夏休みに見たいアートイベントTOP10:トニー・アウスラーの大回顧展から明治の洋館、氷河期、ピングー展まで

夏休みやお盆休暇に出かけたい展覧会を、青森から福岡まで全国から厳選。トニー・アウスラーの大回顧展をはじめ、涼を感じる南極や氷河期の世界、ピングーやノンタンの体験型展示まで、大人も子どもも楽しめる注目の10展を紹介する。

トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~(TOKYO NODE)より、《スペキュラー》 2021年 本展のための展示スケッチ

1. 風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼(弘前れんが倉庫美術館)

風間サチコ《噫!怒涛の閉塞艦》2012年 東京都現代美術館蔵 Photo by Kei Miyajima
風間サチコ《ありがとう、我が愛する白鳥よ!》2026年 作家蔵 ©︎Sachiko Kazama Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production  Photo by Kei Miyajima
風間サチコ《白鳥の聲が聞こえる》2026年 作家蔵 ©︎Sachiko Kazama Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production  Photo by Kei Miyajima

四畳半から見つめる社会の風景

黒一色の木版画で現代社会を鋭く描き続ける風間サチコの、東北初となる個展。国家や資本主義、科学技術をモチーフに、文学や神話、歴史、個人的な記憶を重ね合わせながら、近代化の矛盾や社会の構造を問い続けてきた風間の約30年にわたる活動を紹介する。展覧会タイトルは、鴨長明の『方丈記』に着想を得たもの。作家が「方丈ルーム」と呼ぶ自宅の四畳半の居間を起点に、過去・現在・未来へと思考を巡らせる制作のあり方が示される。

吹き抜けの空間には、《噫!怒涛の閉塞艦》(2012)や《ディスリンピック2680》(2018)、《第一次幻惑大戦》(2017)など近年を代表する大型木版画を展示。核と原子力の歴史やオリンピック、現代社会の規範を寓話的なイメージで描いた作品を通して、社会と個人の関係を問いかける。あわせて、1990年代の初期作から、弘前で出会った一冊の本がきっかけとなって生まれた、「白鳥」を題材にした新作の油彩シリーズなど約60点も並ぶ。

風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼
会期:6月5日(金)〜11月15日(日)
場所:弘前れんが倉庫美術館(青森県弘前市吉野町2-1)
時間:9:00〜17:00(入場は30分前まで)
休館日:火曜(祝日および8月4日を除く。祝日の場合は翌日)


2. ケニー・シャーフ&キース・ヘリング:K!K!(中村キース・ヘリング美術館)

All Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation
All Kenny Scharf Artwork ©Kenny Scharf
All Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation
All Kenny Scharf Artwork ©Kenny Scharf
All Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation
All Kenny Scharf Artwork ©Kenny Scharf

盟友の創作と交流をたどる、ヘリング没後初の2人展

1980年代のニューヨーク・アートシーンを象徴するアーティスト、ケニー・シャーフキース・ヘリング(1958-1990)。1978年に美術学校で出会った2人は、公私にわたる交流を重ねながら、それぞれ独自の表現を切り開いた。本展は、ヘリング没後初となる2人展として、これまで十分に紹介されてこなかった共同プロジェクトや相互の影響関係に焦点を当てる。展示構成にはシャーフ自身も参加し、2人の創作の軌跡を新たな視点から読み解く。

中村キース・ヘリング美術館のコレクションを軸に、絵画やドローイングに加え、写真やオリジナルグッズなどのアーカイブ資料も展示。シャーフによる最新作や代表的なインスタレーション《Cosmic Cavern》も紹介される。また、ブラジルに残るヘリングの壁画をシャーフが修復したプロジェクトを追ったドキュメンタリー『Restless – Keith Haring in Brazil』も日本初上映。2人の友情と創作がどのように響き合っていたのかを振り返る。

ケニー・シャーフ&キース・ヘリング:K!K!
会期:6月6日(土)〜2027年5月16日(日)
場所:中村キース・ヘリング美術館(山梨県北杜市小淵沢町10249-7)
時間:9:00〜17:00(入場は30分前まで)
休館日:水曜(祝日を除く)


3. 岡﨑乾二郎「端しき、ことの葉」(直島新美術館)

岡﨑乾⼆郎「端しき、ことの葉」2026 年 展⽰⾵景 撮影:来⽥猛
岡﨑乾⼆郎「端しき、ことの葉」2026 年 展⽰⾵景 撮影:来⽥猛
岡﨑乾⼆郎「端しき、ことの葉」2026 年 展⽰⾵景 撮影:来⽥猛

