113カ国から65万人が来場したフェルメール展が閉幕。オランダで「史上最も成功した展覧会」に
過去最大規模の回顧展として、世界中で大きな話題となったアムステルダム国立美術館のフェルメール展が、6月4日終了した。16週にわたる会期中、113カ国から65万人が来場し、「史上最も成功した展覧会」となった。
現存するフェルメールの作品37点中、同展で展示されたのは28点。その中には、《真珠の耳飾りの少女》や《レースを編む女》などの名画も含まれていたほか、ニューヨークのフリック・コレクションや、ワシントン・ナショナル・ギャラリーに所蔵される、オランダ初公開となる7作品も。
アムステルダム国立美術館は、展覧会の人気を見越して開館時間を延長したが、「最高の鑑賞体験」を保証するため、入場者数の制限も設けた。これについて同館総監督のタコ・ディビッツはプレスリリースで、「フェルメールの作品が持つ安らぎと親密さを来館者に楽しんでもらいたかった。それには、来場者数を制限するしかなかった」と語っていた。
同展は開催前から世界中の人々の関心を集め、20ユーロ(約3000円)の一般チケットは2月の開幕から数日で完売。チケットにはプレミアが付き、eBayで2724ドル(約38万円)という高値で取引されていた。
会期中は、フランスのマクロン大統領の公式訪問をはじめ、映画監督のスティーブン・スピルバーグ、俳優のジリアン・アンダーソン、ジェイミー・リー・カーティス、アメリカでベストセラーとなった小説『パチンコ - Pachinko』の著者、ミン・ジン・リーといった著名人も多数訪れた。
人々がアムステルダム国立美術館のウェブサイトを熱心にチェックしたことで、また別の記録も生まれた。
美術館によると、俳優のスティーヴン・フライがナレーションを担当した展示作品を紹介する音声案内に、約80万人がアクセスしたという。また、フェルメールのカタログは「アムステルダム国立美術館史上最多の販売部数」となる10万部以上が販売された。カタログのデザインは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に作品数点が所蔵されている、オランダのグラフィックデザイナー、イルマ・ブルームが担当した。
同館では、フェルメールの関連書籍として、共同キュレーターであり、同館の美術部長グレゴール・J・M・ウェーバーによる『Johannes Vermeer: Faith, Light and Reflection(信仰、光、そして反射)』と、児童書『miffy × vermeer』を出版した。(翻訳:編集部)
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