【2026年上半期】世界のアートフェア18選──中東へ集まる視線と新興フェアの台頭

世界のアート業界の潮流を展望する場でもあるアートフェア。2026年は2月のアート・バーゼルカタールの初開催を皮切りに、中東へ注目が集まりそうだ。世界中で今年1月から6月までに開催されるフェアの中から、18イベントを厳選して紹介する。

2025年のフリーズ・ニューヨーク会場風景。Photo: Sean Zanni/Patrick McMullan via Getty Images

アートフェアは、作品売買はもちろんのこと、アート業界の最新動向や今後の潮流を展望する場でもある。昨今相次ぐ有名ギャラリーの閉廊やアートフェアの休止・再編など、明るいニュースばかりではないが、2026年はアート・バーゼルカタール版をローンチするなど、新たな市場の盛り上がりも感じさせる。ここでは、2026年上半期に開催される世界のアートフェアの中から、注目の18イベントを紹介しよう。

1. ART SG(シンガポール)

2025年の会場風景。Photo: Instagram/art.sg
2025年の会場風景。Photo: Instagram/art.sg

東南アジアを代表する国際アートフェア、ART SGは、2026年に第四回目の開催を迎える。世界30の国と地域から、ホワイト・キューブタデウス・ロパック、ノイグロームシュナイダーといった国際的なギャラリーを含む106のギャラリーが気鋭の作品を発表する。また、今年から東南アジアの現代アートプラットフォーム「S.E.A. Focus」との共同企画が始まり、国際的な視点と地域の活力が融合することで、フェアの更なる盛り上がりが期待できるだろう。

ART SG
日程:1月23日(金)~1月25日(日)(22日はプレビュー)
会場:マリーナ・ベイ・サンズ・エクスポ・コンベンション・センター


2. FOG Design + Art(アメリカ)

2025年の会場風景。Photo: Instagram/fogfair
2025年の会場風景。Photo: Instagram/fogfair

カリフォルニア州サンフランシスコで開催され、西海岸のアートとデザインのハブとして重要な地位を築くFOG Design + Artは2026年に12回目を迎える。今回はバーグルエン・ギャラリー(サンフランシスコ)、ハロルド・ストリート(ロンドン)、OMR(メキシコシティ)、ティナ・キム・ギャラリー(ニューヨーク)など60以上のギャラリーが集結し、日本からは銀座一穂堂ギャラリー(Ippodo Gallery)が出展するほか、若手ギャラリーに焦点を当てた「FOG Focus」セクションにはYutaka Kikutake Galleryも参加予定だ。

FOG Design + Art
日程:1月22日(木)~1月25日(日)(21日はプレビュー)
会場:フォート・メイソン・センター・フォー・アーツ&カルチャー


3. アート・バーゼル・カタール(カタール)

アート・バーゼル・カタールの会場となるM7の外観。Photo: Julius Hirtzberger/Courtesy Art Basel.

バーゼルマイアミビーチ香港、パリに続く5拠点目のフェアとして、カタールの首都ドーハでアート・バーゼルが開催される。81の出展ギャラリーは、国際的なトップギャラリーに加え中東拠点のギャラリーも多く、全て作家一人の個展形式で発表を行う点が大きな特徴だ。また、ATHR Gallery(サウジアラビア)がサウジアラビア人作家アハメド・マターを、Galerie Chantal Crousel(フランス)がパレスチナ人作家モナ・ハトゥムをセレクトしているように、出展作家の半数以上は※MENASA(メナサ)地域出身というのも興味深い点だ。アート・バーゼル・カタールに加えて、2026年11月にはフリーズアブダビの開催も控えており、中東のアートシーンは新たな局面を迎えることは間違いないだろう。

※Middle East(中東)、North Africa(北アフリカ)、South Asia(南アジア) を合わせた地域を指す言葉

アート・バーゼル・カタール
日程:2月5日(木)~2月7日(土)(3・4日はプレビュー)
会場:ドーハ・デザイン・ディストリクト M7


4. フリーズ・ロサンゼルス(アメリカ)

2025年の様子。Photo: Casey Kelbaugh/Courtesy Frieze and CKA.

