ルーブル美術館、「約束通り」侵入経路の窓に格子を設置。窃盗事件を受けた警備体制改善策

ルーブル美術館は、10月に発生した窃盗事件で犯人が侵入した窓に格子を設置した。今後は同館内の他の窓にも同様の対策が講じられる予定で、防犯カメラ100台の設置も計画されている。

ルーブル美術館「ガレリー・アポロン」の窓に新しく設置された格子。Photo: Dimitar Dilkoff/AFP via Getty Images
ルーブル美術館「ガレリー・アポロン」の窓に新しく設置された格子。Photo: Dimitar Dilkoff/AFP via Getty Images

10月に王室の宝飾品が盗まれた事件を受け、ルーブル美術館は警備体制の強化を進めている。12月23日には、窃盗犯が侵入に使った「ガレリー・アポロン」へ通じる窓に新たな格子が設置され、館長のローランス・デカールの公言通り、クリスマス前に工事は完了した。

窃盗犯たちは梯子で窓まで登り、電動工具でガラスを切断して展示室内に侵入した。なお、盗み出された品の多くは依然として行方がわかっていない。

ルーブル美術館副館長のフランシス・シュタインボックはAFP通信に対し、格子の導入は警備体制改善の一環として行われたと語った。この改善策は、政府と国民からの非難を受けて発表されたもので、同館は「年内に実施すると約束」していた。今後、他の窓にも同様の処置を施す予定で、100台の防犯カメラの設置も計画されている。

一方、今回の窃盗事件について、フランスの美術史家ベネディクト・サヴォワは、ニューヨーカー誌のインタビューで自身の見解を語っている。現在ルーブル美術館で連続講演を行っている彼女は、この比喩は「適切ではないかもしれない」と前置きしたうえで事件を「レイプのようなもの」と表現し、次のように述べた。

「今回の窃盗事件を通じてわかったことは、美術館には技術的・物理的な脆弱性があり、美術品が盗み出されることで人々の動揺を招くと同時に、文化的に深い傷を負ってしまう可能性があるという点です」

(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい