パリの有名博物館から1億円相当の金標本が盗まれる。館長は「極めて専門的なチームによる犯行」と証言

9月16日にフランスパリの自然史博物館に窃盗団が侵入し、60万ユーロ(約1億435万円)相当の自然金標本を盗んだと発表された。犯人はまだ見つかっていない。

フランス・パリにある自然史博物館の内部。Photo: Wikimedia Commons

9月16日の早朝に、フランスパリ5区にある自然史博物館に窃盗団が侵入したとFrance24が報じた。

自然史博物館は17世紀にルイ13世が王立の薬用植物園の研究機関として発足し、フランス革命時の1793年に一般に博物館として公開されるようになった。長い歴史の中で収蔵された膨大な数の剥製や恐竜の骨格標本、地質学・鉱物学の資料が展示されている。

窃盗団はアングルグラインダーとバーナーを使って博物館に侵入し、地質学・鉱物学ギャラリーから精製されていない金(自然金)の標本数点を盗み出した。その中には、同館の宝物と呼ばれている、9×8.5センチの自然金と石英の標本があった。ウェブサイトによると、これはカリフォルニアのドナティア鉱山が原産で、フランスの裕福な収集家が博物館に寄贈したものだという。

今回の被害について、博物館の広報担当はAFP通信社に次のように話した。

「盗まれた標本は金の原価で60万ユーロ(約1億435万円)と評価されています。ですが、なお計り知れない文化遺産としての価値も持っているのです」

また窃盗団について、博物館のエマニュエル・スクリオス館長はBFMテレビの取材に、「私たちが相手にしているのは極めて専門的なチームです。彼らは専門的な機器を持ち、どこに行く必要があるかを完全に把握していました」と明かした。

博物館は今年の7月にサイバー攻撃によって館内の警報システムと監視システムが無効化される事件が起こっており、それが現在復旧されているかどうかは分かっていない。

同館は16日に地質学・鉱物学ギャラリーを閉鎖して被害状況の調査を行った。犯人はまだ見つかっていない。

フランスでの博物館の襲撃は今月に入って2度目となる。9月4日に中部リモージュのアドリアン・デュブーシュ国立博物館に強盗が入り、650万ユーロ(約11億円)相当の国宝の中国磁器の皿2枚と花瓶1個が盗まれている。(翻訳:編集部)

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