マリー・アントワネットが美容師に託した10カラット・ダイヤがオークションに。予想落札価格は7億円
最後のフランス王妃マリー・アントワネットがパリから逃亡する際に美容師に託され、その後、娘のマリー・テレーズに受け継がれた10.38カラットのダイヤモンドをあしらった指輪が、6月17日に開催されるクリスティーズ・ニューヨークのオークションに出品される。予想落札価格は300万〜500万ドル(約4億3700万円~7億2800万円)。

マリー・アントワネットから娘のマリー・テレーズに受け継がれた10.38カラットのダイヤモンドをあしらった指輪が6月17日に開催されるクリスティーズ・ニューヨークのオークション「マグニフィセント・ジュエルズ」に出品されると発表された。
このダイヤモンドはマリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿で豪華絢爛な暮らしをしていた時代にコレクションしていた装飾品の1つで、ヘアピンにセットされていた。その後フランス革命が起こり、1791年に国王一家がパリから逃亡を図り失敗したヴァレンヌ事件の際に、アントワネットは信頼のおける美容師にこのダイヤを含んだ宝石を託した。1793年にアントワネットは処刑され、1795年に釈放された娘のマリー・テレーズは流転の人生の中でこのダイヤモンドを受け取り、1996年にジュネーブでオークションにかけられるまで旧フランス王族間で代々受け継がれてきた。
このダイヤについて、クリスティーズ・インターナショナルの宝飾品部門責任者であるラフル・カダキアはオークションの特設サイトで、「この石は、宝飾品に求められる全てを備えています。おそらくインドの名高いゴルコンダ地方産のもので、柔らかな色合いの何層もの色彩を持ち、角度によって紫やピンクに輝きます」と賞賛する。
現所有者は、ドラマチックな歴史を持つこのダイヤモンドを、年間わずか数点しか作品を制作しない現代最高峰といわれるジュエラー、Joel Arthur Rosenthal(JAR)に依頼して指輪に仕立てた。JARはダイヤを二重のパヴェダイヤモンドリングの上に配置し、バンド部分にもパヴェセッティングを用いた。そして指輪の上部には、17個のダイヤモンドで構成された輝く百合の紋章が置かれている。
カダキアは、指輪のデザインについて、「現代的でありながら、よく見ると王冠を彷彿とさせます。JARは石が旧王家に受け継がれた歴史を考慮しながら、それを現代的なものにしたのです」と語る。
指輪の予想落札価格は予想落札価格は300万〜500万ドル(約4億3700万円~7億2800万円)。2024年、マリー・アントワネットの名を失墜させた有名な「首飾り事件」に関連するとされるダイヤのネックレスが、予想落札額のおよそ2倍となる479万ドル(当時の為替で約7億4000万円)で落札されている。今回も同じパターンを辿るとしたら、今年最も高額なダイヤモンドの落札となるだろう。