大阪市北区中之島4-3-1)
時間:10:00〜17:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜日、12月30日〜1月1日
3. 織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ(ヒカリエホール)
ハンス・ウェグナーのタイムレスなデザインの魅力
デンマークを代表する家具デザイナー、ハンス・ウェグナー(1914-2007)の国内最大規模となる回顧展。初期の代表作《チャイナチェア》を深く掘り下げて生まれたベストセラーの椅子《Yチェア CH24》や、無垢材を11層にスライスし、大きなリングのフレームを成形し作り出す《サークルチェア PP130》など、今なお人々の心を捉える様々なデザインを生み出した。
本展は、椅子研究家・東海大学名誉教授の織田憲嗣が半世紀以上にわたって研究・収集した世界屈指のウェグナー・コレクションから椅子160点とその他家具を一堂に集め、ウェグナーの92年の生涯を3期に区切ってその特徴を俯瞰しながら紐解いていく。展示の目玉は、腰痛に悩むジョン・F・ケネディが1960年に大統領選挙のテレビ討論会で長時間座ったことでその地位を不動のものにした《ザ・チェア》(1949)だ。さらに本展のために、ウェグナーが家具職人の見習いだった17歳時に手掛けた《ファーストチェア》(1931)を写真資料から再現復刻し初披露する。
織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ
会期:12月2日(火)〜2026年1月18日(日)
場所:ヒカリエホール(東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ9F)
時間:10:00〜19:00(12月31日は18:00まで、入場は30分前まで)
休館日:1月1日
4. SPRING わきあがる鼓動(ポーラ美術館)
年末年始は無休! 旅人を魅了する「箱根」に焦点
ポーラ美術館の開館以来初となる、「箱根」という土地に焦点を当てた展覧会。箱根町立郷土資料館が収蔵する貴重な浮世絵コレクションや町指定重要文化財の絵画を皮切りに、箱根をはじめとした東海道の風景から触発された表現を、江戸時代から現代に至るまで約120点で横断的に紹介。古来より旅人を惹きつけ続け、アーティストの創造力を呼び覚ます箱根の魅力に迫る。
現代作家では、大巻伸嗣による箱根の自然と共鳴する大規模なインスタレーションのほか、杉本博司が富士山を望む箱根湖を捉えた大作、イケムラレイコは歌川広重《東海道五十三次》との対話を経て、不可思議な生き物や精霊たちが生息する、幻想的な山あいの湖畔を描写した新作を発表する。名和晃平による2体の《PixCell-Deer》が対峙する展示も必見だ。また、ポーラ美術館の西洋近代絵画コレクションより、モネやゴッホ、ゴーガン、アンリ・ルソーらによる未知の土地への旅行や内なる旅により生み出された作品も並ぶ。年末年始は無休。アートでも「箱根の旅」を楽しもう。
SPRING わきあがる鼓動
会期:12月13日(土)〜2026年5月31日(日)
場所:ポーラ美術館(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285)
時間:9:00〜17:00(入場は30分前まで)
休館日:会期中無休
5. 新春特集展示 うまづくし-干支を愛でる-(京都国立博物館)
2026年の干支は午(うま)! 家族で楽しめる馬大集合の展覧会
2026年の干支は午(うま)だ。馬は人と共に生活する生き物として、人を乗せて走ったり、重たい荷物を運んだり、様々な仕事をしてきた。本展では今年の主役である「馬」に関係するさまざまな文化財を紹介する。
重要文化財の「駿馬図 景徐周麟賛」や「賀茂競馬図屏風」などの絵画作品、重要美術品の「三彩馬俑」といった陶磁器、そして「賀茂競馬文様小袖」など、多様な作品を集めた4章仕立てで、人々の心を捉えた馬の美しい姿と文化的な意義を探る。本展では、やさしい解説文と、子ども向けのワークシートを用意している。家族でワークシートを片手に、どんな馬たちがいるか探す楽しみ方も。
新春特集展示 うまづくし-干支を愛でる-
会期:12月16日(火)〜2026年1月25日(日)
場所:京都国立博物館 平成知新館(京都府京都市東山区茶屋町527)
時間:9:30〜17:00(金曜は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(12月29日〜1月1日、1月12日は除く)、1月13日
6. 特集 博物館に初もうで 午—神と人をつなぐ祈りのかたち—(東京国立博物館)
馬の名品と迎える新年。千住博の新作も披露
来年も、干支モチーフの名品が大集結する毎年恒例の正月企画「博物館に初もうで」が開催される。人の意を汲み機動力に富む馬は、軍事や運搬、交通、農耕など多方面において欠かせない人間の良きパートナーだった。特集展示では、馬の木彫の名作後藤貞行《馬》(1893)や重要文化財の絵巻「馬医草紙」(1267)、「馬形埴輪」(古墳時代)など古今の馬をモチーフにした品々が並ぶ。
また、国宝の長谷川等伯筆 《松林図屛風》(1月12日まで)や「色絵寿字宝尽文鉢」などの新年にふさわしい吉祥作品や、日本画家、千住博の新作《ウォーターフォール》の特別展示も(1月12日まで)。そのほか、正月三が日は新春歌唱(オペラ)や葛西囃子中村社中による獅子舞、正義流詩舞同好会・神刀無念凱山流の吟剣詩舞が行われ、新しい年の訪れを祝う。
特集 博物館に初もうで 午—神と人をつなぐ祈りのかたち—
会期:2026年1月1日(木・祝)〜1月25日(日)
場所:東京国立博物館 本館 特別1室(東京都台東区上野公園13-9)
時間:9:30〜17:00(金土、1月1日は13:00~、1月11日は~20:00、入場は30分前まで)
休館日:月曜(1月12日を除く)、1月13日




























