今週末に見たいアートイベントTOP5:宇宙+量子+アートで「見えない世界」を考察、森本啓太が初のインタレーションを発表
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. ミッション∞インフィニティ|宇宙+量子+芸術/開館30周年記念 MOTコレクション「マルチプル_セルフ・ポートレイト」「中西夏之 池内晶子―弓形とカテナリー」(東京都現代美術館)
2展示でめぐる「自己」と「見えない世界」
2025年の国際量子科学技術年に呼応する企画展「ミッション∞インフィニティ|宇宙+量子+芸術」は、宇宙や量子などのサイエンス領域とアートの協働を通じ、「見えない世界」への想像力を喚起する。国産の「量子コンピュータ」による初のアート作品も見どころ。出品は久保田晃弘+QIQB、平川紀道、ARTSATプロジェクト(久保田晃弘|平川紀道|稲福孝信)、逢坂卓郎、落合陽一、江渡浩一郎+アラレグミ、安藤英由樹+田中成典、古澤 龍、森脇裕之、片岡純也+岩竹理恵、藤本由紀夫+永原康史、田中ゆり+有賀昭貴+パヴレ・ディヌロヴィッチ、吉本英樹、JAXA宇宙科学研究所(ISAS)など。
同時期に開催するMOTコレクション展は、新収蔵作品を軸に、作家たちの実践を多角的に照らし出す構成となっている。1階の「マルチプル_セルフ・ポートレイト」では、名画や歴史、日常のイメージを参照しながら、「複数の自己」をめぐる表現が展開される。森村泰昌をはじめ、ユアサエボシ、松井えり菜らによる特別構成に加え、ミヤギフトシ、横山裕一、アンディ・ウォーホルなど多様な作家の作品が並ぶ。3階は特集展示として、同館で初の日本人作家として個展を開催した中西夏之と、絹糸を用いたインスタレーションで知られる池内晶子による、ともに「今ここ」にある自身の身体を起点とした作品が展開される。
開館30周年記念 MOTコレクション「マルチプル_セルフ・ポートレイト」「中西夏之 池内晶子―弓形とカテナリー」
会期:2025年12月25日(木)〜2026年4月2日(木)
ミッション∞インフィニティ|宇宙+量子+芸術
会期:1月31日(土)〜5月6日(水休)
場所:東京都現代美術館(東京都江東区三好4-1-1)
時間:10:00〜18:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(2月23日、5月4日を除く)、2月24日
2. イ・カンホ「『GHOST IN THE SHELL』/『O SERIES』」(SKAC)

日用品と彫刻の境界を揺るがすインスタレーション
ソウルを拠点に活動するイ・カンホは、身の回りの素材から生活に必要な道具をつくり出していた農家の祖父の影響を受け、彫刻とデザイン、アートとクラフトの境界を横断する実践を続けてきた。日用品や建築資材といった既存の素材に手を加え、新たな意味や機能を与えるその制作は、近年注目を集めている。
本展では、そうしたイの制作態度を異なるかたちで展開する2つのインスタレーション、《GHOST IN THE SHELL》と、韓国のアップサイクルブランド「FORMAT」との協働による《O SERIES》を同時に紹介する。《GHOST IN THE SHELL》では、素材が本来担ってきた役割や外殻(シェル)をずらし、その内部に潜む構造や気配を浮かび上がらせる。
一方、《O SERIES》では、再利用されたアルミ型枠の無垢な表面にイ・カンホの造形言語が重なり、素材が別の素材と結びつく瞬間が可視化される。シリーズの中核をなす「O」という形態は、循環や無限、ゼロ、文字など単一の定義に収まらず、解釈に開かれた存在として提示される。スツール、チェア、ベンチへと展開される「Original Line」は、彫刻としての自律性と道具としての機能性を併せ持ち、彫刻とデザインの境界を軽やかに横断する。
イ・カンホ「『GHOST IN THE SHELL』/『O SERIES』」
会期:2025年12月19日(金)〜2026年2月15日(日)
場所:SKAC(東京都葛飾区西亀有3-26-4)
時間:11:00〜19:00
休館日:月火
3. 森本啓太「what we told ourselves」(KOTARO NUKAGA 天王洲)
リアリズムに仕込まれた不穏さ
バロック絵画や20世紀初頭のアメリカン・リアリズムの視覚言語を参照しながら、都市の夜景や人工光を強い明暗法で描き出してきた森本啓太。街灯やネオンサイン、自動販売機といった光源は、ありふれた都市風景を舞台装置のように変容させ、そこに潜む一瞬の物語を静かに浮かび上がらせる。
本展では、大型の絵画作品群に加え、森本にとって初となるインスタレーション作品を発表する。16歳でカナダに移住し、2021年に帰国した森本は、異なる文化や言語のあいだで生じた「ズレ」や違和感を制作の核としてきた。作品に描かれる人物や風景には、どこか不自然で、何かを見逃しているような感覚が漂う。絵画世界を現実空間へと拡張する本展は、私たち自身が信じてきた物語や虚構——“what we told ourselves”——について、鑑賞者に問いかける。
森本啓太「what we told ourselves」
会期:1月17日(土)〜3月7日(土)
場所:KOTARO NUKAGA(東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA Art Complex II 1F)
時間:11:30〜18:00
休廊日:日月祝、2月10日
4. 市川平 中島崇 河合政之 3人展《VOLATILITY》(アートファクトリー城南島)
湾岸の巨大空間で展開する、「流動性」の実験場
「Volatility(揮発性・流動性)」をテーマとした本展は、不安定さや変化の只中にある現代社会を背景に市川平、中島崇、河合政之の3人が制作した、光、映像、音を用いたインスタレーションを展開する。
事実と虚構、自然と人工、人間とテクノロジーといった境界が揺らぐ時代において、私たちはどのように世界との関係を結び直すことができるのか。この問いに対して、それぞれ流動的な環境との関係性をテーマに制作してきたアーティストが集い、張り巡らされた構造体や投影される光、響き合う音が、刻々と変化する知覚体験を生み出す。都内最大級の展示空間を有するアートファクトリー城南島という場所性も相まって、カオスと秩序のあいだを行き来するような没入的な空間が広がる。
市川平 中島崇 河合政之 3人展《VOLATILITY》
会期:1月17日(土)〜3月20日(金祝)
場所:アートファクトリー城南島(東京都大田区城南島2-4-10)
時間:11:00〜17:00
休館日:会期中無休
5. 京都市京セラ美術館「中立点| In-Between ―第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示帰国展」(京都市京セラ美術館 桜水館)
生成AI時代の「あいだ」を問う、日本館展示の再構成
昨年5月から11月まで開催された、第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館の帰国展。本展は、生成AIとの未来を、人間と非人間、自然と人工、その「あいだ(In-Between)」に開かれた対話として提示した試みが、京都という新たな文脈で再構成される。
ヴェネチアでは、SUNAKI(砂山太一+木内俊克)と藤倉麻子+大村高広という2組の作家によるインスタレーションが、空間を分かち合いながら相互に補い合う構成が採られた。本帰国展では、キュレーションと作家それぞれの視点が独立し、別のかたちへと翻訳される。建築と美術の領域を横断しながら、技術と人間の関係性を問い直すこの試みは、東京以外で開催される初の日本館帰国展としても注目される。
「中立点| In-Between ―第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示帰国展」
会期:1月24日(土)〜3月1日(日)
場所:京都市京セラ美術館 桜水館(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124)
時間:10:00〜18:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(2月23日を除く)




