2月下旬の国際アートフェアとして定着したフリーズ・ロサンゼルスは、2019年の開始以来、地元のアートシーンを盛り上げる重要なプラットフォームとなっている。今回のフェアでは、エル・アパルトメント(キューバ)、ブラッドリー・エルタスキラン(カナダ)、ジョシュ・ライリー(イギリス)など7つのギャラリーが初出展を果たす一方、2025年版に出展していたアルトマン・シーゲル、ブラム、L.A. ルーバー、ティルトン・ギャラリー、ヴィーナス・オーバー・マンハッタンらは閉廊を迎えており、ギャラリーシーンの変化がフェアラインナップからも感じられるだろう。日本からはタカ・イシイ・ギャラリーカイカイキキ・ギャラリーが出展を予定している。

フリーズ・ロサンゼルス
日程:2月27日(金)~3月1日(日)(26日はプレビュー)
会場:サンタモニカ空港


5. フェリックス・アートフェア(アメリカ)

Photo: Instagram/felixartfair
Photo: Instagram/felixartfair

フリーズ以外でロサンゼルスの活気に満ちたアートシーンを体感したいなら、フェリックスと後述するポスト・フェアは外すことはできない。歴史あるハリウッド・ルーズベルトホテルを会場に開催されるこのホテルフェアは、丁寧なギャラリーセレクションにより、コアな現代アートファンから高い評価を獲得している。2025年版では、56ヘンリー(ニューヨーク)、ドキュメント(シカゴ)、ティモシー・ホーキンソン・ギャラリー(ロサンゼルス)などアメリカ国内を中心に各国から69軒が参加した。近日中に発表される2026年版の出展者リストを是非チェックしてみてほしい。

フェリックス・アートフェア
日程:2月25日(水)~3月1日(日)
会場:ハリウッド・ルーズベルトホテル


6. ポスト・フェア(アメリカ)

2025年の会場風景。Photo: Instagram/post_fair
2025年の会場風景。Photo: Instagram/post_fair

2025年、サンタモニカの旧郵便局を会場に誕生した新しいアートフェア、ポスト・フェア。ロサンゼルスのクリス・シャープ・ギャラリーが主催するこのフェア最大の特徴は、出展コストの低さにある。主要なアートフェアへの高額な出展費用が多くのギャラリストを悩ませる中、ポスト・フェアはギャラリーの持続的な成長を重視する姿勢を示し、初年度から高い評価を獲得している。今回は合計30ギャラリーが出展し、日本からはミサコ&ローゼン、カヨコユウキ、小山登美夫ギャラリーが参加する。

ポスト・フェア
日程:2026年2月26日(木)~28日(土)
会場:サンタ・モニカ・ポスト・オフィス


7. TEFAFマーストリヒト(オランダ)

2025年の会場風景。Photo: Instagram/tefaf
2025年の会場風景。Photo: Instagram/tefaf

ヨーロピアン・ファイン・アート・ファンデーション(TEFAF)は、オールドマスター絵画、骨董品、古代美術から、モダン・現代アート、ジュエリー、デザインにいたる7000年の美術史すべてを一堂に会する世界最高峰のアートフェアだ。参加する全276ギャラリーは、絵画、紙作品、骨董品、古代美術、ジュエリー、モダン・現代アート、デザイン、アフリカ・オセアニア美術の8つの分類分けされたメインセクション、専門的なキュレーションを図るフォーカスセクション、若手ギャラリーを支援するショーケースセクションに分かれて展示を行い、その広範な専門性と質の高さで多くのコレクターを世界中から招いている。

TEFAFマーストリヒト
日程:3月14日(土)~19日(木)(12・13日はプレビュー)
会場:マーストリヒト・エキシビション&カンファレンス・センター


8. アート・バーゼル・香港(香港)

2025年の会場風景。Photo: Courtesy Art Basel.

アート・バーゼル香港はアジア太平洋地域に根差したグローバルなプラットフォームとしての役割を担う代表的なアートフェアだ。世界41の国と地域から240ギャラリーが参加し、その半数はアジア太平洋地域に拠点を置いており、うち29軒が香港にスペースを構えている。日本からはヨシアキ・イノウエ・ギャラリー、スカイ・ザ・バスハウス、みぞえ画廊、アノマリー、GALLERY KOGUREなどを含む30のギャラリーが参加予定だ。一方で、ブラムやクリアリング、ペレス・プロジェクト、ヴィーナス・オーバー・マンハッタンなど2025年に閉廊したギャラリーを含む33軒が今回出展を見送っており、ギャラリーシーンの変化が反映されている。また、バーゼルやマイアミビーチで好評を博した、近作のみの展示を条件とする「エコーズ」セクションが新たに登場し、変わりゆくアジアのアートシーンの最前線を見ることができるだろう。

