8歳の少年が金属探知機で19世紀の難破船を発見! 海洋考古学者らによる発掘調査が本格開始

カナダ・オンタリオ州で2023年に、当時8歳の男の子が金属探知機で難破船を発見。このほど本格的な発掘調査が始まった。

金属探知機で難破船を発見したルーカス・アッチソン。Photo: YouTube/CBC News: The National

2023年、カナダ・オンタリオ州ゴデリッチにあるヒューロン湖畔で、当時8歳のルーカス・アッチソンが金属探知機で難破船を発見した。

CBCが伝えるところによると、家族旅行でヒューロン湖沿いにあるポイント・ファームズ州立公園を訪れたアッチソンは、湖畔で誕生日プレゼントにもらった金属探知機を早速使ってみようと思いついた。当時の様子を、彼はこう振り返る。

「僕たちは湖畔で金属探知機をセットアップしました。すると、すぐに金属を検知した『チン!』という音がし、掘ってみると大きな釘が出てきたのです」

父親に報告すると、ボートを係留するために使われていたものではないかという。しかしアッチソンは納得せず、2人で掘り進めると、多くの釘が打ち込まれた木材が出てきた。彼はその時のことを、「父さんは驚いて『ルーカス、これは難破船だ』と言いました。僕はこの日、まさか難破船を見つけるなんて思ってもみませんでした」と語った。

父親のジェイソンは、この発見を州立公園のスタッフに伝え、その後海洋史の記録と保存を専門とする非営利団体であるオンタリオ海洋遺産委員会(OMHC)に連絡した。OMHCのチームは2023年の秋に初めてアッチソン家と湖畔で会って場所を確認し、2025年5月7日に重機を用いた本格的な調査を開始。その後シャベル、こて、ブラシを使った手作業で砂に埋もれているものを確認した。これまでのところ、船の側面のフレーム部分しか見つかっていないが、OMHCの海洋考古学者スカーレット・ヤヌサスは、船は二重フレームで頑健に造られていたことから、2本マストのスクーナー船であると推測した。スクーナー船は17世紀から19世紀前半まで荷物運搬船や漁船として欧米で広く使われていた。

まだ船の身元を判断するには十分な部分が見つかっていないものの、OMHCの海洋史学者パトリック・フォルクスは、この船はセント・アンソニー号だと考えており、次のように説明した。

「セント・アンソニー号は1856年10月に穀物を積んでシカゴからニューヨーク州バッファローへの航海中に難破しました。ゴデリッチのおよそ6キロ沖で座礁したと記録されており、この残骸がある場所とほぼ一致します」

今後、OMHCのボランティアたちにより、難破船の上面図(上から見た図)と側面図(横から見た図)を含む実測図面が作成される予定だ。それらを含む調査が終わると、船は再び埋め戻される。その理由について、ヤヌサスはこう話す。

「再び埋めることで嫌気性環境、つまり酸素のない環境を作ります。そうすることで遺物を食べたり分解したりする生物や細菌が存在できないようにします。完璧な解決策ではありませんが、そのことで、船の構造を少なくとも今後50年間は維持することができるでしょう」

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