今週末に見たいアートイベントTOP5: ウォーホル、ボイスら14作家の作品から「カモフラージュ」を考察、バリー・マッギーが新作インスタレーションを発表
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!
1. 進撃の巨匠 竹内栖鳳と弟子たち(福田美術館)
作品で振り返る近代日本の巨匠、竹内栖鳳と弟子の快進撃
近代の日本画壇の巨匠、竹内栖鳳(1864-1942)。京都に生まれた竹内は、四条派や京都府画学校(現在の京都市立芸術大学)で学び、後年はヨーロッパを旅してターナー、コローなどからも大きな影響を受けた。動物画の名手として知られており、その緻密な描写は「匂いまで表現する」と評された。
本展は同館コレクションから栖鳳の作品に加え、若き日の栖鳳の師、幸野楳嶺ら先人たちの作品や、栖鳳から学んだ西山翠嶂や上村松園、土田麦僊、村上華岳や入江波光、福田平八郎、徳岡神泉らの作品を展示する。タイトルにある「進撃」とは「競いながら前進を続ける」ことを意味する。栖鳳と弟子たちが明治から昭和にかけて繰り広げた無双の快進撃は、後世を生きる私たちにも強い力を与えてくれるに違いない。
進撃の巨匠 竹内栖鳳と弟子たち
会期:1月18日(木)~4月7日(日)※前期:~3月4日(月)、後期:3月6日(水)~4月7日(日)
会場:福田美術館(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16)
時間:10:00~17:00(入場は30分前まで)
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2. 菅原玄奨 「湿った壁」(EUKARYOTE)
菅原玄奨が新たな素材とテーマで挑む「人物像」
消費的なファッションをまとって記号化される現代人の身体をかたどり、わずかな触覚性と匿名性を強調した立体作品で知られる菅原玄奨。これまでFRPを主な素材としてきたが、近年は作陶に用いられる粘土を新たな素材として、テラコッタ(素焼き)での表現に取り組んできた。それは菅原自身の原初的な体験をもとに、粘土の触覚的な要素と、作品が成り立つプロセスを可視化することで、彫刻の表面性を再考する試みとなっている。
本展では、新たな技法に挑みつつ、「中間」というキーワードに着目した人物像を披露する。作品は、貝殻に直接耳を当てているのではなく、これから当てようとしているのか、 あるいは当て終わったのか、定かではない状態で静止している。巻貝を耳に当てると波の音が聞こえるという言説は、自分自身の鼓動や血流の音が反響しているとも言われており、ここでも内と外の要素が錯綜する菅原のストーリーが織り込まれている。 より彫刻の根幹へと歩みを進める菅原の転換点を目にすることができるだろう。
菅原玄奨 「湿った壁」
会期:1月26日(金)~ 2月18日(日)
会場:EUKARYOTE(東京都渋谷区神宮前3-41-3)
時間:12:00~19:00
3. OLDE IFFY / BARRY MCGEE(伊勢丹新宿店)
社会課題をカラフルに表現するバリー・マッギーが新作ペインティングとインスタレーションを発表
サンフランシスコを拠点に活動する現代アーティスト、バリー・マッギー。自身が生まれ育ったサンフランシスコでの日常風景や、ストリートアートの文化をベースに、壁画、インスタレーション、彫刻、ドローイング、写真などさまざまなジャンルで独自の世界観を表現してきた。力強いパターンや哀調を帯びたカリカチュアなど、特徴的なモチーフが使われるマッギーの作品は、社会階層や消費文化など社会の課題をテーマにしている。これまでヴェネチアビエンナーレ、プラダ財団、ボストン現代美術館、バークレー美術館、ワタリウム美術館、あいちトリエンナーレなど、数多くの美術館での展示のほか、作品はニューヨーク近代美術館(MoMA)やサンフランシスコ近代美術館などに収蔵されている。
本展では、マッギーが自ら手掛けた展示空間に、新作を含めたペインティングと、今回のために製作した映像のインスタレーションを展開する。また2月28日からは、同店 本館1階のショーウィンドウをジャックし、マッギーならではの世界観が繰り広げられる。マッギーは、「私の作品が喜びと笑いをもたらし、世界をより良い場所にするために私たちができることを少しでも考えるきっかけになればと願っています」と語る。
OLDE IFFY / BARRY MCGEE
会期:2月3日(土)~ 3月19日(土)
会場:伊勢丹新宿店 本館2階 イセタン・ザ・スペース(東京都新宿区新宿3-14-1)
時間:10:00~20:00
4. I LOVE ART 18 パーフェクト・カモフラージュ 展 私はアートになりたい(ワタリウム美術館 )
アンディ・ウォーホル、ロイス・ワインバーガーら14作家の作品から「カモフラージュ」を考察
自身の存在を隠し、周囲に溶け込むという意味を持つ「カモフラージュ」。1997年に開催された「ドクメンタⅩ」で、カッセル中央駅の古い線路に外来種の植物を植えて庭に変え、ドイツに当時増加していた移民に例えたロイス・ワインバーガーや、「僕は機械になりたい。機械になりたいから、こんな絵の描き方をするんだ」と発言したアンディ・ウォーホルなど、アーティストたちの作品や思想は、「カモフラージュ」という言葉にさまざまな解釈を与えてくれる。
本展では、同館コレクションからクリスチャン・ボルタンスキー、ヨーゼフ・ボイス、ドナルド・ジャッドら11人に、ゲストアーティストにさわひらき、野口里佳、杉戸洋を交えた作品約80点を展示。「日常」、「自然」などさまざまなものへのカモフラージュのありようを紹介する。
I LOVE ART 18 パーフェクト・カモフラージュ 展 私はアートになりたい
会期:2月4日(日)~ 5月6日(月・祝)
会場:ワタリウム美術館
時間:11:00~19:00
5. きらめき彫刻祭(谷根千エリア)
谷根千エリアを舞台に、多様化する「彫刻」について考える芸術祭
下町情緒あふれる「谷根千エリア」を舞台に、アーティストやキュレーターが自ら運営などに関わる、手作りの芸術祭。その2回目は、「彫刻」について探求する。明治時代、日本に初めて彫刻という言葉が生まれた当時は、木彫か塑造(粘土)を指していたが、現代は音や光、3Dプリントなど、その素材や技法、コンセプトは多岐にわたるようになった。このように多様化する「彫刻」はどのような存在なのか、全11会場の様々な展示のキュレーションや作品を通じて考える。
参加キュレーターは飯盛希、石野平四郎(作品も出品)、HB. 、大塚諒平、北山翔一、齋藤圭一郎、佐野藍(同)、多田恋一朗(同)、村岡佑樹(同)、森山泰地(同)、山本修路(同)、作家、コラボレーターは筏井宏実、石川洋樹、伊勢武史、井田大介(Daisuke Ida Collection)、石野平四郎、植田明志、江藤佑一、大塚諒平、大森記詩、小倉孝俊、北山翔一、木本諒、黒木結、瀬戸優、髙橋銑、蔦本大樹、中田愛美里、中西宏彰、萩原亮、前田春日美、森田悠揮、米山啓介、モノ・シャカ(コラボレーター)。
きらめき彫刻祭
会期:2月10日(土)~ 2月25日(日)
会場:東京都台東区・文京区(朝倉彫塑館、貸はらっぱ音地、旧平櫛田中邸、半澤美術店、櫻木画廊、感應寺、haco - art brewing gallery -、LIBRE、ギャラリー美の舎、The 5th floor、渡辺歯科医院)
時間:会場により異なる