アート・バーゼル・香港
日程:3月27日(金)~29日(日)(25・26日はプレビュー)
会場:香港コンベンション&エキシビションセンター


9. Art OnO(韓国)

2025年の会場風景。Photo: Instagram/art_ono_seoul
2025年の会場風景。Photo: Instagram/art_ono_seoul

Art OnO(アート・ワン・アンド・オンリー)は韓国人コレクターのノ・ジェミョンによって2024年に立ち上げられた新進気鋭のアートフェアだ。今回で3回目となるOnOは、あえて出展ギャラリー数を限定することで、参加ギャラリーと運営との間に緊密な関係性を築き、欧米基準の質の高いブース展示を実現している。フリーズキアフとは異なる独自の路線を歩み、今後、韓国アートシーンにおける新たな人気フェアとしての確立が期待されている。

Art OnO
日程:4月3日(金)~4月5日(日)(2日はプレビュー)
会場:SETEC


10. エキスポ・シカゴ(アメリカ)

2025年の会場風景。Photo: Instagram/expochicago
2025年の会場風景。Photo: Instagram/expochicago

2012年に発足したエキスポ・シカゴは、地元の美術館やギャラリー、インスティテュートと国際的なアート市場を繋げる不可欠なプラットフォームとしての地位を確立している。2025年の開催では、シカゴ美術館が韓国美術専用ギャラリーを開設したことを記念し、韓国ギャラリー協会とパートナーシップを結び多くの韓国ギャラリーを紹介した。2023年のフリーズによる買収や、長年アーティスティック・ディレクターを務めたケイト・シュルツプトウスキーが2025年にディレクターに就任するという発表もあり、このフェアのさらなる進化に期待が寄せられている。

エキスポ・シカゴ
日程:4月9日(木)~12日(日)
会場:ネイビー・ピア・フェスティバル・ホール


11. ダラス・アートフェア(アメリカ)

2025年の会場風景。Photo: Instagram/dallasartfair
2025年の会場風景。Photo: Instagram/dallasartfair

テキサス州ダラスで開催されるこのフェアは、地元のギャラリーコミュニティ、活発なコレクター層、そして急成長する地域経済を背景に人気を集めている。例年90~100の出展者が集う本フェアには、2025年には日本からTEZUKAYAMA GALLERYとKOKI ARTSが出展し、現地のコレクターに日本のアーティストを紹介した。また、サテライトフェアとしてダラス・インビテーショナルというホテルフェアも開催されており、こちらは20軒以下のブティックスタイルで、多様なアートを同時に鑑賞できる。2025年からはマイアミで人気を博すアンタイトルド・アートフェアがヒューストンで初開催されるなど、テキサス州全体のアートマーケットの活況がうかがえる。

ダラス・アートフェア
日程:4月17日(金)~19日(日)(16日はプレビュー)
会場:ファッション・インダストリー・ギャラリー


12. アート・ドバイ(UAE)

2025年の会場風景。Photo: Instagram/artdubai
2025年の会場風景。Photo: Instagram/artdubai

2026年で開催20回を迎えるアート・ドバイは、中東地域で最も重要な国際的アートフェアのひとつだ。発表された2026年版では35か国以上から100以上のギャラリーが名を連ね、その半数以上がMENASA(メナサ)地域からの参加となっている。出展ギャラリーはメインセクションの「アート・ドバイ・ギャラリーズ」に加え、1950から1990年代の作品に焦点を当てた「ザマニヤット」、新進アーティストによる個展形式の「バッワーバ」、デジタルアートの「アート・ドバイ・デジタル」、大型インスタレーションを展示する「バッワーバ・エクステンデッド」、という5つのセクションに分けられ展示される。日本からはスペース・アンがセネガルのGalerie Atiss Dakarとジョイントブースで参加する。

アート・ドバイ
日程:4月17日(金)~19日(日)(15・16日はプレビュー)
会場:マディナ・ジュメイラ・カンファレンス&イベントセンター


13. フリーズ・ニューヨーク(アメリカ)

2025年の会場風景。Photo: Sean Zanni/Patrick McMullan via Getty Images

5月のニューヨークに数多く開催されるアートフェアの中でも、フリーズ・ニューヨークは特に高い人気を誇っている。2012年に立ち上げられた本フェアは、ハドソンヤードのアートセンター、ザ・シェッドを会場に例年70ギャラリーが著名なアーティストから新進作家まで幅広い作品を発表する。ガゴシアンペースデイヴィッド・ツヴィルナーハウザー&ワース等のメガギャラリーやブルーチップギャラリーに加え、どのような出展者が集まるのか、今年も注目が集まっている。

