マリー・アントワネット「乳房形ボウル」、最後の1点を再発見! 最大3億5000万円で競売へ

マリー・アントワネットのために製作された「乳房形ボウル」全4点のうち、唯一所在不明となっていた1点が、200年以上の時を経て再発見された。11月26日にパリで競売にかけられ、予想落札価格は最大200万ユーロ(約3億5200万円)に上る。

再発見された「ジャット・テトン」。Photo: Courtesy Hotel Drouot

セーヴル製陶所がフランス王妃マリー・アントワネット(1755–1793)のために製作した乳房形のボウル「ジャット・テトン(jatte téton)」のうち、所在不明となっていた最後の1点が、200年以上を経て再発見された。

見つけたのは、競売会社クートー・ベガリーの調査チームだ。パリ6区のクロワ・ルージュ交差点で1990年代まで営業していたギャルリー・メイエのコレクションを整理していたところ、中世末期の美術品などに交じって置かれた木箱の底から、緩衝材に包まれた器が姿を現した。

ジャット・テトンは、ヤギの頭部をあしらった3本脚の台座に、乳房形の器を載せたもの。ランブイエ城にある王妃の酪農施設で使うために注文され、フランス革命直前の1787年と1788年に計4点が納入された。王妃の乳房から直接型を取って作られたという伝説もあるが、これは20世紀に生まれたものだ。実際の着想源は、古代ギリシャの酒宴で使われた乳房形の酒器「マストス」とされる。

残る3点は、現在美術館に収蔵されている。台座の地色が淡い青と紫の2点はセーヴル国立陶磁器美術館、もう1点の淡い青の作例は、ナポリのドゥーカ・ディ・マルティーナ美術館が所蔵する。横浜美術館で11月23日まで開催中の展覧会「マリー・アントワネット・スタイル」には、セーヴル国立陶磁器美術館所蔵の淡い青の台座の作例が展示されている。

再発見された「ジャット・テトン」。Photo: Courtesy Hotel Drouot

今回見つかったのは黄土色がかったオレンジ色の台座を持つ作例で、4点のうち唯一、個人所蔵のものとなる。器に添えられた手書きの文書は、その後の来歴の一端を伝えている。文書によると、この器はシャナレイユ侯爵夫人マリー・ジョゼフ・ローズの手に渡ったという。侯爵夫人の姉妹にあたるブイエ伯爵夫人マリー・ルイーズ・ゼリーは、マリー・アントワネットの姪の娘にあたるベリー公爵夫人の女官を務めていた。シャナレイユ侯爵夫人は、器を孫のフェルディナン・ド・サル将軍に贈った。その後、ギャルリー・メイエのコレクションに加わったが、いつ、どのような経緯で渡ったのかは分かっていない。

再発見された器は、11月26日にパリのオテル・ドルーオ(Hôtel Drouot)でオークションにかけられる。予想落札価格は100万〜200万ユーロ(約1億7600万〜3億5200万円)。

その希少性と歴史的価値から、フランス政府が国外流出を防ぐために動く可能性もある。同じ食器シリーズのミルクジャグと砂糖入れは、2022年に「国宝」に指定され、輸出が認められなかった。その後、2025年にセーヴル国立陶磁器美術館に収蔵されている。

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