ロシア・オリガルヒの豪華ヨットから総額7億円超の美術品を押収。シャガール作品も
11月7日、経済制裁の対象となっているロシアのオリガルヒ(新興財閥)、アリシェル・ウスマノフ所有の絵画30点がドイツの警察当局によって押収されたと南ドイツ新聞が報じた。
ロシアのウクライナ軍事侵攻を受け、プーチン大統領をはじめ、ロシア連邦政府と関係があるアリシェル・ウスマノフは、3月初めにEUから資産凍結と渡航禁止の制裁措置を受けた。
ウスマノフの美術品コレクションにはマルク・シャガールなど有名な芸術家の作品が含まれ、総額は500万ユーロ(約7億3000万円)と推定される。これらの美術品は、ウスマノフが所有するスーパーヨット、ディルバーに飾られていた。2021年、600万ドル(約8億7000万円)とも言われるこのヨットをドイツ・ハンブルグで改修するにあたり、美術品は倉庫に移されたという。
2022年4月にドイツ当局はウスマノフのスーパーヨットを押収したが、南ドイツ新聞が報じるところによると、美術品を含むドイツ国内の資産に申告漏れがあったとされる。それに対し、ウスマノフの代理人は美術品やスーパーヨットの所有を否定している。
9月には、バイエルン州のテーゲルン湖畔にある別荘などウスマノフと関係があると見られる複数の物件を警察が家宅捜索。さらに11月8日、司法当局がウスマノフに関連する資金洗浄の疑いでスイス大手銀行UBSのミュンヘン支店とフランクフルト支店の家宅捜索を行ったと、ドイツのニュース誌デア・シュピーゲルが報じた。
今回の捜索は、資金洗浄のほか最大5億5500万ユーロ(約810億円)の脱税、外国貿易法違反の疑いについての証拠を集めるために行われたと、司法長官付き広報担当者はロイターに語っている。
美術品など豪華な所有品を没収されたロシアのオリガルヒは、ウスマノフ以外にもいる。18年に制裁を受けたオレグ・デリパスカから4月に押収された資産の中には、ディエゴ・リベラ(壁画作品で有名なメキシコの画家、フリーダ・カーロの夫)の絵画が含まれていた。
クリスティーズ、サザビーズ、フィリップスの世界3大オークションハウスは3月、経済制裁を受けたロシア人財閥の資産を対象とした国際調査等の取り組みに従うことに合意している。
*from ARTnews