マルタン・マルジェラ、200点超の私蔵アーカイブを競売へ──ブランド誕生前夜の構想資料も

ブランド構想資料や実母へ贈った自身の作品など、マルタン・マルジェラ自身が保管してきたパーソナルアーカイブ200点超が、パリで開催されるオークションに出品される。

マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ。Photo: ©Marc Chatelard

近年は東京・京都での個展や前橋国際芸術祭への参加など、活発な展示活動で注目を集めるマルタン・マルジェラ自身のパーソナルアーカイブがオークションに出品される。パリのオークションハウス、Maurice AuctionとKerry Taylor Auctionsがタッグを組み、存命のデザイナーのアーカイブを出品するこのオークションは、ファッション史上初の試み。

マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ。最初の「ドシエ」 ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard

出品されるのは、1984年から2008年までに制作された写真、ドローイング、オブジェなど200点以上。1984年にアントワープで制作した初期デザイン資料から、2008年に自身のブランドを離れるまでの創作の軌跡をたどる内容となる。マルジェラは「長年保管し、展覧会にも貸し出してきたアーカイブを、多くのコレクターや機関へ託したいと思った」とコメントしている。

今回のオークションで注目されるのは、マルジェラの思考そのものを物質化した資料群が含まれている点だ。1987年に制作された最初の「ドシエ」は、まだ存在しない架空のメゾンを説明するために作られた資料であり、後のブランドの美学を予見するドローイングやコラージュが収められている。マルジェラは当時、オリジナルよりもコピーのほうが魅力的だと感じていたと語っており、このエピソードは、後年の複製や再構築という手法にもつながっている。

マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブ ©Marc Chatelard

また、1988年からメゾンのスタッフが着用した白いコットンの作業着や、顔を覆うヴェールの試作品、白く塗装された私物の電話機なども出品される。これらはいずれも、匿名性や白という色への執着など、マルジェラの思想を象徴するアイテムだ。

さらに、ブランドのアイコンとして知られる足袋ブーツの特別な一足も登場する。1991年にパリのガリエラ美術館で開催された展覧会において、来場者が自由に書き込みを行った結果誕生した「グラフィティ足袋」で、予想落札価格は3万〜5万ユーロ(約560万〜930万円)と、今回の目玉ロットのひとつとなっている。

マルタン・マルジェラのエルメスのアイテム ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのエルメスのアイテム ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのエルメスのアイテム ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのエルメスのアイテム ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのエルメスのアイテム ©Marc Chatelard
マルタン・マルジェラのエルメスのアイテム ©Marc Chatelard

一方で、本オークションはマルジェラの創作だけでなく、その私的な側面にも光を当てる。出品物には、1997年から2003年にかけてエルメスのウィメンズ・アーティスティックディレクターを務めた時代に、母レア・ブシェへ贈った衣服やバッグ、時計など約60点も含まれる。ヴァルーズシャツやクロシェット・ネックレス、ダブルトゥール仕様の「ケープコッド」ウォッチなど、現在も高く評価される名作だ。マルジェラは、今回の出品に至った理由を「母のワードローブを完璧な状態で保つことが難しくなった」と説明している。

会場では、長年の友人であるボブ・ヴェルヘルストがキュレーションを担当。「アンラッピング(開封)」をテーマにした展示形式が採用され、多くの未公開資料が公開される。来場者はアーカイブを博物館的な展示物としてではなく、まるで箱を開けるような感覚で鑑賞することになるという。

オークションは2026年7月9日にパリで開催。一般公開展示は7月4日から8日まで。マルジェラが長年守り続けてきた「沈黙の向こう側」にある創作の痕跡を目撃できる、極めて貴重な機会だ。出品作品は、6月中旬よりオンライン公開される予定。

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