金属探知機愛好家、畑で「バイキングの落とし物」を発見。金貨は「持ち運び可能な富」?
- TEXT BY ARTNEWS JAPAN
イギリス東部の畑で見つかった金貨が、9世紀のバイキング侵攻時に兵士が落としたと見られる希少なものであることが分かった。ペンダントとして用いられていたこの金貨は、2024年9月に金属探知機愛好家によって発見、報告された。

イギリス・ノーフォーク州エルシング近郊の畑から見つかった金貨が、865年にイングランドへ侵攻したバイキングの遺物である可能性が示された。1000年以上前にさかのぼる、フランク王国のルイ敬虔王(814-840)時代のソリドゥス金貨を模した希少なものとされる。
『アングロ・サクソン年代記』に「大異教軍」と記されているバイキングの大規模な侵攻で支配下に置かれたこの地域は、デーンロウの名で知られる。金貨が見つかったエルシングは、バイキングの大軍が進軍を始めた場所の1つだった。
大英博物館とウェールズ国立博物館が運営するPortable Antiquities Scheme(ポータブル・アンティクィティーズ・スキーム)によると、2024年に金貨を発見したのは金属探知機愛好家だという。貨幣学の専門家サイモン・クープランドはBBCの取材に対し、ペンダントとして首から下げられるようになっていた金貨は、おそらく「大異教軍」の兵士の持ち物だったろうと述べている。
注目されるのは、この金貨が、バイキング侵攻の約50年前にフランク王国カロリング朝のルイ敬虔王(カール大帝の息子)が鋳造した初期のソリドゥス金貨を模したコインだったことだ。
ソリドゥス金貨はもともと、カロリング朝の高位貴族に贈られたとされる。しかし、後代の複製(おそらく現在のオランダ北部からドイツ西端にまたがるフリースラント地方で作られたもの)は、スカンジナビア半島全域で「持ち運び可能な富」として所有されていたとクープランドは説明。おそらくバイキングの1人がお守りとして身につけていたものだろうとして、「ノーフォークで発見されたこの金貨は、数ある同種の発見の中でも特に優れたものだ」と述べている。
金貨の片面には王の横顔があり、その上部に穴が2つある。これはペンダントとして身に着ける際に、王の側が表になるよう意図されていたことを示唆している。反対側にはキリスト教のシンボルである十字架があるが、異教徒であるバイキングはそれを好まなかったと考えられる。
この遺物は現在、博物館に譲渡または売却すべき宝物に該当するかを判断する鑑定調査を受けており、ノーフォークのノリッジ城博物館が取得の意向を示している。
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