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クフ王の大ピラミッド近くの「空白地帯」地下に遺構を新発見。日本・エジプト共同チームが発表

エジプトのギザにある古代墓地で行われた地中レーダー探査で、これまで知られていなかったL字型の構造物が見つかった。東日本国際大学、東北大学、エジプト国立天文地球物理学研究所(NRIAG)による共同考古学研究チームが発表した。

L字型をした地中の異常部(アノマリー)がギザのマスタバ墳墓群で確認された。Photo: ©Higashi Nippon International University

5月5日付で学術誌のアーキオロジカル・プロスペクション(Archaeological Prospection)に掲載された論文によると、考古学研究チームは2021年から2年間にわたり、クフ王の大ピラミッドに隣接した西部墓地で地中レーダー(GPR)と電気抵抗トモグラフィ(ERT)による地下探査を実施していた。

西部墓地には、古代エジプトの王族や貴族・高官が埋葬されたマスタバと呼ばれる形式の大墳墓群がある。マスタバは上部構造と下部構造(地下部分)からなり、地下部分は祭事を行う長方形の祭壇室や立坑などで構成される。しかし、西部墓地の中央部には地上に構造物のない「空白地帯」があり、そこでは大きな発掘成果はこれまで報告されていない。

今回の調査では、画像データから「石灰岩の垂直壁、あるいは墳墓構造につながる立坑」の可能性があると見られる大きな異常部(アノマリー)が見つかった。研究チームはその後、別の種類の地中レーダーを使ってより詳細な探査を実施し、異常部の形状を分析。その結果、地下0.5〜2メートルのところに約10×15メートルのL字型の構造物があるのを確認した。

この構造物は砂に埋まっていたことから、建造後に埋め戻されたと考えられる。何の目的で作られたかはまだ明らかになっていないが、より深いところにある構造物への入り口だった可能性もある。電気抵抗トモグラフィでは地下約5~10メートルのところに約10m×10mの範囲で異常部が発見されているため、さらなる発掘調査の結果が待たれる。(翻訳:石井佳子)

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