直島との30年を回顧する、言葉と絵画の対話

1990年代から継続して香川県・直島で作品を発表してきた岡﨑乾二郎の個展。絵画や彫刻、建築、批評など領域を横断しながら活動を続ける岡﨑は、造形と言葉、知覚と思考の関係を一貫して探究してきた。本展では、ベネッセアートサイト直島の所蔵作品を軸に、近年の新作を加えた構成で、作家と直島が育んできた30年以上にわたる関係を振り返る。

展覧会では、「岡﨑乾二郎と直島」という時間軸のもと、「言葉と絵画の関係」や「回帰」をキーワードとして、制作時期の異なる作品を横断的に紹介する。長年にわたり同じ土地で作品を発表してきた作家だからこそ生まれる時間の積層や、作品同士が響き合う展示構成も見どころのひとつだ。最新作を含む作品群を通して、岡﨑が近年問い続けてきた造形と思考の軌跡を追う。

岡﨑乾二郎「端しき、ことの葉」
会期:6月7日(日)〜未定
場所:直島新美術館(香川県香川郡直島町3299-73)
時間:10:00〜16:30(入場は30分前まで)
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合は翌日休館)


4. 江戸東京博物館リニューアル記念特別展「洋館 明治の夢と挑戦」(江戸東京博物館)

「国会議事堂案 外観透視図」 エンデ&ベックマン/作 1887-8年(明治20-21)頃 ベルリン工科大学建築博物館蔵 
第一国立銀行 シャンデリア 江戸東京たてもの園蔵(現・三井八郎右衞門邸)
鹿鳴館のパノラマ。
「新橋ステンシヨン」 ⼩林清親/画 1881年(明治14) 東京都江戸東京博物館蔵【前期:6月23日-7月26日】

「明治の洋館」をめぐる人々の挑戦

江戸から明治への転換は、長きにわたり閉ざされていた西洋文化の入口が開き、洋風建築の流入が一気にはじまることを意味した。本展では、日本の人びとが建築に夢を抱いた「明治の洋館」の世界を、国宝・重要文化財や日本初公開資料を含む多種多様な資料と立体的なパノラマ展示で描きだす。

急速に展開・普及した明治期の東京の洋風建築について、その受容から本格的西洋建築の成立までの様子を取り上げる。大工棟梁による「擬洋風建築」や外国人建築家らが手がけた本格的西洋建築、工部大学校(現在の東京大学)卒業生等の挑戦、そして皇族や上流階級のための大邸宅にいたるまで、日本の建築史上稀にみるこの大変革の時代の多彩な成果を紹介する。

江戸東京博物館リニューアル記念特別展「洋館 明治の夢と挑戦」
会期:6月23日(火)〜8月23日(日)
場所:江戸東京博物館(東京都墨田区横網1-4-1)
時間:9:30〜17:30(土曜は19:30まで、8月7日・14日・21日は21:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(7月20日、8月10日を除く)、7月21日


5. 南極観測70周年記念 特別展「大南極展」(日本科学未来館)

南極の氷の採取 ©国立極地研究所
南極で採取された鉄隕石 ©国立極地研究所
本物の南極の氷にさわれる体験エリア  ©山本倫子

極限の大地・南極の最前線に迫る

日本の南極観測70周年を記念し、未知の極限の大地・南極における観測活動と、その最前線の挑戦に迫る。南極は人間活動の影響が少なく、地球環境の変化を直接的に捉えることができる場所であり、氷床・大気・海洋・生物の相互作用を観測するうえで欠かせない重要なフィールドだ。日本は1957年から観測を継続しており、その長期データは気候変動の解明や将来予測に大きく貢献してきた。南極を知ることは、地球の過去をひもとき、未来を見通すことに繋がる。

会場では、臨場感あふれる南極の大型映像を上映するほか、強風下で活動する観測隊の環境を再現したブリザード体験も用意される。目玉のひとつは、南極の氷床を深さ2499メートルまで掘削して採取した、約34万年前の空気を含むアイスコアの実物展示。掘削に使われたドリルもあわせて紹介される。また、日本の南極観測隊が1969年以降に採取してきた隕石のうち、実物サンプル30点を実際に手に取ることができる。

