趣味のお宝探しで金のペンダントを大発見! 英国王ヘンリー8世と王妃ゆかりの品と判明
新品の金属探知機を手に、趣味のお宝探しに出かけたイギリスの男性が、人生を一変させるような幸運を掘り当てた。
2月3日付のニューヨーク・タイムズ紙が報じたこの大発見の主人公は、イギリス・バーミンガム在住のチャーリー・クラーク。2019年のある日、彼が半年前に購入したばかりの金属探知機を持ってウォリックシャー州にある友人の土地を探査していたところ、探知機が「異常に大きな」音を発し始めた。地中30cmほどのところから掘り出されたされたのは、ハート型の金のペンダント。16世紀初頭から半ばまで在位したイングランド王、ヘンリー8世とその最初の妃であるキャサリン・オブ・アラゴンゆかりのシンボルで飾られていた。
こうして発見されたペンダントは、その後、大英博物館に移送されて鑑定が行われていたが、今年2月3日にその結果が発表され、実際にヘンリー8世に関連する500年前の宝物であることが明らかになった。
金のペンダントの片面には、キャサリン・オブ・アラゴンの紋章であるザクロの木があしらわれ、1400年代後半からチューダー家がシンボルとしていた白と赤のバラが、ザクロの木と絡むように刻まれている。もう一方の面には、リボンで結ばれたHとKの装飾文字がある。
発見者のクラークは、見た瞬間は模造品だと思ったが、その重さに「これは特別なものだ」と確信したとニューヨーク・タイムズ紙に語っている。そして、彼の考えは正しかった。
2019年当時、ペンダントを掘り出したクラークがバーミンガムの専門家に見せに行ったところ、その専門家は「手に持ったまま震え出し、あごが外れそうなくらい驚愕していた」そうだ。大英博物館ルネサンス期ヨーロッパ部門のキュレーター、レイチェル・キングは、同博物館の研究者はこのペンダントが本物であることをにわかには信じられなかった、とニューヨーク・タイムズ紙の取材に答えている。
鑑定結果は出たものの、このペンダントが作られた経緯や、なぜウォリックシャーの土地に埋まっていたのかは、まだ専門家の間でも解明されていない。大英博物館のキングによると、同じようなものを身につけている当時の肖像画はなく、馬上槍試合の賞品として「急いで作られたもの」と推測されているという。
このペンダントがとりわけ希少価値が高いのは、キャサリン・オブ・アラゴンゆかりの品がほとんど現存しないからだ。
ペンダントが売りに出された場合、売上金はイギリスの法律に従って、クラークと発見された土地を所有する友人との間で均等に分配されることになる。クラークは、これによって自分と4歳の息子の人生は激変するかもしれないと話す。
英ガーディアン紙によると、イギリスでは趣味として金属探知の人気が高まっている。クラークのような一攫千金を夢見て、新しいトレジャー・ハンターが今後ますます増えるだろう。宝探しの初心者には、ウォリックシャー州がうってつけの場所と言える。この10年間に、ウォリックシャー州では9千499件の発見があり、そのうち156点が宝物として登録されたとガーディアン紙は報じている。
「テレビや新聞でなにか報道されるたびに(会員が)増える」と、金属探知愛好家団体、National Council for Metal Detecting(NCMD)のアラン・タンブリンはいう。NCMDはイギリス政府から正式に認められ、法制化に際してはこの趣味を代表することになる団体だ。
タンブリンは、宝探しを趣味にする場合は法律の知識が重要で、探査を行うには土地の所有者から許可を得なければならないことを強調している。(翻訳:清水玲奈)
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