100年間、博物館に眠っていた化石が「新種の肉食恐竜」と判明──ヨーロッパ初のメガラプトル類か

博物館で長らく見過ごされていた化石が、新種の恐竜のものであることが最新の研究で明らかになった。100年以上前にイギリス・ワイト島でアマチュアの化石ハンターが採集した骨の断片を新たに調べたところ、長い爪が特徴の肉食恐竜メガラプトル類に属する新種であることが判明している。

新種の恐竜と判明した化石を収蔵していたロンドン自然史博物館のヒンツェ・ホール。Photo: Getty Images

イギリス・ロンドンのサウスケンジントンにある自然史博物館には、数百万点もの標本が収蔵されている。その中から、同館に存在していることすら知られていなかった恐竜の標本が最近見つかった。

それは、およそ1世紀にわたり同博物館が保管していた頭骨の断片で、最新技術を用いた研究によって新種の恐竜のものであることが判明したと科学雑誌ディスカバーが伝えている。さらに注目すべきは、ヨーロッパで初めて確認されたメガラプトル類である可能性が高いという点だ。肉食恐竜のメガラプトル類は、これまで欧州以外の地域からは見つかっている。

イギリス南部のワイト島でこの化石を発見したのは、アマチュア化石ハンターのレジナルド・ウォルター・トゥーリーだ。トゥーリーが1924年に死去した後、自然史博物館は彼が採集したものから1000点以上の標本を取得。その中には今回研究対象となった頭骨の断片の化石も含まれており、のちに恐竜のものであると特定されたが種類は不明のままだった。

しかし、研究者たちがその古い骨を詳しく調べたところ、新種恐竜の同定という驚くべき新展開につながった。CTスキャンで頭骨の3次元モデルを作成して内部構造を解析し、これまで難しかった解剖学的特徴の詳細な確認ができるようになったからだ。研究では頭骨の後部にあたるこの断片を他の肉食恐竜の頭骨と比較し、複数の特徴の組み合わせからメガラプトル類の新種と判断した。

「インヴィクティベラトリックス・アンベリナ(Invictibellatrix amberina)」と命名されたこの新種恐竜に関する研究成果は、10月14日にロイヤル・ソサエティ・オープン・サイエンス誌(Royal Society Open Science)で発表されている。

優雅にも思えるその名前とは裏腹に、メガラプトル類は長く鋭い爪を持つ肉食恐竜の一群で、ティラノサウルスの近縁であるとする説もある。しかし、その捕食方法には大きな違いがあり、ティラノサウルスのように巨大な顎で噛みつくのではなく、鋭い爪のついた力強い腕を獲物の捕獲に利用していたと考えられる。

生息時期は約1億2000万年前の白亜紀前期で、全長3〜4メートル、体高は約1.5メートルと見られる。羽毛が生えていた可能性もあるが、どんな外見だったかについては、今後の科学的な復元作業に委ねられている。

今回の研究成果にはまた、単なる新種発見以上の意義がある。メガラプトル類はアジア、オーストラリア、南米で出土しているが、これまでヨーロッパでの確認例はなく、メガラプトル類が世界各地へどのように広がっていったのか、その分布がどう変化したかを研究する際の問題となっていた。

一説によると、メガラプトル類はアジアを起源とし、ヨーロッパを経由して西へ移動した後、最終的にかつて存在したゴンドワナ大陸──現在の南米、アフリカ、南極大陸、オーストラリアを含む──に到達したと考えられている。ワイト島で発見されたメガラプトル類の化石はこの説を裏付け、先史時代のイギリスの恐竜相が従来の推測より多様であったことを示唆するものだ。

研究論文の筆頭著者で、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者でもあるカシアス・モリソンは、長らく見過ごされてきたこの化石について、博物館の収蔵品にはまだまだ多くの発見の可能性が眠っていることを示す好例だと述べている。(翻訳:石井佳子)

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