南極観測70周年記念 特別展「大南極展」
会期:7月1日(水)〜9月27日(日)
場所:日本科学未来館 1階 企画展示ゾーン(東京都江東区青海2-3-6)
時間:10:00〜17:00(入場は30分前まで)
休館日:9月1日、8日、15日


6. トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~(TOKYO NODE)

《ロック 2、4、6》 2010年 展示風景:「Tony Oursler: Black Box」高雄市立美術館(台湾)2021年
Courtesy:Tony Oursler Studio
《我が土星の恋人(たち)》
2016-2017年
展示風景:「Transmission」SCAI PIRAMIDE(東京)、2024年
Courtesy: The artist and SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo. Photo: Nobutada Omote.
《スペキュラー》
2021年
本展のための展示スケッチ
《キメラ》
2026年
本展のためのスケッチ

「ビデオによる空気の彫刻家」、日本初の大規模個展

映像を立体物へ投影する独自の表現によって、メディアアートの新たな可能性を切り開いてきたアメリカのアーティスト、トニー・アウスラーの日本初となる大規模個展。映像や彫刻、光、音、言葉を組み合わせた没入型インスタレーションで知られ、「ビデオによる空気の彫刻家」とも称されるアウスラーは、テクノロジーと人間の知覚やコミュニケーションの関係を長年にわたり探究してきた。本展では、初期の代表作から最新作までを通して、その約40年に及ぶ活動をたどる。

本展で展示される約50点のうち、半数近くが日本初公開となる。高さ約15メートルの展示空間を生かした大型新作《キメラ》や、デヴィッド・ボウイ、グレン・ブランカとの共同制作をもとに完成した《空(くう)》は世界初公開。このほか、《スペキュラー》や《計り知れないもの》など代表作に加え、科学や魔術、未確認現象などに関する約3000点に及ぶ収集資料の一部も紹介される。さらに会期中は、閉館後の展示空間を「学芸員」として巡る没入型イベントや、最新作《キメラ》をテーマにした子ども向けワークショップ&パレードなどの関連プログラムも実施される。

トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~
会期:7月3日(金)〜9月27日(日)
場所:TOKYO NODE GALLERY A/B/C(東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45F)
時間:10:00〜19:00(金土は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:なし


7. 可愛いだけじゃない!?ピングー展(YURAKUCHO MUSEUM)

©可愛いだけじゃない!?ピングー展 ©2026 JOKER.
©可愛いだけじゃない!?ピングー展 ©2026 JOKER.
©可愛いだけじゃない!?ピングー展 ©2026 JOKER.

クレイモデルも登場。ピングーの魅力を満喫

『ピングー』は、スイスの映像作家オットマー・グットマンが生み出したストップモーション・アニメ。1980年に原型となるテストフィルムが制作され、2025年に誕生45周年を迎えた。1990年にテレビシリーズの放送が始まって以降、世界155以上の国と地域で親しまれ、ピングーと仲間たちが繰り広げる心温まるユーモラスな物語は、世代を超えて愛され続けている。

本展は、そのキャラクター紹介や作品の歴史を紐解くほか、アニメーション制作で実際に使用された貴重なクレイモデルや制作資料を展示する。そのほか、「可愛いだけじゃない!?」というテーマのもと、ピングーの豊かな表情やユニークなポーズ、不思議と気持ちが伝わる「ピングー語」に注目した体験型展示が展開される。最後のエリアでは巨大なピングーバルーンが来場者を出迎え、ミニチュア写真家・見立て作家の田中達也とのコラボレーション作品や、来場者みんなで踊る「ピングーダンス」ゾーンなども用意されている。

可愛いだけじゃない!?ピングー展
会期:7月10日(金)〜9月6日(日)
場所:YURAKUCHO MUSEUM(東京都千代田区丸の内3丁目5番1号 東京国際フォーラムB1F)
時間:10:00〜18:00(土日祝・8月10日~14日は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:なし


8. 特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」(国立科学博物館)

展示風景。
展示風景。
展示風景。

生き物の多様な「生き残り術」

地球の環境は、誕生から現代に至るまで目まぐるしく変化している。生き物たちは、この多様な環境に適応し次世代を育み、長い生命進化の歴史を築いてきた。

本展では、NHKの自然番組『ダーウィンが来た!』との共同企画により開催される。国立科学博物館が所蔵する標本・資料、さらにはNHKが撮影してきた多くの映像を駆使し、生き物の適応進化や生存戦略、それに伴って獲得された形状や機能を幅広く紹介する。展示は、昔は大きかったが今は小さい生き物などを取り上げる「いきものの挑戦『サイズ』適応術」、多種多様な生き物の移動の手段を紹介する「いきもので違う『移動』のかたち」など6章で構成される。

