モネの晩年作、アジアのコレクターが約88億円で落札。フランス国内の美術品オークションで史上最高額

サザビーズ・パリで10月22日、フランスの美術収集家ジャンヌ・シュルンベルジェの旧蔵品を対象としたオークションが開催された。長年非公開だったモネの《Iris》が約88億円で落札され、落札総額は約131億円に達した。

クロード・モネ《Iris》(1924-25) Photo: Damien PERRONNET, courtesy Sotheby's

10月22日、サザビーズ・パリでクロード・モネが晩年に描いた大作《Iris》(1924〜25)が、手数料込みの5000万ユーロ(約88億円)で落札された。フランス国内のオークションで取引された美術品として、史上最高額を記録した。

6人のコレクターが参加した競りは45分に及び、最終的にアジアの個人コレクターが落札した。事前の予想落札価格は2200万〜3000万ユーロ(約38億〜52億円)だった。

フランスの美術収集家ジャンヌ・シュルンベルジェのコレクションを対象とした今回のオークションでは、出品された23作品すべてが落札され、落札総額は7440万ユーロ(約131億円)に達した。これはサザビーズ・パリの美術品オークションとして過去最高の売上額となり、出品作の4分の3近くが予想最高落札価格を上回った。

《Iris》以外のモネ作品も高値で取引され、ジヴェルニーの庭にあるシダレヤナギを描いた《Saule pleureur ou L’Arbre de feu》は970万ユーロ(約17億円)、《La Seine à Vernon, Arbres》(1894)と《La Maison à Travers les Roses》(1925〜26年頃)も、それぞれ430万ユーロ(約7億6000万円)、250万ユーロ(約4億4000万円)で落札されている。

これら4作品には、共通する来歴がある。いずれもモネの死後、息子のミシェル・モネに相続され、その後、画商のカティア・グラノフが購入し、最終的にシュルンベルジェのコレクションに加わった。作品群は数十年にわたり、一般公開されることなく個人蔵として保管されていた。

シュルンベルジェが本格的に美術品の収集を始めたのは1950年代だった。当時、モネの晩年作は現在ほど高く評価されていなかったが、彼女はその価値を見出していた画商のグラノフと緊密に協力していた。1958年には、グラノフがミシェル・モネから作品群を買い取る際、シュルンベルジェが資金面で支援したとみられている。

同コレクションにはポール・セザンヌの初期絵画3点も含まれていたが、オークションの開始直前に出品が取り下げられた。サザビーズによれば、3点が最近フランスの国宝に指定されたことを受け、シュルンベルジェ家とセザンヌの故郷であるエクス=アン=プロヴァンス市が協議を行い、出品の取り下げを決めたという。同市はフランス文化省の支援を受け、これら3点を買い取り、市内のグラネ美術館に収蔵する方針を示している。

モネ以外の作品でも、オークション記録の更新が相次いだ。1956年以降、一度も一般公開されてこなかったピエール・ボナールの《La Cueillette des Prunes》は、予想最高落札価格80万ユーロ(約1億4000万円)の3倍以上となる250万ユーロ(約4億4000万円)で落札され、同作家のフランス国内におけるオークション最高額を更新した。

ギュスターヴ・モローが水彩とグワッシュで描いた《Rêve d’Orient》は140万ユーロ(約2億4600万円)で落札され、同作家の紙作品としてオークション新記録を樹立した。また、カミーユ・クローデルのブロンズ彫刻《La Valse》の1905年鋳造版は、予想最低落札価格の2倍以上となる83万2000ユーロ(約1億4600万円)で落札された。(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい