今週末に見たいアートイベントTOP5:英国の巨匠エイドリアン・バーグの日本初個展、沖潤子が過去最大作品に挑む
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!
1. 黒人女性の文学とジャズ展 ブラック・フェミニズムをたどる(早稲田大学国際文学館)
黒人女性の芸術から辿るブラック・フェミニズムの思想的系譜
奴隷制時代から現代まで、黒人女性の芸術は、沈黙を破り、内なる魂(ソウル)に光をあて、自らの言葉で自己を定義するための力であった。本展は、アメリカを中心とする黒人女性作家・ジャズ奏者による作品を紹介し、ブラック・フェミニズムの思想的系譜を辿る。
会場には、ゾラ・ニール・ハーストン、トニ・モリスン、アリス・ウォーカーなどアフリカ系アメリカ人女性作家およびその他の地域の黒人女性作家による文学作品のほか、ベッシー・スミスやビリー・ホリデイをはじめとする女性ブルース歌手やジャズ歌手のレコード、そしてメアリー・ルー・ウィリアムズ、エスペランサ・スポルディング、テリ・リン・キャリントンなど、ジャンルやジェンダーの枠を超えて活躍してきた器楽奏者のレコードが並ぶ。また、特別展示として、ジャズを深く愛する小説家・村上春樹のレコード棚に並ぶ女性ジャズ奏者の名盤を本人の解説付きで紹介する。
黒人女性の文学とジャズ展 ブラック・フェミニズムをたどる
会期:2025年11月13日(木)〜2026年4月19日(日)
場所:早稲田大学国際文学館 2階展示室(東京都新宿区西早稲田1-6-1)
時間:10:00〜17:00
休館日:水曜日ほか(休館日はウェブサイトで告知)
2. エイドリアン・バーグ:無限の庭園(広島市現代美術館)
イギリス美術の巨匠50年の画業を回顧
20世紀後半のイギリス美術を代表する画家、エイドリアン・バーグ(1929-2011)の日本初個展。バーグは1961年にロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業。キャリアの初期は数学的、科学的思考に基づく、画面分割と再構成による絵画に関心を寄せ、アトリエの窓から見たリージェンツ・パークを繰り返し描くようになる。その後晩年にいたるまで、キャンバスの中に複数の視点や異なる時間軸を織り込み、華やかな色彩と独自の空間構成によって画面を再統合する絵画作品を制作し続けた。
本展では、イギリスからの日本初公開作品を軸に、東京都現代美術館所蔵の《グロスター・ゲート(リージェンツ・パーク)夏、秋、冬》と同館所蔵の《シェフィールド公園 1985-86 年秋》を加えた約20点の絵画作品で約50年にわたるバーグの画業を振り返る。また、数学的・科学的な思考とも結びついていたバーグの制作構想がうかがえる、構図や配色のアイデアが詳細に記されたスケッチブックなど、豊富な関連資料も紹介する。
エイドリアン・バーグ:無限の庭園
会期:1月24日(土)〜4月12日(日)
場所:広島市現代美術館 展示室B-1(広島県広島市南区比治山公園1-1)
時間:10:00〜17:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜
3. 笠原恵実子「DR 2019-」(The Third Gallery Aya)

鉄道と侵略行為の関係を考察
彫刻、写真、映像やパフォーマンスなど多岐にわたるメディアを用い、性別や宗教といった社会における規定や制度について作品制作を行う笠原恵実子の個展。本展は、植民地主義の形成と発展に深く関わる近代鉄道の敷設について展開してきたプロジェクトの最終章となる。
経済的発展とともに拡張しながら漠然とした憧憬を生み出し人々を魅了する鉄道は、単なる移動や物流手段に留まらず、越境による他文化への侵食を進めるものでもある。笠原はそうした鉄道と、それを生み出す原資となる貨幣との関係に着目し、現在も続く侵略行為へ連鎖する矛盾を孕んだ社会的メタファーとして制作に取り組んできた。本展で展示されるのは、笠原自らが行う子どものいたずらのような行為と、それらの記録を集積した作品群だ。反復する歴史からの逸脱とその転覆を考察するという作家の試みは、鉄道と貨幣という日常に根ざした素材を通じて、植民地主義の残滓が現代社会にいかに継続しているかを問いかける。
笠原恵実子「DR 2019-」
会期:2月28日(土)〜3月28日(土)
場所:The Third Gallery Aya(大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル4F)
時間:13:00〜19:00(土曜は17:00まで)
休廊日:日月(火はアポイントメント制)
※3月1日は特別オープン(13:00~17:00)
4. 香月恵介 個展「ON-SCREEN」(みんなのギャラリー)
スクリーンに映し出される「光」の表現
1991年生まれのアーティスト、香月恵介の個展。香月はモニターに映し出された画像をその表示構造、赤青緑の画素を絵具で再現した「ピクセルペインティング(Pixel Painting)」を主軸に制作している。モチーフにはモネやターナーの絵画を使用する。これは光を描いた著名な画家の作品を現代の光学技術の成果たるモニターへ召喚し、その画像を絵画化することによって、現代におけるイメージや光についての再考を促すためだという。
本展では、香月が長年に渡り取り組んでいるピクセルペインティング作品より「3600 Colors」シリーズを20数点、そして2組のエディション作品を展示する。 ギャラリーはまるでパソコンの画面が現実に現れたかのような空間となる。伝統的な絵画から現代のデジタルディスプレイへと続く「視覚とメディアの関係性」に迫り、私たち自身のものの見方に再考を促すことだろう。
香月恵介 個展「ON-SCREEN」
会期:3月5日(木)〜3月22日(日)
場所:みんなのギャラリー(東京都台東区東上野4-14-3 2F)
時間:12:00〜19:00
休廊日:月曜
5. 沖潤子「STILL」(KOSAKU KANECHIKA)
時間と物語の堆積を刺繍で紡ぐ
1963年生まれの沖潤子は、古い布や道具が経てきた時間、またその物語の積み重なりに、刺繍と彼女自身の時間の堆積を刻み込んで紡ぎ上げることで、新たな生と偶然性を孕んだ作品を発表してきた。近年は「あいち2025」(2025・愛知県)、「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」(2025-26・森美術館)などで作品を発表しており、同展が開催される3月下旬には、2014年に刊行した作品集『PUNK』に続いて12年ぶりとなる『STILL PUNK』も刊行される。
本展では、新作約10点を発表する。作品は史上最大規模のものとなり、自身の制作プロセスを改めて組み立て直すことになったという。沖は「素材との対話のあり方は、それぞれの素材ごとに固有のものになります。そこには新旧の時間が抱擁し合っている」と話す。作家にとって自身の創作を再確認しつつ、貫くその揺るぎない姿勢を作品から感じ取っていただきたい。
沖潤子「STILL」
会期:3月7日(土)〜4月18日(土)
場所:KOSAKU KANECHIKA(東京都中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING 3F)
時間:11:00~19:00
休館日:日月祝






















