世界一高額「バナナ作品」が盗難──美術館は即座に新しいバナナを設置
- TEXT BY ARTNEWS JAPAN
フランス東部のポンピドゥー・センター・メスは5月31日、イタリアの現代美術家マウリツィオ・カテランの代表作《コメディアン》(2019)が盗まれたとして警察に被害を届け出た。同作は過去にも「バナナ食べ事件」でたびたび話題を呼んできた。

フランス東部メスのポンピドゥー・センター・メスで5月31日、イタリアの現代美術家マウリツィオ・カテランの作品《コメディアン》が盗まれたとして、美術館が警察に被害を届け出た。ルモンドとAFP通信が報じている。
《コメディアン》は、バナナをダクトテープで壁に貼り付けたインスタレーション作品。30日、警備員が展示されていたバナナがなくなっていることに気付いた。なお、作品は展示指示に従い、すでに新しいバナナに交換されている。
この作品は2019年、アート・バーゼル・マイアミビーチのギャラリー「ペロタン」のブースで12万ドル(現在の為替で約1900万円)で販売され、世界的な注目を集めた。その後も作品価値は上昇し、2024年にはブロックチェーンプラットフォーム「TRON」の創設者であるジャスティン・サンが、サザビーズのオークションで520万ドル(同・約8億2500万円)で落札。数日後には香港で記者団の前でバナナを食べ、話題となった。
《コメディアン》は、バナナの鮮度を保つため、3日ごとに新しいものへ取り替えることが展示指示に明記されている。今回の窃盗は、この作品にとって初めてのトラブルではない。2019年12月には、アート・バーゼル・マイアミビーチで展示されていた同作のバナナを、パフォーマンスアーティストのデイヴィッド・ダトゥナが来場者の前で食べるパフォーマンスを行い、大きな話題となった。
また、2023年には韓国・ソウルの美術館で展示中の《コメディアン》のバナナを学生が食べる出来事もあった。直近では2025年7月にも、ポンピドゥー・センター・メスで入場者によってバナナが食べられるという事案が起きている。この時は警備員がすぐに介入し、即座に代わりのバナナが設置された。カテランはその時、「バナナだけでなくテープまで食べてくれなかったのは残念だ」とユーモアを交えてコメントしている。
同館は、前回のケースでは法的措置を取らなかったが、今回は被害届を提出した。その理由について、「犯人が逃走しており身元が特定できないため、対話の余地がないこと」、そして「これが繰り返された事案であり、作品への敬意の問題でもあること」を挙げている。

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