奈良美智、2027年秋にSFMOMAで大規模展を開催。約100点を通して創作世界の変遷をたどる
2027年秋に奈良美智の大規模回顧展がサンフランシスコ近代美術館で開催される。北カリフォルニア初となる包括的な回顧展には、絵画や彫刻、写真など、代表作約100点が集結する。

サンフランシスコ近代美術館(San Francisco Museum of Modern Art、以下SFMOMA)は、2027年秋に奈良美智の大規模回顧展を開催すると発表した。奈良の創作活動を包括的に紹介する回顧展としては、北カリフォルニアで初めてとなる。
キュレーションは、SFMOMA絵画・彫刻部門のアソシエイト・キュレーター、ナンシー・リムと、ロサンゼルスを拠点とする吉竹美香がゲストキュレーターとして担当する。戦後・現代日本美術を専門とする吉竹は、ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)の奈良美智回顧展(2021-2022)や、香港のM+で行われた草間彌生の大規模回顧展「Yayoi Kusama: 1945 to Now」(2022-2023)などを手がけてきた。
本展では、同館7階の展示室を会場に、絵画、ドローイング、彫刻、インスタレーション、サウンド、写真など約100点が集結する。目玉となるのは、今回が初の海外展示となる《Voyage of the Moon(Resting Moon)》(2006)だ。奈良のドローイング制作アトリエを思わせる小屋の屋根には、大きな月の顔がひと休みするかのように置かれている。幼い頃から夜空に魅了されてきた奈良の想像力が反映された作品で、2020〜2021年には東京・森美術館で開催された「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」でも展示された。

本展では、こうした幼少期の記憶に根ざした作品に加え、東日本大震災以降に見られる奈良の表現の変化にも光を当てる。
SFMOMAによると、2011年の震災と福島第一原発事故を経て、奈良の作品は内省的な性格をいっそう強めたという。幾重にも重なる絵の具の層や、にじむような筆致、何かを探し求めるような人物のまなざしが特徴的な絵画に加え、手作業の痕跡や不完全さが残る近年の彫刻などを通じて、奈良の創作世界の変遷をたどる。