中国で観光客が兵馬俑2体を破損。5メートル下の坑に飛び降り、狼藉後は地面に寝そべる

5月30日、中国・西安市の第3号兵馬俑坑で、観光客の男が2体の兵馬俑に損傷を与える事件が起きた。当局によると、男は防護柵を乗り越え、5メートルを超える深さの坑に飛び降りたという。

中国陝西省西安市の兵馬俑坑を見学する観光客（2025年撮影）。Photo: Kevin Frayer/Getty Images

中国陝西省西安市当局は5月31日、同市臨潼区にある兵馬俑坑で、30歳の中国人観光客の男が2体の兵士像を破損させたと発表した。

AFP通信が伝えた声明によると、30日に西安市の秦始皇帝陵を観光していたこの男は、「防護用の柵とネット乗り越えて約5.5メートル下の第3号坑に飛び込み」、警備員に取り押さえられるまで兵士像を「押したり引いたり」して損傷を与えた。破損の程度は「一様ではない」とされている。

破壊行為の直後に撮影された動画では、男は壊れた兵馬俑の横で地面に寝そべっている。当局は、男には精神疾患があると見ているが、まだ捜査段階だとして詳細は明らかにしていない。兵馬俑坑の見学は事件の翌日に再開された。

ちなみに、兵馬俑は過去にも災難に遭ったことがある。2017年、フィラデルフィアのフランクリン科学博物館で開催されたクリスマスパーティで、酔っ払った男が中国から貸し出されていた兵馬俑の親指を折り、盗んだのだ。この男は2023年に、実刑を免れる司法取引に応じている。

紀元前209年頃に始皇帝の墓を守るために作られた兵馬俑は、他に類を見ない大量の兵士像の副葬品として知られている。始皇帝は、50万人を超えるとされる軍団を率いて中国を統一した秦の初代皇帝だ。

陵墓と兵馬俑坑の建設には70万人が駆り出され、完成までに約40年の歳月が費やされたと考古学研究者は見ている。偶然発見されたのは1974年、地元の農民が井戸を掘ろうとしたところ、陶片が出土したことがきっかけだった。

以来、約2000体の兵士像や数百体の軍馬、戦車の彫像が見つかっているが、総数は8000体を超えると考えられている。兵士の平均身長は等身大よりやや大きい180cmほどで、兵種や階級によって装備が異なり、表情も一人一人違っている。

1987年にユネスコの世界遺産に登録された秦始皇帝陵墓及び兵馬俑坑では、今も発掘が続けられている。2024年には希少な将校の像が出土し、2台の戦車、3頭の馬、2体の兵士像とともに見つかったことから、古代の軍隊組織を知る上での新たな手がかりとして注目された。（翻訳：石井佳子）

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TEXT BY FRANCESCA ATON

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