フリーズ・ニューヨーク
日程:5月13日(水)~17日(日)
会場:ザ・シェッド


14. インディペンデント・ニューヨーク(アメリカ)

2025年の会場風景。Photo: Instagram/independent_hq
2025年の会場風景。Photo: Instagram/independent_hq

ニューヨークのアートウィークの中でも特に高い人気を誇るインディペンデントは、出展ギャラリーが完全招待制であるため、まるで美術館のようにキュレーションされた上質なブースプレゼンテーションを鑑賞できるのが特徴だ。2026年からは会場をスプリングスタジオからローワーイーストサイドに位置するピア36に移し、更なる規模拡大とキュレーションの強化を目指している。もうじき発表される出展者リストに注目してほしい。

インディペンデント・ニューヨーク
日程:5月14日(木)~17日(日)
会場:ピア36


15. TEFAFニューヨーク(アメリカ)

2025年の会場風景。Photo: Instagram/tefaf
2025年の会場風景。Photo: Instagram/tefaf

3月開催のTEFAFマーストリヒトが270以上のギャラリーが集まる大規模フェアであるのに対し、TEFAFニューヨークは、80~90ギャラリーが参加する中規模なフェアであり、発表される作品もモダン・現代アートが中心となるのが特徴だ。個人のコレクターに加えて世界中の美術館関係者が多く来場することでも知られ、初日から美術史的価値の高い作品が次々と取引される場となっている。

TEFAFニューヨーク
日程: 5月15日(金)~19日(火)
会場: パーク・アベニュー・アーモリー


16. NADAニューヨーク(アメリカ)

2025年の会場風景。Photo: Instagram/newartdealers
2025年の会場風景。Photo: Instagram/newartdealers

マイアミとニューヨークで開催されるNADA(New Art Dealers Alliance)は、ユニークなプレゼンテーションをする中堅、新進ギャラリーに特化した人気のアートフェアだ。若手ギャラリーの登竜門的役割も担っており、コアなアートラバーや美術関係者から高い評価を得ている。5月のニューヨークアートウィークからは、フリーズ、インディペンデント、TEFAF、そしてこのNADAの4フェアをピックアップしたが、その他にも気鋭の現代アートギャラリーが集まるEsther Art Fairや、アフリカラテンアメリカカリブ海地域、アジア諸国のアーティストやそのディアスポラに焦点を当てたConductorなども是非ともチェックしてほしい。

NADAニューヨーク
日程:5月13日(水)~17日(日)
会場:スターレット=リーハイ・ビル


17. アート・バーゼル(スイス)

2025年の会場風景。Photo: Courtesy Art Basel.

アート・バーゼルは、名実ともにグローバルアートマーケットの最高峰に君臨するフェアである。42の国と地域から280軒以上のギャラリーが出展し、2025年版では250以上の美術館や財団の代表者がフェアに訪れ、合計8万8000人の来場を記録した。世界のアートシーンをリードする存在であるアート・バーゼルは、単なる販売の場を超え、綿密にキュレーションされた作品群による質の高い鑑賞体験を提供してくれる。全てのアートラバーは一度は必ず訪れるべきフェアと言える。

アート・バーゼル
日程:6月18日(木)~21日(日)
会場:メッセ・バーゼル


18. リスト・アートフェア・バーゼル(スイス)

2025年の会場風景。Photo: Instagram/ListeArtFairBasel

アート・バーゼルのサテライトフェアであるリスト・アート・フェアは2025年で30年を迎えた。若いギャラリーを中心に、実験的なサウンド・インスタレーションやコンセプチュアル・アート作品を紹介することを特徴とし、2025年版は32カ国から99軒のギャラリーが参加し、そのうち40組が初出展だった。US版Artnewsの記事では、ヴァンガード・ギャラリー(上海)、マックス・ゲーリッツ・ギャラリー(ミュンヘン)、サウス・パレード(ロンドン)、ウィルソン・サプラナ・ギャラリー(コペンハーゲン)、ハント・ギャラリー(トロント)がベストブースとして選出された。

リスト・アートフェア・バーゼル
日程:6月15日(月)~21日(日)
会場:メッセ・バーゼル

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