特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」
会期:7月11日(土)〜10月12日(月祝)
場所:国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20)
時間:9:00〜17:00(8月9日~8月15日は18:00まで、入場は30分前まで)
休館日:9月7日、14日、24日、28日


9. 特別展「氷河期展~人類が見た4万年前の世界~」(九州国立博物館)

ケナガマンモス全身骨格(成体)、レプリカ
ライス・エンゲルホルン博物館所蔵
🄫rem, Foto: Sarah-Nelly Friedland
ステップバイソン生体復元模型
ライス・エンゲルホルン博物館所蔵
🄫Marc Steinmetz
クロマニョン人(1号)復元模型
🄫2025 Sculpture ELISABETH DAYNÈS, France
ネアンデルタール人復元模型
🄫2019 Sculpture ELISABETH DAYNÈS, France

氷河期に滅び、育まれた命を見つめる

氷河期とは厚い氷の塊「氷床」が存在する時代を指し、寒冷な「氷期」と比較的温暖な「間氷期」が繰り返されてきた。実は北極や南極などに氷床が残る現在も氷河期にあたり、私たちは約260万年前に始まった「第4紀氷河期」の間氷期を生きている。本展は約4万年前から2万年前の世界に光をあて、全105件・約220点の資料で極寒の環境で絶滅と生存の命運を分けたものは何かを探る。

第1章「氷河期 ヨーロッパの動物」では、全身骨格などを通してマンモスをはじめとする巨大動物群「メガファウナ」を紹介。全長約2.4メートルのホラアナライオン生体復元模型とともに、人類に槍で刺された傷が残る肋骨などを展示する。第2章「ネアンデルタール人とクロマニョン人」では、パリ国立自然史博物館所蔵の実物頭骨(ラ・フェラシー1号とクロマニョン2号)が日本初上陸。2種類の人類の暮らしや道具の違いを比較する。第3章「氷河期の日本列島」では、ナウマンゾウ、ヤベオオツノジカ、ハナイズミモリウシの日本三大絶滅動物や、日本における人類の生活を石器類とともに読み解く。

特別展「氷河期展~人類が見た4万年前の世界~」
会期:7月18日(土)〜9月27日(日)
場所:九州国立博物館 3階特別展示室(福岡県太宰府市石坂4-7-2)
時間:9:30~17:00(土曜は19:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(7月20日、8月10日、9月21日を除く)7月21日


10. 誕生50周年記念 ノンタン ずっとともだち!!!展(PLAY! MUSEUM)

『ノンタン おやすみなさい』原画(1976年、偕成社)©︎ SACHIKO KIYONO / MIKA KIYONO / KAISEI-SHA
全⻑約2.5メートルの「巨大ノンタン」イメージ
ぶらんこイメージ(『ノンタン ぶらんこ のせて』1976年、偕成社より)©︎ SACHIKO KIYONO / MIKA KIYONO / KAISEI-SHA

世代を超えて愛されるノンタンの世界へ

1976年の刊行以来、シリーズ累計発行部数3500万部を超える絵本『ノンタン』シリーズ。その誕生50周年を記念した体験型展覧会が開催される。「ノンタンの夢の中」「ノンタンをお祝いする」「ノンタンと遊ぶ」の3章で構成された会場では、キヨノサチコが生み出した絵本の世界観を立体的に再現し、子どもから大人まで楽しめる展示が展開される。

展示室の入口では全長約2.5メートルの巨大ノンタンが来場者を迎え、バースデーパーティーをイメージした空間には高さ約150センチのケーキや、ダンボールアーティスト・儀間朝龍やレゴ認定プロビルダー・三井淳平による作品が並ぶ。絵本『ノンタンのおうち』の世界を体験できる展示や「ノンタンたいそう」など、身体を動かして楽しめる仕掛けも。約50点の原画に加え、初期作『あかんべノンタン』の原型となった『あかんべきつね』の原画も公開され、半世紀にわたり愛され続けるシリーズの魅力を紹介する。

誕生50周年記念 ノンタン ずっとともだち!!!展
会期:7月18日(土)〜9月27日(日)
場所:PLAY! MUSEUM(東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3棟)
時間:10:00〜18:00(入場は30分前まで)
休館日:なし

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