抗議活動を受けアート・バーゼル・パリが早期閉幕へ。美術館やギャラリーも相次ぎ臨時休業

10月24日に予定されている抗議活動を受け、25日まで開催予定だったアート・バーゼル・パリが23日午後7時での閉幕を決定した。フォンダシオン ルイ・ヴィトンやガゴシアンも臨時休館・休業を発表しており、パリのアート界に影響が広がっている。

アート・バーゼル・パリの会場風景。Photo: Courtesy of Art Basel
アート・バーゼル・パリの会場風景。Photo: Courtesy of Art Basel

10月24日に予定されている抗議活動を受け、アート・バーゼル・パリやフォンダシオン ルイ・ヴィトンをはじめとするパリ市内の美術施設やアートイベントが、休館や開催中止を相次いで発表した。25日までの開催を予定していたアート・バーゼル・パリは、24・25日の開催を中止し、23日午後7時(現地時間)をもって会期を終了する。

出展ギャラリーに宛てられたメールのなかで、アート・バーゼルのチーフ・アーティスティック・オフィサーを務めるヴィンチェンツォ・デ・ベリスと、同フェアのディレクター、カリム・クリッパはこう述べている。

「今週末にパリ全域で懸念されるデモの状況、ならびに来場者の安全確保を考慮し、フェアは金曜日の午後7時をもって終了いたします」

コレクターや富裕層の多くは会期終了前にパリを離れるが、週末まで滞在する予定だったギャラリーのスタッフや美術関係者も多くいる。フェアの主催者側は、23日の閉幕まで展示を維持するよう出展ギャラリーに強く促すとともに、作品の安全な搬出を支援する方針を示した。また、「運営チームとギャラリー担当チームが、グラン・パレや物流業者、関係当局と緊密に連携し、会場への立ち入りや作品の搬出を円滑に進めるための計画を策定しています」と説明している。なお、ウィンストン・チャーチル通りで展開されているパブリック・プログラムの屋外インスタレーション作品については、別途撤去作業が行われるという。

このほか、実業家ギュスターヴ・ファイエのコレクション展を開催しているフォンダシオン ルイ・ヴィトンも、予防的措置として24日に臨時休館する予定だ。また、ガゴシアンもパリの拠点を同日に臨時休業すると発表している。

US版ARTnewsがパリに拠点を置く複数のギャラリーに取材したところ、各ギャラリーは週末に臨時休業するかどうかを23日中に判断するという。一方、マレ地区で開催されているサテライトフェア「Post-Fair」は、デモを見越して24日の閉場時刻を午後1時に繰り上げることを決定した。同フェアの創設者であるクリス・シャープは、「出展者と作品の安全を最優先に考えた結果」と語っている。

早期閉幕の発表前、アート・バーゼル側はデモの影響について明言を避けていた。一方、参加アーティストのアリシア・クワデは10月21日、フェアのパブリック・プログラムの一環としてグラン・パレ屋外に展示されている自身の巨大な石の彫刻を、予定より早く撤去するとInstagramで表明した。クワデはデモに伴う「暴力」を非難し、「抗議行動自体は良いことだが、なぜすべてを破壊し尽くさなければならないのか理解に苦しみます。それでは自分たちの訴えを伝えることにはつながりません」と記している。

パリ市当局も24日に向けて警戒を強めている。「抗議活動とは無関係の暴徒による暴力行為が再び発生するおそれがある」として、市民に最大限の警戒を呼びかけ、同日正午以降はゴミ箱や自転車、カフェの屋外テーブルなどを屋内に移動させるよう推奨した。

抗議行動の発端は、10月17日、公立学校の予算不足などを背景に、拡大する社会的・経済的不平等を訴えた抗議デモで、フランス全土で行われ、50万人以上が参加した。この抗議活動は概ね平和的に行われたものの、一部では暴動や略奪が発生。デモは規模を縮小しながら翌18日まで続き、同様の抗議活動は他のヨーロッパ諸国にも広がっている。

フェアに参加したディーラーによると、運営側は警備を強化し、一部の来場者が参加を見送ったものの、フェアは早期閉幕の発表まで概ね予定通り進行していたという。しかし、ル・モンド紙は、こうしたアートフェアの華やかな光景と、その周囲に広がる社会的・経済的不平等との落差を指摘している。

ル・モンド紙がその一例として取り上げたのが、Instagramアカウント「Documentations Art」の投稿だ。同アカウントは、「アート・バーゼルは略奪のフェア」と題した投稿で、24日に会場のグラン・パレを「取り戻そう」と呼びかけた。同紙は、富裕層が投資や節税目的でアートを購入し、富を増やしていると主張するこの投稿について、不正確な情報や事実に反する記述が多いと批判している。一方、この投稿のコメント欄には、「24日には億万長者や大富豪たちはすでにパリを去っているだろう。当日会場を歩いているのは、何も買わない中産階級の来場者だけだ」という指摘もあった。(翻訳:編集部)

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