森に眠る山小屋が「ガウディ設計」と正式認定──長年見過ごされてきた理由とは
スペイン・カタルーニャ州は2月19日、20世紀初頭に建てられた山小屋「シャレ・デル・カトリャラス(Xalet del Catllaràs)」を、アントニ・ガウディ(1852-1926)の設計によるものと正式に認定した。没後100周年を迎える節目の年に、巨匠の作品リストに新たな1件が加わった。

スペイン・カタルーニャ州で20世紀初頭に建築された山小屋「シャレ・デル・カトリャラス(Xalet del Catllaràs)」が、アントニ・ガウディ設計であると正式に認定された。アートネットが伝えた。
シャレ・デル・カトリャラスは、ガウディの終生のパトロンであったエウセビ・グエルが経営するアスランド・セメント会社のもと、1901年から1908年にかけて建設された。ピラミッド型の独特な外観がひときわ目を引くこの建物は、カトリャラス鉱山開発に携わる技師たちの宿舎として使われていたが、1932年にラ・ポブラ・デ・リリェット市へ寄贈されたのち、1970年代にはサマーキャンプ施設へと転用。その後廃墟となり、現在は修復工事の準備が進められている。

ガウディ作である具体的証拠
設計者がガウディであるという説は古くから存在し、1946年の雑誌記事で初めて関連が指摘された。2月19日に発表されたカタルーニャ州文化遺産局の報告書では、その帰属を裏づける具体的証拠が提示されている。
例えば、独特な形状のアーチ構造や、部屋を中心部から45度の角度で斜めに配置する構成は、ガウディ作品の特徴と一致する。また、アーチ内部に施された石灰仕上げは、グエル公園の入口パビリオンやトーレ・ベレスグアルドのヴォールト(アーチ状の天井)と同様の処理であることが確認された。報告書は、今回の認定が設計初期段階に限られる可能性にも言及しており、施工過程では当初案からの変更があったとみられている。
さらに、シャレ・デル・カトリャラスをグエルが依頼したという事実も、帰属を補強する要素となった。実業家グエルとガウディは1878年以降、緊密な協働関係を築き、1885年完成のバルセロナのグエル邸を皮切りに、グエル公園やコロニア・グエル教会など数多くの建築を手がけている。
なぜガウディは山小屋から距離を置いたのか
しかしこの山小屋は、ガウディ作と明示されておらず、これまで埋もれた存在だった。その背景には、当時ガウディがグエル公園やカサ・バトリョ、カサ・ミラといった大型案件を同時進行していた事情があるとみられる。報告書では、彼の不在中に同邸が「彼の承認なしに、あるいは彼の提案に反して」変更された可能性が指摘されており、それがガウディ自身がこの山小屋と距離を置いた一因になったとも考えられている。
今回の認定は、ガウディ没後100周年という節目の年にもたらされた。彼が決定的な足跡を残したバルセロナでは、カサ・ビセンスやトーレ・ベレスグアルドで各種イベントが開催されるなど、市を挙げた記念行事が予定されている。さらに、カサ・バトリョでは2階に新たなギャラリーがオープンした。
一方、サグラダ・ファミリアでは、2月20日に教会を象徴するイエス・キリスト塔の上部に高さ17メートルの十字架が設置され、塔は172メートル50センチに達した。工事は2030年代まで続く見込みだが、彼の命日にあたる6月10日には、一区切りの完成を祝して式典が行われる予定だ。



