今週末に見たいアートイベントTOP5:ターナーと現代美術の共鳴、安田侃が約25年ぶりの東京個展
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. 「没後30年 菅井汲」(広島県立美術館)
デザイナーから画家へ、菅井汲の表現の変遷
菅井汲(1919–96)は、戦後の日本とフランスを拠点に活動し、国際的に評価されてきた画家だ。阪急電鉄の事業宣伝課でポスターなどを手がけた後、1952年に渡仏し、パリを拠点に画家としての活動を本格的に始めた。初期には東洋の書や水墨画を想起させる表現を試み、形や色彩が整理された幾何学的な絵を手がけた。そして、一定の形や構成上のルールを設けながら、その範囲内で表現を変化させていった。
没後30年を記念する本展では、デザイナー時代のポスターから、パリで制作した初期作品、標識を思わせる簡潔な形態の作品までをたどる。木枠から外された状態で保管されていた作品《準備完了》は日本初公開。1970年代のポルシェも展示し、作品だけでなく、制作の背景にある菅井の関心や人物像も紹介される。
没後30年 菅井汲
会期:10月2日(金)〜12月6日(日)
場所:広島県立美術館(広島県広島市中区上幟町2-22)
時間:9:00〜17:00(金曜は19:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜日
2. ニュータウン、インターフェレンス 都市とわたしたちの関係(横浜市民ギャラリーあざみ野)
「都市」と「土地」が結ばれる過程
都市や土地と人々の関係をテーマに、7組の作家による作品を紹介する。都市の風景は、建物や道路などの物理的な環境だけでなく、そこに暮らす人々の経験や記憶、社会的な背景とも結びついていることを本展の出発点とする。郊外のニュータウンなどを手がかりに、都市空間がどのように形づくられ、人々との関係のなかで意味を持つのかが考察される。
会場では、石﨑朝子、川、谷山恭子、トランスフィールドスタジオ、中島晴矢、松田修、山口幸士による映像、インスタレーション、絵画、写真など約100点を展示。あざみ野周辺の風景や都市の変化に加え、土地に残る記憶や、場所と人との関係を扱う作品も並ぶ。様々なメディアの作品が干渉し合うことで、多角的に「都市」との関係を捉え直す。
あざみ野コンテンポラリー vol.17「ニュータウン、インターフェレンス 都市とわたしたちの関係」
会期:10月10日(土)〜11月3日(火祝)
場所:横浜市民ギャラリーあざみ野 展示室1・2(神奈川県横浜市青葉区あざみ野南1-17-3 アートフォーラムあざみ野内)
時間:11:00〜18:00
休館日:10月26日
3. 安田侃個展「心がかたちにふれるとき」(シュウゴアーツ)
大理石とブロンズで追求する、彫刻のかたち
安田侃(1945年北海道美唄市生まれ)は、イタリアを拠点に大理石やブロンズによる彫刻を制作してきた。1970年にイタリアへ渡り、ローマで彫刻を学んだ後、大理石の産地として知られるカッラーラに近いピエトラサンタを拠点に彫刻家として活動を続けている。量感のある素材を用いながら、滑らかな曲面や簡潔な形態を特徴とする作品を手がけ、ヨーロッパを中心に歴史的建造物や公共空間での展示も行ってきた。
東京では約25年ぶりの個展となる本展では、安田の代表的な作品群を紹介する。一室目と窓辺では、白大理石による《天秘》《意心帰》《妙夢》などが広がる。展示室の二室目には、大きな彫刻《天秘》を配置し、上昇と下降を思わせる形態を提示する。鑑賞者の身体との関係や、彫刻が置かれる空間にも着目しながら、安田が長年取り組んできた彫刻表現を紹介する。
安田侃個展「心がかたちにふれるとき」
会期:10月16日(金)〜11月28日(土)
場所:シュウゴアーツ(東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F)
時間:11:00〜18:00
休廊日:日月祝(11月8日は特別開廊)
4. アハメッド・マナン個展「お前バリ字きたないやん」(biscuit gallery)
「字が汚い」という経験から考える、絵画の伝わり方
2000年大阪府生まれの作家、アハメッド・マナンの個展。キャンバスや布、自身が過去に使用した身の回りの素材などを用い、支持体そのものの形状を独自の手法で変化させた絵画を制作してきた。本展タイトルは、作家がこれまで繰り返し指摘されてきた、自身の文字の書き方に由来する。
マナンは、文字は形が整っていなくても、同じ言語を共有する人々の間では文章として読み取られる一方、絵画は色やモチーフを認識できたとしても、誰もが同じ内容を共有できる文字列のようにはならないと考える。こうした違いを起点に、学校教育における書写の規範や、文字の「正しさ」を求める価値観に目を向ける。会場には作家が制作した黒板や勉強机が持ち込まれ、学校で文字を学ぶ空間を想起させる環境のなかに絵画が展示される。書字と絵画を比較しながら、作品を読み取ることや、意味を共有することを問い直す。
アハメッド・マナン個展「お前バリ字きたないやん」
会期:10月17日(土)〜11月1日(日)
場所:biscuit gallery(東京都新宿区新宿3-32-10 松井ビル8F)
時間:木曜〜日曜 13:00〜19:00
休廊日:月~水
5. 「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」(国立西洋美術館)
ターナーの風景画と現代美術が共鳴する、80点超の回顧展
イギリスを代表する画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775–1851)の回顧展。光や大気、荒れ狂う海や空など、変化し続ける自然の様相を描いた作品で知られる。産業革命期の蒸気や煤煙も主題に取り込み、具象的な風景描写から抽象性を帯びた表現までを手がけてきた。本展では、ロンドンのテート美術館が所蔵する油彩画や水彩画など80点以上が展示される。
ターナーの作品群はテーマ別に再構成し、時系列に沿って紹介される。特徴的なのは、ターナーの絵画と戦後・現代の作品を各章で併置する構成だ。オラファー・エリアソンの作品を通して気候変動に目を向けるほか、ケイティ・パターソンのインスタレーションやオトリス・グループの映像作品などを交える。ターナーの絵画を美術史のなかに位置づけるとともに、その主題が現代の作家たちにどう引き継がれているかをたどる。
テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話
会期:10月24日(土)〜2027年2月21日(日)
場所:国立西洋美術館 企画展示室(東京都台東区上野公園7-7)
時間:9:30〜17:30(金土は20:00まで)
休館日:月曜、(11月23日、2027年1月11日を除く)11月24日、12月28日〜2027年1月1日、1月12日




























