金属探知機愛好家が畑で見つけた金の指輪が博物館収蔵へ──アングロ・サクソン期の異教信仰を伝える宝物

2023年にイングランド南東部エセックス州の農地で、金属探知機愛好家が精巧な金の指輪を発見した。6〜7世紀のアングロ・サクソン期の遺物とみられ、このほど地元の博物館が取得。当時の信仰を伝える資料として5月に公開が予定されている。

金属探知機愛好家によって発見された金の指輪。Photo: Instagram/efdmuseum

2023年3月、イギリス南東部エセックス州マッチング近郊の農地で、金属探知機愛好家のディーン・ヤングが精巧な金の指輪を発見した。

BBCによると、金属探知機が反応した際、ヤングは当初アルミ箔ではないかと思ったという。しかし拾い上げた瞬間、その考えは一変した。「重さで金だと分かりました。友人は私の表情を見て、すごいものを見つけたと気づいたようでした」と振り返っている。

指輪は欠けがなく、ガーネットと水晶を用いたクロワゾネ(仕切り線で区切った金属細工に宝石をはめ込む装飾技法)による鳥の意匠が施されていた。ヤングはこの発見を、エセックス州の出土品連絡担当官ロリ・ロジャーソンに報告した。

調査の結果、この指輪は550年から640年頃のアングロ・サクソン期にあたるものと判明。平らに打ち延ばした金板から作られており、鳥のモチーフは、知恵や戦争、死、魔術と結びつくアングロ・サクソンの神ウォーデンを象徴しているとみられる。この種の指輪は、当時の高位の人物が身に着け、莫大な富や社会的地位を示すとともに、魔除けの護符として用いられた可能性が高い。ロジャーソンはこの指輪について、「サットン・フーの船葬墓から出土した数々のアングロ・サクソン期の遺物に匹敵する」と評した。

金属探知機愛好家によって発見された金の指輪の裏側。Photo: Instagram/efdmuseum

その後、指輪はコロナー(検死官)によって「トレジャー」に指定され、エセックス州ウォルサム・アビーのエッピング・フォレスト地区博物館に収蔵されることが決まった。5月からは同館のコア・ギャラリーで一般公開される予定だ。

同館マネージャーのイアン・チャネルは、当時の指輪の持ち主について「社会的上流階級、おそらくは戦士かアングロ・サクソン王族の一員だった」と推測する。

アングロ・サクソン人が築いたエセックス王国はもともと異教信仰を持っていたが、6世紀末から7世紀にかけて、隣接するケント王国の影響によりキリスト教が広まり始めた。チャネルは「エセックスでは異教とキリスト教のあいだで何度も揺り戻しが起きた時期があり、この指輪はまさに当時の土着の異教信仰を伝えるものです」と説明する。

さらにチャネルは、今回の発見について次のように語っている。

「このような発見は滅多にありません。展示されれば大きな見どころとなるでしょう。地域でこうした宝を公開することで、コミュニティが文化遺産に触れ、郷土への愛着とアイデンティティを育む機会を提供できます。公開が待ち遠しいです」

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