パンが焼けるまでの暇つぶし? ロシアで出土、約1000年前の調理道具の裏面にゲームの痕跡

ロシア北西部の遺跡で、裏面に盤上ゲームの盤面が刻まれた11世紀のパン焼き用シャベルが出土した。研究者たちは、パンが焼けるまでの暇つぶしに使われた可能性があると見ている。

ロシア・ピャトニツキー発掘区で見つかった11世紀のパン焼き用シャベル。Photo: Novgorod State University

ロシア北西部の町スターラヤ・ルーサ中心部にあるピャトニツキー発掘区で、11世紀のパン焼き用シャベルが見つかった。裏面には盤上ゲームの盤面が刻まれており、調理道具が遊びにも使われていた可能性がある。Live Scienceが伝えた。

調査にあたったのは、ノヴゴロド国立大学考古学研究センターのチームだ。オーク材で作られたシャベルは、中世の屋敷が建てられ始めた11世紀の地層から出土した。パンを窯に出し入れするための道具とみられ、作業面は約30×40センチ、柄の一部も残っている。片面は平らで滑らかだが、膨らみのある裏面には、正方形を入れ子状に重ねた3重の図形が刻まれていた。これは「メレルズ」と呼ばれるゲームの盤面だ。

メレルズは、三目並べとチェッカーを組み合わせたような2人対戦の盤上ゲームだ。起源は明らかではないが、歴史記録や出土品からは、約2000年前の古代ローマでも同様のゲームが行われていたことがうかがえる。中世にはヨーロッパやアジア各地で広く親しまれた。道具がほとんど要らず、すぐに遊び始められる手軽さが、普及を後押ししたのかもしれない。

ピャトニツキー発掘区で見つかった11世紀のパン焼き用シャベル。Photo: Novgorod State University

研究者たちは、シャベルの持ち主がパンの焼き上がりを待つ間にゲームを楽しんでいた可能性を指摘する。同センター所長のセルゲイ・トロポフは、声明で次のように説明した。

「古くからメレルズ専用の盤もあったのかもしれません。しかし、より多く見つかるのは、日用品の平らな面に引っかいたり彫ったりして作った盤面です。おそらく、このゲームが単純で、広く親しまれていたためでしょう。平らな面に盤面を描き、足元の小石など駒になりそうなものを拾えば、いつでも遊んで時間を過ごせたのです」

一方、ゲーム盤には、壊れるなどして本来の用途では使わなくなった道具が利用されることも多かった。今回のシャベルも、調理と遊びに兼用されていたのか、壊れた後にゲーム盤へ転用されたのかは、現時点では分かっていない。

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